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成り行き英雄建国記 ~辺境から成り上がる異種族国家~  作者: てぬてぬ丸
第十三章 跋扈の章

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怪鳥(ラパイソ)

誤字報告ありがとうございました。

「じ、実力ってどう示せば……」


 アデルはオロオロしながら言う。


「そうだな……」


 ガントは少し考え込んだ。


「ドラゴンを従えているのならドラゴンの一匹でも見せてみろ」


 意地の悪い笑みを浮かべながらガントが言う。ラヒドの言葉をまったく信用していない様子だった。


「ドラゴンって……」


 アデルは困惑しながら神竜たちのほうを見る。


「ひょーちゃんなの!」


 ひょーちゃんは元気よく挨拶したが、ガントは眉をひそめただけだった。


「なんじゃ、もうとっくに見ているじゃろうに。変なことを言うやつじゃのう」


 ピーコが首をひねる。


(……駄目だ。もし変身したところで、この子たちの大きさじゃ信用してもらえない!)


 アデルは焦って考えるが、妙案は出なかった。


(ワイバーンさんに来てもらうか? だけど見せるためだけに呼ぶのもなぁ……)

 

 悩み始めるアデル。


 その時、外がにわかに騒がしくなった。


 住民の悲鳴や叫び声が屋敷の中に聞こえてくる。


「た、大変です!」


 そこに衛兵の一人が慌てて飛び込んできた。


「やっとご飯の時間かい?」


「何事だ!?」


 イャルナを無視してガントは衛兵に尋ねた。


「ロック鳥が現れました! しかも多数!」


「何だと!?」


 衛兵の報告にガントの表情が強張る。


「ロック鳥……?」


 聞き覚えのある名にアデルの表情が曇る。ゲームなどではお馴染みのモンスターだった。


「ロック鳥か。厄介じゃな」


 ピーコが眉をひそめる。


「ロック鳥……やっぱり石化能力とかあるの?」


 アデルはピーコに尋ねた。ロック鳥は大きさが10メートルほどもある猛禽類のような怪鳥として描かれることが多い。さらに名前にその影響されてか、ゲームによっては相手を石化する能力を持っていることもあった。


「石化? そんな能力あるわけないじゃろ」


 呆れたようにピーコが言う。


「うるさいだけ」


 ポチがボソッと呟く。


「うるさい?」


「ロック鳥は凄まじい鳴き声で周囲の生物を麻痺させるのじゃ。食おうとしたらピーピーうるさかったのう」


 ポチの代わりにピーコが答えた。


「そ、それやばくない?」


 アデルが不安げに尋ねる。ガントは青ざめた顔で衛兵たちに指示を飛ばしていた。


「ふむ。まあ人間レベルではヤバいかもしれないのう。我らやワイバーンたちともなればその程度の攻撃は効かぬがな」


「力も相当強いんでしょ?」


「力だけならワイバーンたちと同レベルかのう。ただスピードや雷の力がある分、ワイバーンが圧勝じゃがな」


 ピーコがドヤ顔で言う。


「シマちゃんもつよつよなの!」


 ひょーちゃんが笑顔で言った。シマエナーガもロック鳥より強いと言いたいのだろう。


「ワイバーン並みか。手強いな」


 イルアーナが外の様子を窺いながら呟く。


「アデル様、急いで避難を!」


 神竜騎士団のクライフがアデルに進言した。いつのまにかイャルナの姿は消えている。蛮族の衛兵たちがどこかへ避難させたのだろう。


「良かったな。実力を示せるぞ」


 サラディオが皮肉っぽく言う。ラヒドはすでに部下を従えて表へと出て行っていた。


「なぜ我らがお前たちを守ってやらねばならんのだ。まだ正式に手を組んだわけでもないのだぞ」


 イルアーナがサラディオを睨んだ。


「と、とにかくいったん表に出て様子を見ましょう! どうにもできなそうだったら逃げます!」


 アデルは弓を手にしながら指示を出した。そしてアデル一行は屋敷の外へと出る。


「あれか……」


 空を見上げたアデルは険しい顔になった。


 空には確かに巨大な鳥が複数飛んでいた。住民たちを威嚇しているのか、町の上空を旋回している。その身体は薄茶色の羽で覆われていた。


「こ、こっちに来るな、化け物め!」


 蛮族の兵士たちが槍や弓を構えて叫ぶ。しかし巨大な怪鳥の前ではいかにも頼りなかった。弓を構えた兵士が矢を放つが、ロック鳥の巨大さに目測を見誤っており、ほとんどが届くことなく地面に落ちている。


「うわぁっ……」


 アデルもロック鳥を見て絶句する。その時、空を飛ぶロック鳥と目があった気がした。


「へ?」


 ロック鳥たちは大きくひと羽ばたきして空中で制止すると、アデルのほう目掛けて急降下してくる。


「に、逃げてください!」


 アデルは弓を構えながらそう叫んだ。


お読みいただきありがとうございました。

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