ダンジョン!
【月刊勇者 9月号】
巻頭カラー ミス碧邪魔学院ファイナリスト五人の水着ショット!
特集・碧邪魔学院特設ダンジョン成績一覧!
魔導師瑠美の恋愛相談!
【プロも】涼子様と始める投資・運用【初心者も】
売りたし買いたし
読者プレゼント 勇者さとるの聖剣レプリカ
俺は厚志!
涼子と結婚する男だ!
なんだこの9月号の表紙は!
勇者さとるなんか見たくもねえ! 本カバーつけて見えなくしてやる!
さとるばーかばーか!
俺と優子はなが~い農村クエストを終え帰って来た。
サツキさんから受け取った手形をギルドのメロンに渡し、報酬を受け取った。
文句を言いたくはないが報酬は安かった。やってたことは作物の収穫だし、食と寝床があったから仕方ない。食い物は不自由しなかったし良いものも食べれたからよしとしなければ!
優子に比べて俺の報酬が安い! まさかサツキさんの裸見たせいか! と思ったが、涼子への上納金が抜かれてた。
そして俺と優子はベンチで屋台で買った焼きそばを食べながら月刊勇者を読んでいる。
碧邪魔学院
この学校は国営で戦闘系では有名なところ。
夏は学生がダンジョンを作るのだ!
そう、作るのだ。アタックするのではない!
そして、ダンジョンは校外の人間がソロアタックで競う。
毎年学生が作ったダンジョンを一般公開するのだが、最初のひと月は有名人やランカーの招待選手だけ入れる。そしてそのあとひと月は一般参加者向けだ! 運営は学生がする!
因みに同時開催でミス碧邪魔学院コンテストもやってる。当然ミスコンの投票もした! 涼子似の奴にな!
そして、この本に最初のひと月のアタック上位者が載っている!
クリアタイム
1位 128分03秒 勇者さとる
2位 266分40秒 冒険者たかし
3位 276分12秒 魔導師瑠美
因みに涼子は10位 307分00秒だ。誉めて良いのか悪いのかわからん!
20位まで書いてあるが、知らん奴だらけだ。
だが、涼子はタダ者ではない!
ポイントランキング
1位 100581点 涼子様
2位 56771点 勇者さとる
3位 45032点 冒険者たかし
ポイントランキングはクリアタイムだけでなく、ダンジョン内の獲得アイテムとか細々とした討伐も点数になる。そしてダンジョン内でゲットした武器やアイテムは、ダンジョン内でしか有効ではないが、終わったあと賞金と記念品が渡されるのだ!
金が絡むと涼子は修羅になる!
まさか勇者に倍近くの差をつけるとは!
俺の次に本を読む優子。
「凄いですね、涼子様」
「当然だ、俺と結婚するんだからな!」
「しかしなんで『涼子様』なんでしょうね?『斬擊の女王様』じゃないの?」
「うむ、『女王様』とは書けないし『斬擊』は所属でも職業でもないしな。しかし相変わらず金が絡むと恐ろしい女だ」
「はあ。それにこの財テク特集も涼子様だしね」
「あいつは子供の頃から頭が良かったからな」
「凄いなー。涼子様の賞金って、総合優勝の勇者さとるより高いのね。凄いわー私もお金ほしー」
「優子よ。まだダンジョンやってる筈だ。チャレンジしてみないか?」
「え?無理無理無理!」
「大丈夫だ、死にはしない。良い成績だせばギルド相手で箔がつく!」
「行くの?」
「行くぞ!」
碧邪魔学院特設ダンジョン
くっ!
参加料が必要だったとは!
成る程、賞金もあるからには参加料もあるのが当然か!
ダンジョン前には整理券もった暇人が何人も居る。
まあ、俺達も整理券もった暇人だが。
ダンジョンの周りは屋台やら大道芸だらけ。これみんな学生か!まるで祭りだな!ミスコンは今も大接戦らしい。
213番
俺の番が来た!
