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牧子の実験

 ひとりの男が郊外の道をゆく。

 割りとひょろい男で日焼けはない。


 少し離れた所から後をつける牧子とケンと手下。

 男は尾行に気付いていない。注意力も無いように見える。



 前から少女が歩いてくる。恐らくは地元の子でまだ幼い。見た感じ10歳から12歳に見える。若さゆえに肌が綺麗で髪がさらさらで可愛い子だ。

 すれ違い様、男は少女の腹を突然殴り付けた。

 崩れ落ちる少女。

 意識はあるが苦しみに動けない。必死に呼吸をしようと痛みから逃げようと身をよじるが、男はきつく猿ぐつわをさせ手も縛った。


 そしてたまたまあった何かの道具小屋の裏に少女を連れ込み、事に及んだ。

 猿ぐつわごしに聞こえる悲鳴、泣き声。


 牧子達は離れた場所からそれを眺める。

 止める訳でもなし、一緒に少女にむさぼりつく訳でもなし。ただ見ている。


 男は初めてだったのか随分長々とやっていた。 童貞で手際が悪い。だが欲望はおさまらず何度も同じ事を繰り返す。もがき苦しむ少女が痛々しい。

 だが、誰も止めない。


 長い極楽が終わった。


 少女にとっては地獄だった。

 第三者は誰も来なかった。

 助けは来なかった。



 少女のすすり泣きが聞こえる。




 男は脱ぎ捨てた自分の服をとり、中から小さな刃物を取り出した。


 そしてすすり泣く少女の首をザクッと切った!

 驚く少女! ドクドクと血が出る。

 更に胸に腹に足に腕に!

 ザクザク切る!

 激痛にもんどりうつ少女!



 やがて少女は血の海に切り刻まれた裸体を沈めた。

 少女に罪などないし男に面識もない。



 男は血を少女から剥ぎ取り投げ捨てた服を使って拭き、自身の服を綺麗に着直して刃物をしまい、何事も無かった振りをしながら去った。


 遺体は放置。




 男の名は鉄哉。

 オタサーでの勇者さとるの友人である。

 彼は夢である少女強姦を果たした。いつもなら物語と妄想のみだが今日は夢を叶えた。鉄哉にとって女とは処女の少女の事であり、成人女性の事ではない。かつて見た今日子のような中古の年増は穢らわしい存在だ。









「ここからが重要ね」

「本当に大丈夫なのか」

「少なくとも10日は観察するわ」

「駄目になるなら最初の3日だろうからな」



 牧子とケンは鉄哉の後をつけた。

 鉄哉にとってはさっきの行動こそ重要だが、牧子にとってはここからが勝負である。



 鉄哉はそのまま歩き、いつものオタサーに入った。

 後をつける牧子達。

 ここまで誰にも見られなかった。一安心だ。

 誰かに見られた所でケン達が証拠隠滅するのだが。


 鉄哉はフラフラと共同の寝室に入り、そのまま寝てしまった。幸せそうな寝顔。それもそうだろう。さっき自分の夢を叶えたのだから。





「二人で交代しながら見張って頂戴」

 そう手下に牧子は指示した。




 これは牧子の実験。



 本来なら精神に強いショックを与える行為が鉄哉の呪縛を解くことに繋がるかを観察。

 以前、牧子と寝たオタは生肌の感触にオタの呪縛が溶け正気に戻った。

 本来なら鉄哉も同じことになる。だが今回はどうなるだろう?

 鉄哉には、牧子の呪縛に加えてもうひとつ呪縛を掛けた。

 それは牧子の関係するホストのスキル、


『胡蝶の夢』

 夢と現実の区別がつかなくなる呪縛。



 鉄哉は夢気分で行動して、自分の欲求を少女で満たした。この呪縛が効いてる間は夢気分で実感が無い。記憶すら曖昧だ。


 正気にもどったなら大変なことになるだろう。少女暴行殺人をしたのだから。


 だから今からが勝負である。鉄哉が正気になるかどうか。夢だと思うのか。いずれは少女の事件を耳にするかも知れない。その時どうなるかも観察。


 記憶を消せるスキル持ちが居れば良いのだが、そんなスキル持ちは自分の団体にもホストに作らせた会社にもケンの裏ギルドにも居なかった。


 今のところ、『オタサーの姫』『胡蝶の夢』の組み合わせで人をコントロール出来るか? 本来ならやらない犯罪をさせられるか?

 それが知りたい。




 そしてそれは、手に入った勇者さとるをコントロールするための実験。

 どんなに強力でも使えない力なら役立たずだ。

 勇者さとるは強い事を除けば普通の男だ。善人とも言える。力に溺れて威圧することもない。

 以前、呪縛を強めて王宮から金を持ち出させた時、その後の勇者の落ち込みは酷かった。

 以後、『もう終ったこと』と、宥めて、更に呪縛を定期的に掛けてなんとか落ち着かせた。


 折角手に入った勇者。

 捨てる訳にはいかない。



 この実験が上手く行かないのなら新たな手を探す。

 簡単に勇者を諦める訳にはいかない。




 牧子にとって少女の苦痛と命などどうでも良かった。

 ケンはそんな牧子を末恐ろしいと思った。

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