暇人メロン
俺は厚志だ!
涼子と結婚をする男だ!
涼子と直子さんを同時にまじまじ見る機会が先日有ったが、やっぱり涼子の方が美人だ!
すこ〜し直子さんの方が年上でそれによる魅力もあるが、やっぱり涼子が一番だ!
今、ギルドのメロンの前に居る!
相変わらずすげえメロンだ!
「な、何よ・・」
俺と優子にカウンター越しでガン見されるメロンがたじろぐ。名前なんだったっけ?忘れた。
ガン見してるのが俺だけなら『スケベ!』とか言って怒られるんだろうが、優子までガン見。
そりゃそうだ。
碧邪魔学院学院の教授に見せてもらったメロンの昔の写真が強烈すぎて、目の前のメロンを見ると5年の歴史が気になってしょうがない。『キングオブ清楚』なメロンがどうしてこうなった! とてつもない失恋とかしたんだろうか?
いやまあ、そもそも仕事探しに来たんだった。
「この仕事を受けたいんだが」
「ダメです」
「じゃあこれ」
「ダメです」
「これなら」
「ダメです」
「こっちのやつ」
「ダメです」
「こ・・・」
「ダメです」
このダメダメの山。
全部いわく付きの案件かよ。
このギルドは、涼子の知り合いの俺にはさせられない仕事しか置いてねーのか!
いくらなんでも酷すぎる。カタギからの仕事がひとつも無え!
「なんか仕事ないのかよ!」
「あんたの幼馴染のせいよ。みんなヘローワークに流れちゃって商売あがったりよ!」
「魔物退治とかねーのかよ!」
「あんたに出来るわけないじゃん! そんなほっそい腕でどうすんのよ! それどころか農家からも村からも依頼が来ないのよ!」
メロンと俺は遠慮なしのタメ口に汚い言葉を使いまくってるが、気にする必要なんかない。今ギルドには冒険者も依頼主も居ねえ。がらーんとしてる。
この前来た時はまだ人が居たんだがなあ。
涼子の仕業で失業者が減り、職業斡旋もヘローワークに流れた。
でも、魔物退治の仕事が来ないのは涼子のせいじゃないだろう!
頭のいい人が言うことには、涼子が外貨の獲得と外国資産の獲得を成功させてるので景気がいいのだそうだ。涼子の作ったヘローワークには求人が山盛り。冒険者はほとんど就職してしまった。 ギルドに来るのは時代に取り残された奴と不味い過去を持った奴ばかり。
そんなギルドに仕事回してくれるのもカタギじゃない。
景気が良くなったらギルドが傾くとか想像もしなかった。
景気っていうのは、国内をいくらお金が回って居ても、そのお金の総量が少なければ良くはならないのだとか。
大事なのは金の回る速度じゃない。存在量だ。
頭の悪い俺は理解できなかったが、例え話で、
『目の前の相手と1枚のコインを1日で1万回渡し続けたら景気がいいと言えるかい?
逆に、5千枚のコインをお互い持って居て、1日1枚渡しあう。
どっちが豊かい?』
と、言われて納得した。
つまりは涼子は海外から富を集めて好景気にした。そして国内の仕事を増やして集めた金を国中に回していると。
相変わらずとんでもない女だ。
で、あれやこれやの末、煽りを食ってるのが、ギルドと俺。
まあ、俺にとっちゃ景気なんてどうでもいい。
どんなに金があっても涼子と結婚できなければ不幸だからな!
「あー優子ちゃんには出来る仕事有るわよ〜」
「やった〜!なんです?」
「街の美術クラブからヌードモデルの依頼〜」
「おいっ!」
「だ、ダメ!嫌です!」
「お願い!助けると思って!優子ちゃん、いえ、優子様!」
「ダメです!」
「ダメか〜これで今月売り上げが〜」
「自分で行けよ!」
「もう行ったわよ! それで次は別の娘って言われたのよ!」
「まじかよ・・・」
「もう散々よ。接客業で顔バレしてんのにヌードモデルよ。死にたくなったわよ。かといって来た依頼に求職者入れないとこっちも次の仕事こなくなるし。美術クラブのメンバーもそれぞれお客だからつっぱねられないし。もう散々よ!」
「ギルド辞めりゃいいのに」
「色々有るのよ。アンタはいいわよ、涼子様が守ってくれるんだから。私なんてな〜んもない!ほら、帰った帰った!」
「また来る」
「ヌード以外なら受けます。では」
「あ、そうそう」
「なんすか?」
「厚志くん、気をつけなさい。変な奴に絡まれないようにね」
「俺が?なんで?」
「涼子様と結婚するってあちこちで言いふらしてるそうじゃない」
「それが? まさかさとるのヤロウが何か?」
「そうじゃなくて、商売うまくいかなくて涼子様に恨みを持ってる奴に八つ当たりされるかもよ。未来の旦那くん」
「涼子を恨むって誰だよ!」
「色々有るわよ。潰れそうな会社とか仕事がなくなった冒険者だとか」
「逆恨みじゃねーか。潰れそうな会社って、ここもじゃねーか。それじゃメロンもか?」
「は?メロン?」
「メロンって?」
「あ」
あ、やべ、メロンって、言っちゃったよ。
メロンと優子は暫くぼーっとしてたが、はっと気付いた!
「こんのがきゃあ! 誰がメロンだーーーー!」
「さいならーーー!」
今日子さんが大層お怒りになったので俺は走って逃げた。
ゴン!
いてっ!
なん・だ・・よ・・・・
・・・・・・・・・・・




