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閑話 詐欺(ミドルン)

申し訳ありませんがストーリの流れ的に本日は閑話をアップし、

本編は明日投稿させていただきます。

ご了承ください。

 アデルは祭りでにぎわうミドルンの通りを歩いていた。事件はありつつも剣技大会のプレッシャーから解放され、気晴らしも兼ねていつも通り出店のパトロールをしているのだ。人間の生活になじんできたこともあり、異種族の出店も増えてきている。相変わらずオーラのないアデルは人混みに紛れ、気になる屋台を覗いて行った。


「お、ケンタウロスさんが屋台をやってるぞ?」


 そのうちの一軒にアデルは興味を惹かれる。それはケンタウロスが出店している屋台だった。看板には「野菜の丸め焼き」と書かれている。


「ほぉ、これは……」


 屋台を覗いたアデルは唸る。そこでは大きな鉄板の上で丸い何かが焼かれていた。


「いらっしゃい。これはケンタウロス族の伝統料理だ」


 大柄なケンタウロスが少し硬い口調で言う。大きな体は小さな屋台の中では窮屈そうだった。ケンタウロスの野菜の丸め焼きは、鍛冶が得意なケンタウロス族が鉄と溶鉱炉を利用してよく作る料理だった。まさに鍛冶と家事のコラボレーションだった。


「へぇ。ひとつください」


 アデルは野菜の丸め焼きを購入した。見た目はお好み焼きのようだ。


 アデルは購入した野菜の丸め焼きを一口頬張った。


(……コロッケだな、これ)

 

 ケンタウロスは半身が馬であることもあり基本的に草食である。そして冬場である今は保存がきくジャガイモが大量に入っており、その味はアデルの言う通りコロッケに近かった。


(肉が全く入っていない分、旨味にかけるけど……まあ悪くないか)


 若干たんぱくな味わいのそれを食べながらアデルはさらに通りを進む。しばらく行くと今度はゴブリンが店を出していた。


「八宝菜……?」


 看板に書かれた文字にアデルは違和感を覚える。


(中華料理のあれじゃないよな……)


 アデルはその屋台を覗いてみることにした。


「いらっゴブさい、いらっゴブさい」


 客の呼び込みをしながら店主のゴブリンが鍋を振るっている。


「こんにちわ、八宝菜っていったいどんな……」


 尋ねようとするアデルだったが、鍋の中身を見て凍り付いた。


「見てゴブ。この美味しそうな子持ちのクモを新鮮な苔と一緒に……あっ、お客ゴブさん!」


 アデルは悲鳴を上げて逃げ出す。後ほど、この店には「ゴブリン族以外の購入は自己責任で」という注意書きが貼られた。


「ふぅ、ひどい目に遭った……食べ物系は危ないな……ん?」


 今度アデルの目を引いたのは男ハーピーが座るだけのシンプルな出店だった。地面に立てらてた小さな看板には「手相占い」と書かれている。


「へぇ、占いですか」


 その店に近づいたアデルは看板を見て興味をそそられる。


「おっと、ソーリー。うちのお客様はレディだけにさせていただいてるんだよ」


「あ、そうなんですか?」


 アデルは残念そうに言う。すると興味をひかれたのか、一人の若い女性がその店に近づいてきた。


「おー、そこのビューティホーなガール! 今ならフリーだよ。プリーズカミーン!」


「え、そうなんですか。じゃあ見てもらおうかな」


 アデルが見守る中、その女性は男ハーピーの前に座る。男ハーピーは翼の先で女性の手を取ると、その手を摩り始めた。


「ん~、まるでシルクのような美しいハンドだね。君の運命のハンサムボーイが見えるよ……今君の前にいる、このミーさ。どうだい、今から二人で祭りを抜け出して……」


「ただのナンパじゃないですか!」


 アデルが女性と男ハーピーを引き離す。


 こうして男ハーピーの占い店は出店中止となったのだった。


お読みいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 男ハーピーいるのかよ! だったら娼婦まがいの事しなくとも、 同族男と恋愛セックスしてりゃいいじゃないか というか、女が誰から構わず相手してたら、男あぶれるじゃん あれか、男ハーピーも種…
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