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成り行き英雄建国記 ~辺境から成り上がる異種族国家~  作者: てぬてぬ丸
第十三章 跋扈の章

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社会構造(ラパイソ)

 怪鳥がアデルの周囲に舞い降りる。通りや屋敷の上など、空いている場所にロック鳥たちは着地した。


(大きい……)


 アデルはその迫力に圧倒されつつ弓を引く。


「危ない!」


 アデルは叫びつつ矢を放った。矢は狙いたがわず目標を捉える。


 アデルが狙ったのは蛮族の兵士だった。


「うあっ!」


 投げようとしていた槍に矢が当たり、蛮族の兵士は槍を落とす。


「アデル殿!? 何を……!」


 それを見たラヒドが驚いた。


「みなさん、ロック鳥を攻撃しないでください!」


 アデルは周囲にいる蛮族たちに向かって叫ぶ。


「アデル様、どういうことですか?」


 クライフら神竜騎士たちも戸惑いながらアデルを見た。


「アデルのカシラ!」


 その時、ロック鳥の背中からコカトリスのシャモンがひょっこりと顔を出す。ジェントアウルのセバスチャンも一緒だった。


「シャモンさん、これはどういう……」


 アデルは戸惑いながらシャモンに尋ねた。


 アデルも状況が理解できているわけではない。ただロック鳥とともにシャモンたちがいるとこ、そして

「意気投合……」


「それにアデル様のことを話したら、コイツらもアデル様のところへ行きたい申しとります」


「は?」


 シャモンの話にアデルは絶句する。


「ど、どういうことですか?」


「コイツらこの辺の気候があまり合わないそうなんですわ。それにアデル様のところにおったら、ワイバーンに怯えなくとも良くなります」


 シャモンがロック鳥のほうを見る。ロック鳥がそうだそうだと言わんばかりに頷いた。


「こやつらはもともとバーランド山脈の南に住んでおった。空では強いほうじゃがワイバーンは天敵。地上にいるときにベヒモスに襲われるくらいじゃったろうな」


 ピーコがロック鳥の情報を話す。ロック鳥は小首をかしげてそんなピーコを見ていた。


(確かにこの暑い場所に住むにはモフモフすぎるよな……)


 アデルはロック鳥の羽毛を見ながら思う。


「バーランド山脈の南もマナ枯渇の影響を受けた。それでこの子たちはこのあたりに移り住んだんだと思う」


 ポチが無表情に語った。


「ワシからも頼みますわ。こいつらの面倒、見たってください」


 シャモンが翼でバシバシとロック鳥を叩く。ロック鳥はコクコクと頭を下げた。


「な、なんとなく話は分かったんですけど……シャモンさんたちは大丈夫だったんですか?」


「ん? 何がです?」


 おそるおそる尋ねるアデルにシャモンは不思議そうな様子だった。


「いやだって……どう見てもロック鳥さんたちのほうが強そうですけど」


「心外ですな。まあ確かに喧嘩したらちっとばかりコイツらのほうが強いかも知れまへんが……ですがワシらのほうが年上で鳥界では尊重すべき存在。コイツらもそれくらいはわきまえておるっちゅうことですわ」


 シャモンガ胸を張って言った。


(やっぱり鳥の社会は縦社会なのか……?)


 アデルはいまいち納得がいかず首をひねった。


「ホッホーッ! 確かに一部の翼ある者の間ではそういう序列があるようです」


 セバスチャンがシャモンの後ろで補足する。


「お、おい! これはどういうことなのだ!?」


 そんなアデルたちのもとに蛮族の女王の補佐を務めるガントがやってきた。周囲を衛兵に守られながら、ロック鳥を青ざめた顔で見ている。


「よくわからないんですけど……このロック鳥さんたちは僕らの仲間になってくれるそうです」


「はぁっ!?」


 アデルの言葉を聞き、ガントは驚きに目を見開いた。


「実力を示せという話だが、こうしてロック鳥たちが恭順しにやってくるのが我らの王アデルだ。これでは不服か?」


 イルアーナが余裕の笑みを浮かべながらガントに尋ねる。


「くっ……!」


 ガントは悔しそうに顔を歪ませた。


「……待っていろ、町の者と協議する。ロック鳥たちは町から離れさせろ! 奴らが暴れたらお前たちの責任だからな!」


 そう言い残し、ガントは去っていった。


「やれやれ……またとんでもないことをしたな」


 ラヒドがあきれたように呟く。


「いつものことだ。アデルの周りにいる者にとってはな」


 イルアーナもため息をつきながら言った。


「それにしてもなぜガントは偉そうなのだ? お前たちの方が優秀だろう」


「おっ、わかるかい? 美人は違うねぇ」


 イルアーナの言葉を聞きラヒドが嬉しそうに言う。


「あいつらはもともとここに住んでいた一族だ。他の部族は彼らに保護してもらった恩がある。だから蛮族全体のことの決定権は彼らにあるんだ」


 ラヒドが険しい顔で言った。


「彼らからすれば、あんたらはその立場を脅かす存在なんだろ。他の部族が元いた場所に戻れれば、彼らはもうデカイ顔をしていられなくなるからな」


「馬鹿らしい。能力もない者に付き従うなど愚かだ」


 ラヒドの話をイルアーナは痛烈に切り捨てる。


「いろいろあんだよ、人間にはな」


 ラヒドは苦笑いを浮かべるしかなかった。


お読みいただきありがとうございました。

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