騙された!
俺は厚志だ!
涼子と結婚する男だ!
これから結婚式だ!
俺と涼子のじゃない。サツキさんのだ! 招待状きたしな!
【厚志と優子へ】
結婚式するからすぐ来い。
金も礼服もいらん。
サツキ
そして、二人の愛の巣に着いた俺達にサツキさんはこう言った。
「よく来たな。早速これに着替えてくれ。すぐ出るぞ」
そこには野良着一式と稲刈り鎌。
「・・・・」
「・・・・」
結婚式?
どうみても稲刈り・・
「いやあ、助かる。うちの親も歳取ったし、隣の真二んちの分も少し請け負ってるし手が足りないんだよ」
まだひと月しか経ってないのにすっかり馴染んでるサツキさん。耕平さんの親を『うちの親』と呼んでるし、順応はええ!
おそるおそる優子が尋ねる。
「あのう、結婚式ですよね」
「ああ、やるやる。だけど先ずはやることやらんとな、稲刈りシーズンだからな。それに私の親がまだ来ないから、それまでは仕事だ!」
花嫁にしては真っ黒く日焼けしたサツキさん。まあ、前の村でもこんなだったか。
そんなこんなで俺と優子は一家に混じって稲刈りをしていた。刈る、干す、集めて積む、運んで下ろす。
とにかく量が多い!
家の方では耕平さんのご両親が乾いた奴から脱穀している。藁を買い取りに来た人が牛車に藁を積む。藁を使うのは農家と酪農家だけではない。縄やムシロや天笠も藁だ。
とにかくこの時期は馬車に牛車に人力車と運び屋は大忙し! 当然サツキさんの実家も大忙し! それでも娘の為に来てくれると言う。まあ、空荷で来て何か積んで帰るんだろうな。
そして三日目。
「おおーい、サツキー!」
「とーちゃーん、かーちゃーん!」
漸くサツキさんのご両親が来た! やはり殆んど空荷の馬車で来た! 引き出物が載ってたけどな。
案の定、ご両親もガチムチ。因みにお父様のスキルは『調理の鉄人』で、お母様は『天使の歌声』だそうだ。問屋と関係ねえ!
お父様が調理の鉄人ならさぞかし料理が凄いんだろうなと思いきや、『酒の肴は炙った魚があればいい』だそうで、お母様は『人前で歌うなんて恥ずかしくて無理!』だそうだ。
その日の夜は待ちに待った結婚式!
両家の挨拶も平和に終わり、結婚式の段取りは音速で進んだ。
サツキさんを除いた女衆で料理を作る。その間に耕平さんとサツキさんは村に挨拶回り。どっぷり日がくれたところで宴会になった。両家の者に村の衆とかが集まった。
村に数着しかない礼服を着た耕平さん。
そして、満を持して現れたのは村に伝わる花嫁衣装を纏った、
色白でエメラルドグリーンの髪のサツキさんだった!
ええっ!
美しさで参列者の村人が驚く! 俺も驚く!
昼間は真っ黒く日焼けしてたよな!
確かにサツキさんだ。
夫の耕平さんが迎えてるし間違いない!
なんとなく腕もしなやかになってる。
ん?
サツキさん、なぜ台車に載っている?
んん?
んんん?
そして式は進み、二人の熱っついキス!
がっつりとしたキス!
なげえ!
「厚志さん」
「優子、あれどうなってんだ?」
「ふふふ!サツキさんのスキルですよ」
「どういうことだ?」
「『マーメイド』発動してるんです。びっくりですよ!サツキさんもスキルは殆んどしないんですって。今日は面白いもの見せてやる!って言ってたんです。因みに下半身は今お魚になってます。人魚、初めて見ました!」
「まじ?」
「本当です。だから歩けないんですよ。スキル解けば歩けるんですけどね」
なんと・・
そして式は宴会になり、サツキさんは元の日焼けした姿に戻り、酒をガンガン飲み始めた。
「おめでとうございます。耕平さんサツキさん」
「厚志くん、ありがとう」
「耕平さんお酒飲めるんですか?」
「飲めるけど?」
「酒乱とかじゃ・・」
ちらりとサツキさんを見る。
「あー、あれな。追いかけられた事あるのは私だけだ。他の女にはない」
「面目ない」
でかいくせに小さくなる耕平さん。
どうやら、酔っ払ったところでサツキさんへの想いが暴走したことがあるらしい。普段は大丈夫だと。
「あー、そうそう、厚志、優子。あしたは休みにするから今晩ヤりまくってもいいぞ!」
「だから!」
「ヤりっ・・・・」
隣で優子が真っ赤になってる。
てか、まだ稲刈り手伝うの?
