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成り行き英雄建国記 ~辺境から成り上がる異種族国家~  作者: てぬてぬ丸
第十四章 真相の章

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王(金麗城)

誤字報告ありがとうございました。

 市ケ谷家の当主とその母親、カオリとマイコは着物とドレスの中間のような服を着ていた。カオリは幼さの残る端正な顔立ちで、勝気そうな表情をしていた。マイコのほうは上品な顔立ちでおっとりとした印象を受ける。


 カオリは腕組をして、近付いてくるアデルを睨んでいた。


「ど、どうも、アデルです」


 アデルは頭を下げながらカオリたちに近付く。


「……わたくしの前に膝まづきなさい」


「え?」


 カオリに言われ、アデルは戸惑う。しかし言われた通り、地面に膝をついた。


「オーホッホッホッ! 素直でよろしくてよ!」


 そのアデルを見てカオリは満足げに高笑いをする。


(……ここに来て「高笑いお嬢さまキャラ」か。なかなかいいな)


 なかなか現実では見ないタイプのカオリを見て、アデルは噛み締めるようにうなずいた。


「いけませんよ、カオリ。アデル殿はお客人なのですから」


 マイコがそんなカオリを止める。


「あら、そうですわね。失礼いたしましたわ。わたくしが第二十七代市ケ谷家当主、市ケイチガヤ香織カオリです。そしてこちらは先代当主、市ケイチガヤ舞子マイコですわ」


 カオリは自分とマイコの紹介をした。


名前:市ケ谷香織

所属:市ケ谷家

指揮 70

武力 38

智謀 65

内政 110

魔力 44


名前:市ケ谷舞子

所属:市ケ谷家

指揮 81

武力 29

智謀 77

内政 83

魔力 26


(新田家と違ってこっちは内政系なんだな……)


 アデルは二人のステータスを見て思う。


「よ、よろしくお願いします」


 立ち上がりながら、アデルは頭を下げた。


「お久しぶりです、カオリ様。マイコ様」


 近付いてきたイルヴァが優雅にお辞儀をする。


「イルヴァ殿。遠路はるばるよくお越しくださいましたわ。それに異国の王を客人としてお迎え出来て、嬉しい限りです」


 カオリは笑顔でイルヴァに会釈をした。


(意外と好意的に受け入れてもらえてるのかな……)


 アデルは少し意外だった。外部との接触に積極的な新田家よりも、閉鎖的な市ケ谷家のほうが歓迎されないと思っていたからだ。


「他の方々も紹介していただけるかしら?」


 カオリはアデルに向き直ると、優雅な笑みを浮かべた。


「あぁ、ええっと……」


 アデルは後ろを振り返る。さすがにシーパラディンやジェントアウルなどは連れてこなかったが、格好はバラバラでとても家臣団には見えない。


「ひょーちゃんなの!」


 真っ先にとてとてと前に出てきたひょーちゃんが元気よく自己紹介する。


「あら、そうですの? 素敵なレディですこと」


 カオリは笑顔でひょーちゃんを見つめた。


「あははは、そ、そうなんですよ」


 アデルはぎこちない笑みを浮かべながら、慌ててひょーちゃんを背後に隠す。


「イルアーナだ。アデルの補佐をしている」


 アデルの横に進み出たイルアーナが油断なくカオリを見据えながら言った。


「あたしはフレデリカ。傭兵部隊を任されてる」


 フレデリカが不敵な笑みを浮かべながら言う。


「……私は神竜騎士団の団長、エレイーズです」


 周囲の様子を見ながら、エレイーズがやや遅れて進み出た。


 そのほかの者たちは互いに様子を窺いながら、名乗り出るべきか迷っていた。さずがに全員が自己紹介をする必要はないと思っているのだ。リオは名乗り出ようとしていたが、周囲の者に止められていた。


「なるほど。よくわかりましたわ」


 カオリは満足げに頷く。


(ちゃんと男としての立場をわきまえているようね……)


 アデルが最初にカオリらに対し敬意を表している。さらに女性陣が要職を占めていることで、神竜王国ダルフェニアも女性上位の国だと確信していた。


(「王」と聞いていましたが、さきほどからの態度を見てもそんな様子は全くありませんわ。恐らく役人たちを束ねる立場の人間を「王」と呼んでいるのでしょうね。となると……)


 カオリはアデルの同行者たちに目線を走らせる。


(本当の「王」の立場にあるのは……あの子たちかしら)


 カオリが目をつけたのは、興味なさそうにボーッとしているポチと、退屈そうに腕を組んでいるピーコの二人だった。

お読みいただきありがとうございました。

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