「行ってくるぞ!」
「いってらっしゃい」
優子に見送られて第1セクションに!
野獣セクション!
俺は剣を抜いた!
どりゃああああ!
結果。
俺は第三セクション敗退。
552pで、第二セクションクリアタイムは134分41秒でさんざんだった。
552pだと賞金は無い。賞金は10000p以上からだ。
優子は第1セクション敗退、21pだ。
魔法を使おうと思ったが、スタッフの学生が見てると思ったら恥ずかしくて変身出来なかったそうだ。あらかじめトイレとかで変身すればよかったろう!
一般人の成績は本には載らない。ここで結果を見ていくしかない。
一般人への解放がもうすぐ終わりそうだが、さっきの優子で214番目。
ダンジョンは第1~5セクションで構成されてるが、
第1セクションは野獣
第2セクションは魔獣
第3セクションは盗賊
第4セクションは中ボス (ゴーレム)
第5セクションは魔王 (ゴーレム)
な、設定だ。
で、今んところ後1日残して、
第1セクション退敗が110人。
第2セクション退敗が54人。
第3セクション退敗26人。(俺はここ)
第4セクション退敗が16人。
第5セクション退敗が5人。
全セクションクリアが1人!
行方不明2人(どこいった?)
掲示板の一般参加の成績表を眺める俺と優子は唖然とした。
一般の部 1位 元野菜農家サツキ
クリアタイム 286分59秒 30129p
マジかい!
この人スキル一切使ってないぞ!【爆速のマーメイド】はダンジョンでは使い物にならん!
それでオールクリア?
「久しぶりだな」
声の主。
こん棒を腰にさげ、キャベツの千切りを大量に持ったサツキさんが居た。
「サツキさん!」
「元気そうだな!」
「どうしてここに?」
「いや、ダンジョン参加ついでに学生の屋台の手伝いだ。屋台は学生しかやっちゃならない決まりだが、敷地外での仕込み作業は部外者でもオッケーだ。今無職だからな、これで日銭を稼いでる」
「村は?」
「ああ、もう出た」
「会えて嬉しいっす、サツキさん!」
優子もサツキさんの服を掴んでぴょんぴょん跳ねてる。嬉しそうだ!
「お前ら結果は?」
「くっ、第3敗退・・」
「だ、第1敗退・・」
「・・・・」
情けない。
顔向け出来ねえ。
農家の足元にも及ばない冒険者二人。
「それにしても凄いです、サツキさん!」
優子がなんとか立ち直りサツキさんを讃える。
「いや、まあな。でも、明日には書き換えられるぞ。知り合いから聞いたんだが、稲作ってる耕平が参加するって聞いたからな。私が割と強いといっても所詮は女だ。耕平には敵わん」
「その耕平と言う人は強いんですか?」
「強いぞ。あいつが酒に酔ったら私なんか乳と穴押さえて逃げるしかないからな!」
「穴っ・・」
優子がひく!
「優子も耕平には気を付けろ。あんなの相手にしたら優子じゃ裂けるからな!」
「裂けっ!」
ますます返答に困る優子。
サツキさん、言葉選べ!
そうじゃなくて、強さの話はどうした!
「まあいい、お前らは暇か? ちょっと仕込み手伝え。
ここのガキ共、明日の最終日が終わったら打ち上げパーティーやらかすから食材運びが大変なんだ。ちょっと手伝え!」
そうして俺達はサツキさんに連行された。
そして、サツキさんの言うとおり、翌日、一般参加者の最高位が書き換えられた。
そう、最終日の大逆転だ!
一般の部 最終結果
一位 米農家耕平
クリアタイム 159分10秒 70855p
サツキさんに聞いたが、耕平さんのスキルは【魂の画家】だそうだ。
芸術家?
なんで【魂の画家】が全参加者で2位なんだよ!ポイントでも2位だし! 農家でスキル使ってないし!
そういや、サツキさんも全参加者女子で2位だったな! あの人もスキル無しで!
農家おかしいだろ!