「あーそれから厚志。涼子様から手紙が来たから返信しといたからな」
「涼子の手紙!涼子はなんて?」
「うむ。厚志を雇う場合は報酬の2割を涼子様に納めるとなってた。代わりに作業保険が適用されるとあったから、『適用』に○しといた。優子には普通に全額払うから。いやあ、ギルド通さないと安くていいわ」
「涼子お!」
「厚志くんの幼馴染はしっかりものだね」
「しっかりもの・・金の亡者だよ!」
「まあ、涼子様とは敵対したくないからこっちは払うけどな。私達は払う金額変わらんし」
「俺の手取りが!」
「はっはっは!どのみち最初の2日分は祝儀がわりにタダ働きだかな!」
悪魔かサツキさん!
「いや本当に助かってるよ。厚志くんも農家にならないか?」
「いやあ。あははは」
笑って誤魔化そう。
不意に声がかけられた。
「魔法使いの嬢ちゃん」
「はい?」
サツキさんのお父様が優子に何か用があるようだ。
「嬢ちゃんは魔法使いだろう」
「はい」
「使い魔はいらんかい?」
「使い魔?」
お父様は懐から小さな卵をみっつ取り出した。なんだこれ?
「娘が世話になってるし、ひとつあげよう。この中から選びなさい。魔力持ちが温めれば魔獣が産まれて来る筈だ。何が出るかはお楽しみだ。まだ若いから従えられる使い魔はひとつがせいぜいだろう。娘によくしてくれたようで、それのお礼だよ」
「魔獣?危なくはない?」
「危ないものかも知れないが、温めて孵化させた主には絶対服従だ。これは高魔力持ちには人気があるんだよ。さあ!」
なんか凄いもん出して来たぞ。こういうのって高価だよな。ただで貰えるってスゲエな!
俺なんて涼子に取られっぱなしだぞ!
「うーん、じゃあこれ!」
「よし。大事にしなさい。いい使い魔だといいね」
「ありがとうございます。どうやって温めよう?」
そこにサツキさんが乱入してきた!
「優子!谷間だ谷間!」
「サツキさん!谷間ないです!」
「あるだろ!変身だよ!変身!どーんと挟め!」
「ええっ!まさか!」
「嬢ちゃん。温めるのはほんの数分でいいんだ。ただ、魔力の強い状態がいいよ」
「ほら優子!たーにーま!たーにーま!」
酔ってるサツキさんが囃し立てると、他の村人まで連鎖した!
たーにーま!たーにーま!
たーにーま!たーにーま!
たーにーま!たーにーま!
「変身しないと厚志とっちゃうぞ!」
人妻のあんたが言っちゃ駄目だろ!
だが、効果てきめんで、なんかの魔法をだして音速で優子はばふん!と変身した!
おおおおおおう! おおおおおおう!
おおおおおおう! おおおおおおう!
おおおおおおう! おおおおおおう!
地味子が美女に!
しかも露出多し!
ローブ無し!
沸く男共!
「ほ~ら」
卵を優子の胸に差し込むサツキさん!
会場は優子に注目!
主に胸に注目!
「あわわわわわわ!」
真っ赤になる優子。
後ろに立ち必要ないのに優子の腕を掴んで広げるサツキさん。
絶景に見惚れる男共!
そしてついに卵に変化が!
殻割れだした!
なんか出てきた!
いったいなんだ!
そしてそれはどんどんデカくなって服を破って天に向かって飛び出した!
飛び出したナニかは更に成長しながら放物線を描いて離れた地面に着地!
でかい!
「ぶるるるるるるっ!」
そこには白く大きな馬。
頭に角がシャキーンと生えてるし、なんか怖い。
因みに会場の8割は馬を見ていたが、2割は優子のはだけた乳を見ていた。優子がぼろんに気付いたのは数十秒後だ。
「お嬢ちゃん、乗ってみなさい」
お父様が足かけを手で作って、馬に乗るよう促す。
言われるがまま馬によじ登る優子。片手でだ。もう片方の手は胸を押さえてる。変身はまだ解けないらしい。
そして、馬は優子を受け入れた。神々しい!
大きく美しい白馬にまたがる露出美女。胸を隠す手が邪魔だ!
「これはユニコーンだね。しかもでかい。ツノから見て恐らくはナイト ユニコーン。ナイト ユニコーンの『ナイト』は夜と言う意味じゃなく、主人を守る習性からつけられたんだ。とても強い種だよ。もうお嬢ちゃんのものだよ、可愛がっておやり。お嬢ちゃん次第でユニコーンは更に強くなるよ」
伝説のユニコーン。
それに跨がる優子。
「お嬢ちゃん、処女だったんだね・・」
そう。
ユニコーンは処女しか乗せないと言われている。
サツキさんが優子にぼそり。
「優子、セックス禁止な」
「ええ・・・・」