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ギルドの終焉

 ガタン!


 ギルドのドアが閉じられた。


「こりゃ帰す訳にはいかねーな」

「あいつだけじゃ物足りねえ。お前も可愛がってやる」

「俺が先だからな。お前はもうヤッたじゃねーか」

「俺もこっちがいい」

「さっきヤッだろお前も」


 このクズ供!



「いいから早く押えろ!」


 ギルマスの声を合図に冒険者が襲いかかって来た!

 こいつら許せん!

 涼子の剣を抜く。

 だが、斬っていいのだろうか?

 本音では切り刻みたい、だが、殺していいものか?


 ならば!


 剣を棒に変形させる!

 殺すかどうかは後で考えよう。


 来た!


 私を犯すと言いながら真剣で来る冒険者。


 ガキン!

 剣圧が重い! スキルか!

 剣ごと吹っ飛ばすつもりだったのに止められた!


 ガン!

 やはりスキル持ちか!



「そいつはウチの用心棒だ! 運が悪かったな。嬢ちゃん」


 そうか。

 ギルドの用心棒(ガチクズ)か。

 なら遠慮はしない!


 ドゴン!

 右横からフルスイング!

 左の壁に叩きつけられる男! それを回し蹴りして後ろの冒険者に叩きつける!

 吹っ飛ぶ二人の冒険者!

 一人目は骨が5、6本折れてるがどうでもいい。

 下敷きになってる二人目の足首を掴んでを立ってる冒険者に投げつける!

 ちっ!

 かすっただけで避けられた!

 壁に叩きつけられた二人目も動かなくなった。


「うおおおおおおお!」

 駆けて振りかぶり叩きつける!

 グシャリと潰して3人目!


「 止まれ! 」


「!」


 この声はギルマス!

 命令スキルか。

 そうか、命令系のスキルで人の上に立って居たか。今日子さんもそうやって支配して来たか。


「悪いな。どんなに強くても動けなければそれまでだ」

 ニヤけてるギルマス。

 益々気持ち悪い奴。このデブが!


 二人の冒険者が剣を持って左右から近づいて来る。

 勝った気でいやがる。




 見本を見せてやる!




「お前ら自分の指を切りおとせ」



 驚く冒険者。

「え?」

「そんな!」


 信じられないといった顔で勝手に動く体に驚く冒険者。

 ザシュ!

 ザシュ!

 二人が自分の指を切り落とす!

 上がる血しぶき。


「ああっ!」

「まさか!」


 そのまま二人は自分の足の指を切り始めた。

 さらに命令する。


「声を出すな」


 二人はヨダレを撒き散らしながらも悲鳴をこらえる!

 顔は必死に助けを訴えてる。

 自分たちは女が助けを求めても止めない癖に。


「死にたくないか?」


 必死に頷く二人。

 命くらいはな。


「 動くな! 」


 私の声で動けなくなる。


 手に持つ棒の先に力を込める。

 黄色い光線に包まれる棒の先端。熱いな。それを傷に向ける。

 優しい私は冒険者の傷口を焼いてやった。

 脂汗をダクダク流しながら泣きながら声を殺して立つ冒険者二人。

 そして激痛に気絶した。


「お前は後だ」


 デブに回し蹴りをして簡単に気絶させ、私はギルドの奥に走った。

 二階に登る。

 半開きの扉。ここか! 嫌な匂いがする・・・すすり泣きの声。


 ベッドの上で両手を縛られ繋がれ、傷だらけ痣だらけの泣く今日子さん。

 その柔肌に体ごと吸い付く冒険者二人・・・



 なんてことを。



 今日子さんが私に気付く。

 顔を逸らす・・・

 冒険者は夢中で気付かない。


 こいつら・・・

 女をなんだと思ってる!


「おい」


 振り向く冒険者ふたり。


「ああ?」


「いつもやってるのか?」


「なんだこの女。やりてえのか?」

「今月5人目だ。おめえもして欲しいか?」


 このクズが。

 向かって来た冒険者をそれぞれ右ストレートと回し蹴りで打ちのめした。

 どさりと落ちて沈黙した。

 その二人を階下に投げつけ、他の6人と同じ場所に寄せた。


 戻って今日子さんの縄を解く。

 なんて酷い事を。

 自由になった今日子さんは呆然としてる。

 そして思い出したように泣き始めた。

 いつもの強い姿は無い。



「もう、終わったのよ。大丈夫?・・・な訳ないか・・・」


「・・・誰?」


 ああ、この姿は見た事ないか・・・

 言うべきだろうか。


「秘密は守れる?」


 何も言ってくれない。

 でもいいか。

 私は棒を剣に戻し鞘にしまう。

 変身を全てとく。




「優子・・・」


 その声の後、もう一度さっきの姿に戻る。


「言わないでね」


 今日子さんがまた泣き始める。


「ごめんなさい。前に貴方に酷い事しようとしたのに・・」


 あのことか。

 田痛のことだ。


「それは後にしましょう」


「醜い女でしょ、汚れてるでしょ。これがギルドの女よ」


 妙に冷めた口調。

 これがギルドの女。

 こういうのは前にも有ったんだろうか。


「でも嫌だったんでしょ。されたくなかったんでしょ。そのくらい判るわよ」





「うああああああああっ!あああああああっ!」



 今日子さんはまた泣き始めた。






 涼子に連絡がついたのはもう少し後になってから。

 ギルマスと冒険者の計8人はそのあと警察に連行され、このギルドの歴史は終わった。

 そして田痛商店も摘発された。

 今日子さんは情状酌量の余地ありということで刑は軽かったが、ギルドの捜査があまりに長かった為に、取り調べで半年以上外には出ることは無かった。


 ギルマスはギルドを畳んで国外に出るつもりだったが、最後に今日子さんに客を取らせて稼ぎ、最後は売り飛ばすつもりだったと白状した。この冒険者達は()()で田痛とも繋がって居た。

 そして、今日子さんの人生のが狂い始めた原因の男は、他のギルドの冒険者だった。案の定結婚詐欺で黒幕はギルマス。美人だが騙されやすいウブな今日子さんは絶好のカモだった。







 そして消えた厚志の手がかりは無かった。

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