瑠美の授業
遂に瑠美の魔法訓練の日が来た。場所は瑠美の別邸の中庭。今日はゴーレムを教えてくれると言う。
「昔はこういうのが流行っていたのよ」
瑠美はだんっ! と、地面を踏んだ。
その直後、土がごそごそと盛り上がり人の形になる。
それは優子が生まれて初めて見るゴーレム。それに優子の目は釘付けだ。
人の腰程の背丈の土人形が仁王立ちしている。
「疲れたくないからこの大きさでご免なさい」
小人ゴーレムは小枝を拾うと近くの木に向かって剣を振るうかのように攻撃をした。当然、瑠美の操作だ。
見ているとなんか可愛らしい。
そして小人ゴーレムは木に蹴りを入れる。それも可愛らしい。だが木はびくともしない。これが使い物になるのだろうか?
「昔、魔導師は競って大きくて強いゴーレムを作っていたわ。確かに魔力を大量に使えば人間よりも大きくて力のあるゴーレムを作れる。バカよね、疲れるだけなのに。直に自分で10キロの荷物を持つよりゴーレムで10キロの荷物を持つ方が倍以上疲れるのに。たぶん力自慢してたのね。魔導師同士でゴーレムを戦わせてた時代もあったらしいわ。殆んど見世物ね。観客は金を賭けてたかもね」
確かにそうだ。
体力の無駄遣いだ。
魔力の元は食事からだ。
日々魔力のスタミナを貯め、使うとか放出は鍛えれば多くなる。だが、その分スタミナ切れも早くなる。
涼子の加護が付いてからいくら食べても太らなくなった。魔力タンクがでかくなりどんどん溜め込まれる。涼子の加護で大放出も可能だ。今の体なら巨大ゴーレムを作って動かす事も可能かもしれない。
だが、同じこと。
巨大ゴーレムに仕事をさせるより自身の手を強化して動かした方が効率がいい。
「まあ、何かの役に立つから覚えても良いだろうけど、使い道ならこういうほうが多いわね」
「きゃ!」
優子は思わず踞った!
服の中に何かがいる!
いつの間にか何かが服の中に居て、それが自身の胸の頂点をぎゅっとしたのだ! 直に!
「どうかしら?」
慌てて服の裾から手を突っ込んで、胸の先端に吸い付く何かを引きずり出した!
それは平べったく掌サイズの白っぽい変な生き物。軽い。
「綿で作ったゴーレムよ。軽くて気付かなかったでしょう。綿は人が居れば服の中から割りと簡単に調達出来るし、軽いから気付かれにくいわ。軽いから魔力消費も少ないしね。他にこういうことも出来るわよ」
そういうと瑠美は近くに有ったバケツの水を柄杓で掬い優子にぶっかけた!
濡れる服!
だが、服は乾いた。
だが今度は服の中に冷たくてにゅるにゅるしたものが動き回っている!そしてそれのまさぐりは綿のゴーレムより強烈だ!
水が乾いたのでは無くて、服の中に浸入してきたのか!
このままでは頭がおかしくなる! 優子は必死に水のゴーレムを引き出そうとした! だが、ゴーレムはばしゃっと水に戻り、手から逃げ別の位置でゴーレムを形成した!
にゅるにゅるの愛撫に悶える優子。
「凄いでしょ」
瑠美は悪い顔で悶え続ける優子にそう言った。
そして優子はこの女だけは敵に回してはいけないと悟った。
風呂に入ってるときに襲われたらとんでもない事になってしまう。布団で寝てるときも危険だ!
下手すれば野宿で地面に寝ていても危険だ!
貞操の危機だ!
「た、助けて・・」
「あら、戦士が助けてなんて言っちゃ駄目よ。まあいいわ、始めましょう」
「あ、ありがとうございます」
漸く優子は自由になった。ぜいぜいと息を乱している。
優子は少し後悔し始めていた。この人を師にして良かったんだろうか? 技術は最高だが性格に難が有りすぎる!
でも、もう決めたのだ。
頑張ろう、そう思っていたのだが・・
「じゃあ、脱いで」
「ええ!」
「大丈夫、人払いはしてあるわ。もし見られてもどうせ私の部下よ、気にしないで」
そういうと瑠美も服を脱ぎ始めた。瑠美は標準体型でやはり脂肪は無い。胸も無い。魔力タンクに栄養が取られてしまう魔法使いはなかなか太れないし胸も育たない。それは優子も同じ。いや、変身した時に胸が大きくなる優子はまだマシか。
もじもじしている優子に瑠美は言った。
「貴方はまだ良いわよ。私が相手なんだから。男から習うのに比べればね」
「あ・・」
優子は悟った。
瑠美が修業でどれ程の困難が有ったのか。辛い経験をしたのか。
酒豪のメイドが二人の衣服を拾い、畳んで篭に入れる。こうなると分かっていたようだ。
裸の二人。
瑠美が優子を正面からべったり抱く。
「今から私の体の中の魔法の感触を感じて覚えなさい。始めるわよ」
漸く瑠美の授業が始まった。




