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駄目だ清信!

 は?


 奥さん、今何て言ったの?

 清信も誘って3Pしてやれ?



 いやいやいやいや!

 奥さん、貴方が浮気された話なのよ?

 更に3Pとかおかしいから!



「何とかいったらどうなの!」

 康夫さんに怒鳴る奥さん。

 いやいやいやいや!

 ちょっと待って!


「その、勝己には美佳を頼むと言われてたし・・」

 え?

 そういう意味?

 違うんじゃない?





 ギッ、バァン!

「ちょっと待って! 話は聞かせて貰ったわ!」



 まさに今私が思った事を叫びながら、ドアを乱暴に開けて入ってきた女の子。


 美佳ちゃん!



「康夫さんを責めないで! 清信とはしたくないって言ったのは私なの!」


 奥さんに責められる康夫さんを庇う美佳ちゃん。





 涙ながらに奥さんに訴える美佳ちゃん。

 怒り心頭の奥さん。

 項垂れる康夫さん。

 みんなおかしいよ・・・・



 犯罪をした清信がマトモに見えてきた。



「康夫さんは悪くない! そもそも悪いのは清信!」

 そうだよね。

 その筈だよね。

 自信失くなってきたけど。



「美佳!」

「そもそも私、清信と結婚するなんて言ってないし!」


 ぐっ!

 フラッシュバックが!


「結婚しようっていったじゃないか!」

 清信が美佳ちゃんに怒鳴る!


「そんなの学校に入る前のちっちゃい頃の話でしょ!」

 え?

 そうなの?


「ずっと一緒だったじゃないか!」

「家が隣だからじゃない」

「俺たち仲良かっただろ!」

「それを幼馴染って言うのよ!」



「俺達結婚するんだろ!」





「絶対嫌よ!」






 美佳ちゃんの言葉の後、静寂が訪れた。


「清信、毎日毎日へんな本ばっかり読んでばっかりで勉強はしない働きも出ない。部屋に籠りっぱなし。お金貰えは王都に行って怪しいエロい本のサークルに入り浸って! そんな男と結婚する女なんて居ないわよ! 少なくとも私は絶対嫌よ!」


「え? なに? どういうこと? あれ?」

 どういうこと?

 清信の言ってたのと違う?


「奥様、康夫さんはちゃんと気付いて清信ともどうだい?って言ってくれたわ。私が拒否したからそのままお流れになったけど。大体迷惑よ! 壁に穴開けて覗き見なんて! こっそり覗いてるかと思えば『はあはあ』煩いし!」


 ええと・・・・


「第一清信キモいわよ! スキル貰った直後から私の風呂やら部屋やら覗きまくって! 家中穴だらけにして、いい迷惑よ!」



 え?

 え?

 覗き見?

 スキル?

 つまり・・



「美佳ちゃん、清信・・君のスキルってなんなの?」



「清信のスキルはね『覗き魔』よ!」




「ええええええっ!」

 なんてスキル!


「清信はね、壁とか板とかに時間が掛かるけど穴を開けられるの。お陰でうちの風呂やら私の部屋とか穴だらけよ! キモいだいっ嫌い!」

 あー、それは嫌われるわ。


「前から変な本に入れ込んでダメな奴だと思ってたけど、覗きされたら覚めたわ!引いたわ!軽蔑したわ!」



「そ、そうね・・」

 なんか少し救われた。

 厚志は覗きはしない。

 そういう問題じゃないけど。



「確信したわ。清信がスキルで船に穴開けて棒突っ込んでこじったりして板をわったんでしょ!」


「成る程。スキルを使ったのね。板はただ叩いただけならハネて割れにくいし、叩いた音が大きすぎて見つかるし。穴を開けてこじるのね。

 そうなの?清信君」


「ふん」

 清信は顔を叛けた。

 図星らしい。


 それにしても、この町に来てから着替えとか風呂とかしなくてよかったわ。

 まさかの覗き魔。



 まだ美佳ちゃんの怒りは収まらない。

「清信が捕まったって聞いて、ひょっとしてって思ってあちこちの家を見て回ったら、何ヵ所か穴が開いてるじゃない! 何が人気の無い所まで走って泣いたよ。覗きばっかりしてたんじゃない!」


「あちゃー」

 頭いたい。



「清信サイテー」


 その美佳ちゃんの言葉の後に清信はめそめそ泣き出した。

 あーあ。



「清信君、何はともあれ船を二艘潰して三人殺したのは貴方の罪よ。後は署のほうでゆっくり話して貰うわ」


 他の二人の追及もしなければいけないし。三人は署に移さないと。早く迎えが来ればいいのだけれど。


「厚子くん。三人は死んだと決まった訳じゃない。海の男はタフだ。大シケでもなければ案外生きてるかも知れない」


「そうなの!」


「我々はもしもの事を考えて余り沖には出ない。まあ、船と積み荷は駄目だろうけれど」


「じゃあ、今彼らは?」


「陸路を歩いてるかもしれないし、旅の途中で食費がなくてバイトをしてるかもしれないし、船を沈めたのを自分のせいだと思い込んで逃げたかもしれないし、いい女が居てそこに留まってるかも知れない。死んだと決まった訳じゃないよ」


「そうなのですか?」


「たまにある」


 やっぱりここの港の人達はおかしいよ。

 こんな人達を優子はコントロール出来るのかしら?

 心配だわ。


 あら?


 じゃあ、美佳ちゃんと康夫さんの関係は奥さんと息子さん公認?

 いいの?

 こんなちっちゃい美佳ちゃんがガチムチの康夫さんとまぐわってる姿が想像できない。まるで大人と子供くらいの対格差に頭がくらくらする。

 しかも、美佳ちゃん楽しんでるとか上級者過ぎる!



 どうしても納得いかなくて奥さんに聞いた。

「康夫さんのこと、あれでいいんですか?」


 奥さんの返事はこの港の呈を表していた。


「いいのよ。私は康夫の妻という立場だけれども、この港では康夫の妻代表ということなの。世間体で妻という存在は都合がいいしね。妻という立場だと一番康夫の恩恵を貰えるけれど、仕事と役職が多いわね。

貴方知ってる?康夫は7人兄弟で男は4人。兄と弟2人は海で死んだわ。武男も男の兄弟は5人居るけれど生きてるのは3人。彼らはいつ死んでもおかしくないの。結婚自体が悲しみの元。だから私たちは結婚せずに自由恋愛をして、夫と妻の共有をするの。一人が死んでも代わりの者が生活を支えるの。いわばみんなでひとつの家族、この湾限定だけどね。そして誰でも家族に成れる訳じゃない。男も女も皆が認めた者しか家族に成れないわ。

清信君は認められなかったし。清信君を誘えと言った私の言葉は間違いね」


「理解出来かねます・・・・」


「それが私達の生き方よ。この厳しい海に生きる私達の生き方」


 こんな世界が・・

 優子から武男さんの話は聞いて居た。敢えて結婚はしないし、多くの女に尽くす。まさか港全体がこうだとは思わなかった。そしてこの港のガチムチの男達も海に消える・・・


「それにしても美佳ちゃん人気凄いわ。私も若い頃は毎晩だったのになあ。暫くみんな美佳ちゃんに夢中ね。子供出来るまでは大忙しね」



 やっぱりこの港は変だ。




 私はあのあと美佳ちゃんにこっそり聞いてみた。



「何人としたの?」



「全員」






 上級者過ぎる・・・・

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