夕飯その4
「そうだな、今後のためにも連絡先は知っておいた方が安心か、これが私の連絡先だよ」
「何かあったら直ぐ連絡してくれて構わないからね」
そう言って、板場先生はメモを手渡してくれた。
「ちょ、ちょっとなんでそうなるのよ」
「私は別にアンタの連絡先なんか知らなくたって困らないわよ、あんな目と鼻の先に住んでるのに」
「第一男のアンタに連絡先教えるの、なんか嫌だわ……」
桜庭さんは身震いしながら、じっとりとした目で俺を見て言った。
(クッソ、あの女一体どんな目で見ているんだよ?)
「はぁ……分かりました、でも俺の連絡先は登録しておいてください」
「俺から連絡した時に誰からの電話か分からないと困りませんか?」
そう言って、俺は自分の連絡先のメモを渡そうとしたのだが『いいわよ、板ちゃんから後で聞くから』と言って受け取らなかった。
(なんかめちゃくちゃ避けられてる気がするな……)
「俺はまだ部屋の片付けがあるんで失礼します、それじゃまた後で」
「あぁわかった」
「ホラッ早く行きなさいよ」
桜庭さんは邪魔と言わんばかりにシッシッと追い払う仕草で、流石に俺もちょっとだけ不機嫌な表情になってしまう。