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闇輸入

 勇者の婚約者という立場。



 それは発言力を振るうのに必要な後ろ楯。

 一時期、議会にも出席していたが、バッシングが始まってからは出ていない。既に私に賛同する議員が増えてるから問題はない。この国の景気を上げるには議会より民間の財団を使う方が10倍も効果がある。実際上手くいった。


 一番やらねばならなかったのは、輸入を減らすこと。

 国内にも作ってる業者がいるのに安い輸入品を流通させると、国内の業者はどんどん貧乏になり、金は国外に流れる。金が苦しくなった人達は買い物をするときに、また安い輸入物を買う。また金が国から出て輸入にやられた産業の人達・・以後、止まらない悪循環。


 私が最初にやったのは『権力』を使って国内の販売店と問屋に国産品を売るように圧力を掛けた。

 私の名前でだ。

 王や議会の名前は使わない。国の決定とすると隣国も輸入制限を国の決定だといって対抗してくる。

 だから、あくまで民間の動きとして輸入制限した。

 私のバッシングはうなぎ登り。国の内外に相当恨みを買ったからな。

 だが、私ひとりが悪者になっただけでこの国の景気はV字回復した。


 なにせ、国として輸入制限はしていない。あくまで民間。隣国も同じことをしようとしたらしいが、商店と問屋の足並みが揃わず挫折したようだ。


 景気が良くなると、労働者の通年雇用を進める事が出来た。今まで事あるごとに従業員は解雇されたり雇われたりだったので、各産業はノウハウがその度に途切れていた。

 通年雇用でノウハウはたまるし継続する。しかも、新商品の開発も進んだ。今まで新商品を従業員が思い付いても試作は殆んどされなかったからだ。作っても解雇されるなら意味はない。雇用がつづくなら話は変わる。

 今、この国の産業は勢いがある。商品の性能と品質では外国に勝る。

 有能な部下や後継者も増えた。体制は万全だ。





 改めて私は自分の功績に酔った。


 世間からはバッシングの対象となったが、それも叩かれ役に徹することで部下を自由に泳がせることが出来るから悪い事ばかりではない。

 あとはこの国と厚志を守る為に自身を鍛える。

 厚志とは結ばれない。それは覚悟した。

 だが、厚志は私が守る!





 油断だったかもしれない。

 まさか、国民に不景気をわざわざ作ろうとする存在が居るとは思わなかった。









 ーーーーーーーー




「やめてくれ!」





 縄で縛られた店主が叫ぶ。


 店主の目の前で店主の妻と娘が・・・・

 息子達は既に殺されて何処かに運ばれた。


 まだ30前の店主の妻には冒険者が我先に群がり、幼い娘には・・・・鉄哉。

 店主の妻はもうボロボロで声も出ない。



「いたいいいいいいい、助けてえ!」

 娘が泣き叫ぶ。

 だが、鉄哉にはその悲鳴もご馳走。先日読んだエロ小説のシーンを実践していた。


「真那あ!」

 目の前の地獄に必死にもがくが縄は解ける事はない。

 それどころか冒険者のリーダーに殴る蹴るの暴行を受ける。



「我々の依頼を断った報いだ、絶望しながら死んでいけ。娘だけは()()生かしておいてやる。あいつが飽きるまでな」

 あいつとは鉄哉(ロリコン)のこと。




 そして、店主はさんざん地獄を見せられた後、冒険者のリーダーに首を折られて死んだ。



 そして冒険者のリーダーも服をほどいて店主の妻にむさぼりついた。流石に子供に興味は無い、抱くならこっちだ。



「殺す前に一度位はな」





 牧子の経営する輸入業の闇販売を断った店主。この国の商店組合は談合で輸入品の販売を一定割合以下に抑えている。牧子の会社は輸入品であるのを隠して国産品として売るのを店主に強要。だが、店主は断った。それどころかそんなことは許さんと楯突いた。

 店主の最期は悲惨だった。

 家族は地獄に落とされ、店は当然潰れる。


 冒険者達は店主に遠慮しなかった。


 真面目に学業を修め、長い見習い期間を経て働いてようやく自分の店を持ち、家族と従業員と幸せに暮らす。

 苦労の積み重ねの末に今の生活がある。



 だが、冒険者にとってはそれは憎悪の対象。自分達よりいい生活している者は気に食わない。子供の頃から勉強も修行もせずに遊び呆けてた自分のことは棚上げる。

 生活力の無い冒険者がモテないのは当たり前。幸せな結婚している店主が気に入らない。

 店主達を恨むのは完全な逆恨み。店主達に罪はない。


 だが、冒険者達は店主達に理不尽なザマァをして大喜びだ。


 そして、一家は凄惨な最期を迎え、暫くして『変な集団』が経営を引き継いだ。



 これは牧子の戦略のまだ序章。


 輸入がいかにボロい儲けを産み出すかを萌え絵と小説で知った。その闇輸入を他の分野にも拡げる。


 そして隣国は非公式に牧子の援助と協力を申し出た。

 貿易赤字を取り戻すべく牧子を利用する。牧子も隣国を利用した。

 牧子の資産は六割隣国に移した。

 遺体処理も隣国に依頼している。これならまず見つからない。運ぶにも隣国は近い。向こうの国に埋めてしまえば此方の国の警察は手を出せない。そして向こうの警察も牧子とグル。

 牧子の協力をするというのは手を汚すこと。

 隣国はそれも良しとした。

 隣国にとって、これは工作活動で戦争だ。



 牧子の計画。

 国の富を少しずつ奪い取る。金が目的でもあるが、本当の目的は国に大恐慌をもたらし、涼子にザマァすること。

 近年、涼子のお陰で国は裕福になった。ならば、その国をメタメタにしてやろう!

 好景気でギルドが潰され、『お父さん』が冷飯を食わされた恨みをを晴らすのだ!

 国や国民がどうなろうと構わない! 何人死のうがどうでも良かった。


 牧子の本音中の本音は誰にも話したことはない。

『お父さん』にもだ。


 冒険者はただの金儲けだと思ってる。

 オタ達は萌え絵と小説の軍資金集めだと思っている。まさか犯罪をしているとは思わないだろう。


 そして鉄哉。

 鉄哉の呪縛は解けていた。

 初めて幼女を貪った時にあまりの快感で我に返った。

 そう、鉄哉は自らの意思で連続幼女暴行をしていた。

 最初の犯行の後、罪悪感が沸いたが、それよりも欲望が勝った。いままでエロ小説でしか味わえなかったことを実際にしてタガが外れた。そして呪縛が解けてたのをのちに牧子に悟られたが、彼は牧子に忠誠を誓った。牧子にすれば汚れ役の冒険者が手に入り、鉄哉にすれば次の少女の体を予約出来たようなもの。そういう機会には鉄哉はよく呼ばれた。今回がそうだ。

 勇者さとるの親友を自分の見方につけた。勇者さとるの完全支配にまた一歩近付いた。

 勇者さとるはまだ完全な支配が出来ていない。精神を揺さぶるような強い衝撃を与えても呪縛が維持できる自信が牧子にはまだない。


 何かいい方法は?

 牧子はいつも勇者を完全支配する方法を探していた。

 いつかハイスキル持ち主と戦う日が来るかも知れない。勇者の戦闘力は必須だった。




 そして、勇者の完全支配の方法は鉄哉もいつも考えていた。

 勇者を欲しがったのは牧子だけではない。

 

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