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お題シリーズ2

スモールハウス

作者: リィズ・ブランディシュカ



 それは、噂の中にしか存在しない家だ。


 ゴミ置き場に捨てられている、可愛らしい人形の家の話。


 誰が持ってきたのかは分からないけれど、いつの間にかゴミ置き場の隅に、ひっそりと捨てられているらしい。


 捨てられている人形の家は、誰かが使ったようには見えない、ピカピカの新品。


 おまけに見た目がとても可愛らしくて、女性受けしそうなデザインになっている。


 だから、見つけた人はもったいなく思って、自分の家に持ち帰ってしまうらしい。


 持ち帰った人は、たぶん大部分の人がその人形の家を、綺麗に掃除するのだろう。


 当然の流れだった。


 いくら新品同様といっても、ゴミ置き場に捨てられた物。


 念入りにチェックしたくもなるのだろう。


 たとえ見た目にゴミがついていなくても、気になるのが人間だ。


 しかしその時、女性たちは気がつくのだ。


 その家に人形が付属しているという事に。


 その人形は、まるで意図的に隠されたかのように、奇妙な場所から見つかる。


 そなえつけの家具の箪笥の中、テーブルの下、または柱の影などから。


 前の持ち主は、人形でかくれんぼ遊びをして、そのまま捨てたかのような状態。


 今の持ち主となった女性は訝しむはずだ。


 だが、理由は考えない、思いつかない。


 綺麗に手入れした人形の家に満足し、中に入れてあった人形を取り出し、そのまま一日を終えるはずだ。


 そして、眠ってしまう。


 翌日には、女性は消える。


 すると数日後、失踪した女性の家に、友人だか同僚だか家族だかが訪れる。


 円満な生活の痕跡を見て、首を傾げる彼らは最後に、人形の家を目にして訝しむだろう。


 なぜならその人形の家には、失踪した女性そっくりの人形があったのだから。



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