いざギルド!
【月刊勇者 5月号】
巻頭カラー 涼子様特集
夏に向けてのクールプロテクターカタログ
勇者に聞く 魔王軍の脅威は何月から?
ワンダーウルフの毛皮染め特集
魔導士瑠美の恋愛相談
売りたし買いたし
読者プレゼント 勇者パーティー等身大ポスター
俺は厚志!
涼子と結婚する男だ!
月刊勇者5月号を3冊買った。
保存用と宣伝用と俺専用だ!
表紙は手に持ったレモンにキスをする涼子の横顔!
相変わらずイカしてる!ビッグになりやがって!
結婚するのは俺だ!
勇者じゃない!
まだ婚約で結婚じゃない!
1パーセントでも可能性が有れば諦めない!
絶対に俺はやる!
来たぜ王都!
何の為?
勇者のライバルの定番『冒険者登録』さ!
ここから俺はあんなことやこんな事をしてビッグになって、『俺つえー!』って、なるんだからな! 待ってろよ、勇者さとる!
因に剣はもう買った。2割引でお得だったゼ!
『お得な剣士』だからな!
来たぜギルド!
先ずはギルドカードだ!
一階ロビーのカウンターのボンキュッボンギルド嬢と向かい合う!
やるぞ俺!
何事も最初が肝心だ!
「びょーけんしゃとうりょく・・・・くっ!」
噛んじまった!
なんという失態!
恥ずかしさでうつむけば、目の前のギルド嬢の巨大メロンが俺のハートを揺さぶる!
くっ、なんてビッグなんだ!
「冒険者登録ですね。こちらにご記入を」
そういうと、メロンは用紙を後ろの棚から取り出し、テーブルにペンがあるのにわざわざ胸の谷間からペンを取り出し俺に握らせた。
ほかほかしてやがる・・・・
俺は試されてるのか?
それともおちょくられてるのか?
だが、美人の悪戯は嫌いじゃないぜ。むしろおかわりをお願い事したいところだ。
申し込み用紙
【名前】
【年齢】
【性別】
【スキル】
【非常時の連絡先】
【保証人】
【所属】
【希望職】
【特技】
【ギルド口座】(要・不要)
「書・い・て・♥️」
そんな事をわざわざ至近距離で囁くメロン。くっ!
【名前】厚志
【年齢】15歳
【性別】男
【スキル】お得な剣士
【非常時の連絡先】涼子
【保証人】涼子
【所属】
【希望職】ビッグな奴を!
【特技】長距離走
【ギルド口座】(要)
「厚志さん。ここに書いて有る『涼子』ってどなたですか?」
来たな!
その質問を待っていたぜ!
「これだ!」
俺は袋の中から『月刊勇者5月号』を取り出してメロンに見せてやった!
ふふふ・・・知らないとは言わせない!
表紙の涼子は時の人だからな!
「ご兄弟でしょうか?」
「俺の女だ!結婚の予定だ!」
「お名前は厚志ですよね?」
「そう書いた!」
「勇者様の婚約者では?」
「結婚はしてない!」
「詳しく関係を教えてください」
「実家がお隣さんだ!」
「・・・・」
「ふっふっふっ」
「お待ちください」
メロンめ。
涼子が勇者と結婚すると信じているな!
甘い、真実の愛は俺に有る!
勇者など仕事上の上司に過ぎん!
「お待たせしました」
「どうだった?俺の言う事は正しいだろう」
「涼子様本人と連絡がとれました。非常時の連絡先については快諾されました。ただ、保証人については条件付きで受けると言われましたが」
「条件?」
「報酬の40パーセントを涼子様に納めるなら引き受けると」
「よ、よんじゅっぱー?」
「はい」
「くっ! せめて20パーセントに・・・」
がめつ過ぎるぜ、涼子!
「お待ちください」
するとメロンはまた奥に。
どうやって涼子と連絡してんだ?
都会は不思議が一杯だぜ!
ウチの田舎はハトだがな。
「お待たせしました、返答です。絶対に40パーセントだ。だが20パーセントは融資にしといてやる。ギルドは80パーセント払って良い。と、ありますが」
「くっ、仕方ない。涼子は頑固だからな!」
「それと」
ばちーん!
メロンが俺の頬を平手打ち!
いてえ!
「誰が結婚すると言った!代わりに顔殴れと書いてありました」
そう言ってメロンは折り目だらけの紙を見せた!
おおう、久しぶりの涼子の字だ!
グーでなくて良かったぜ!
まあいい。稼ぎを妻に渡すのは夫の務め。
待ってろ涼子。ジャンジャン稼ぐからな!