悪魔の生贄
「はい、わかりまりました」
「今日の夕方六時ですね」
(あんまり時間ないな、急いで支度しないと……)
働いていた居酒屋が流行り病の影響で店を閉め、これからどうしようか悩んでいた時にネットで見つけたこのバイト。条件が良過ぎて不安がよぎったけど、三食+寮付きで一日五千円と言う超優良バイトはそうそう見つからない。詳細は面接にてと言うのが少し怖いが、聞いてみないことにはな!
親に無理を言って一人暮らしをしながら大学に行かせてもらっている以上、生活費は自分で稼ぐ約束だ。しかし数年前から流行している病気の影響で飲食業は冷え込み、店も無くなり困り果てていた所なのでなんとか雇って貰いたいのである。なんたってアパート代も浮くし!
俺は素早く支度を済ませ面接先へ向かった。
(えーっと…ここだな!)
(株)さくら観光バスセンター
自宅最寄りの駅から二駅隣、少し住宅街から外れた所に建つ病院のような感じのする建物である。
見た目から来るイメージと掲げてる看板には違和感しかない。本当に大丈夫なのか?正面入口から中を少し覗くと、人の姿はまばらである。
「すみません。六時から面接の菊門と申します」
「総合案内で伺う様にと、言われたのですが」
受付のお姉さんは面倒臭そうにジロリと俺を見る。
「菊門様ですね、伺っております」
「右手に見えるエレベーターで5階へ上がってください、上がられましたら右手突き当たりの部屋でお待ちいただけますか」
「はい、ありがとうございます」
俺はお礼を言い、エレベーターに乗り込み5階のボタンを押し、上がった先で言われた通り右手の突き当たりの部屋のドアを軽くノックする。
「……失礼します」
俺は言われた通りドアを開けて中へ入って待つことにした。