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教授とみんなでお話

「まったく、君達は。ああ直子君コーヒーを人数分頼む」


「え?あ、はい」


 直子さんが教授に言われた通りコーヒーを用意し始める。隣の部屋から盗み聞きしてたのに、軽作業で許してくれるんだから助かった。しかも俺はなにもしなくて済んでるし。






 ところでコーヒーって、なんだ?




 なんかホカホカの醤油が出てきたぞ。

 おや、涼子は砂糖を入れている。砂糖醤油か。

 しかし、臭いが変だ。焼き醤油?

 直子さんはそのままか。

 教授もそのまま。


 ふむ、どうするか?

 餅か団子でもあれば入れるんだが。



 ちろっ!


「にげえ!」


「おやおや、厚志君砂糖を入れるかい?」


「へ、へい!」


 出されたもんを捨てるのは失礼だが不味すぎる!

 ざくざく砂糖を入れてかき混ぜる、なんか溶けきってないけど飲んでみる。


「うげえ・・」


「厚志君は初めてだったかい。いや、それならお茶にしとこうかの」


「い、いえ、飲みます!美味しいです、あーおいしー!

 それよりお話の続きを」


 こいつらよく平気で飲めるな、変態どもめ。




「結局、涼子殿は何がほしいんだ? 力か? 財産か?」

「財産なら自力で何とかします。いえ、自力で得た財産以外に興味は有りません。結論だけ言えば勇者さとるに国王に成って欲しくないんです」


「当然だよな涼子! さとるなんかと結婚は嫌だよな!」

「厚志うるさい!

 勇者との結婚は構いません。ただ、国政と財務には手を出して欲しくない。私が国王になれれば最高です。ただ、このまま行けばさとるが国王です。あの無能がやる気を出せばこの国は滅びます。それでは例え魔王を倒しても意味が有りません」


「結婚したくないならしたくないって言えよ~」

「厚志うるさい!」


 そこに直子さんが小さい声で入ってきた。

「ええっと、やっぱり勇者様って馬鹿なんですか?

 いやその、ダンジョン祭の時に同級生から聞いたんですけど、たこ焼きを部下の分もまとめ買いした時にお札三枚でいいのに五枚出したって聞いたんです。羽振りがいいと思ったけど『お釣くれ』って言われたそうです」


 ・・・・

 さとるよ・・


「恥ずかしい・・

 さとるはかけ算なんて出来ないのよ・・九九も半分言えないわ」

「う、うそ!」

「でも、目立ちたがりだから王に成りたがってる。議会でも議長席に座りたいと言ってたわ。そうなればこの国は終わりよ。たこ焼き人数分買ったのも威張りたいから。計算出来なくて恥を晒してるけど。

さとるは15歳で『勇者』を賜るまでニートだったそうよ」


「そんな!国が駄目になったら私たちは・・」


「そう。だから何とかしなくてはいけない。さとるに魔王を倒して貰っては困る。出来れば私が倒したい。或いは別の人に」


「魔導師瑠美はどう思ってる?話はしたことあるのかい?」


「教授、留美には内々に話はしました。いざというときは協力してくれるそうですが、いよいよとなったら国外に逃げるそうです。瑠美は既に国外に半分財産を移してます」


「なんと・・」



「なら、俺が魔王倒して俺と涼子が結婚!」



「・・・・」

 何故残念な目をする涼子!


「厚志も頭悪いからなあ・・・・

 それに勇者の婚約者という身分はいろいろ都合がいいのよ。まだ手放せないわ。それに結婚は別に構わない。顔はいいし、子供なら私が教育するから」


「甘い涼子!

 馬鹿で目立ちたがりは子供にも威張りたがる! 思い出せよ村のキヨシんちのとーちゃん」


「!!」


「まー、キヨシのお陰で俺は学校で最下位にならずに済んだがな!」

「確かに・・」



教授が話を遮る。

「まあ、話を戻そう。

 強さなら経験と訓練を積むのが確実だ。

 それと、アイテムだな。過去の聖剣でも手に入ればいいんだが」


「聖剣ならさとるが」


「それではない。勇者とは関係ない聖剣というものが存在したらしい。今のスキル時代の前の時代の代物らしい。見たことはないし、何処にあるかは判らん」


「手掛かりとかはないでしょうか?どんな小さな情報でも」

「情報か・・」


「俺探す! 探してゲットして魔王倒して涼子と結婚する!」


「だからあんたは!」


「涼子はさとるが好きなのか?」

「別に」

「じゃ、俺は?」

「うーん、少しはマシだけどやっぱり馬鹿だし」

「そこかよ!」



「まあまあ、二人とも。

 とりあえず魔王は現れてないし、現れてもどんな存在かも判らないし、落ち着いて考えよう」


「涼子様、頑張って下さい!

 私達の為にも!

 私の夢の為にも!」

「夢?」

「直子さんはファッションメーカーで独立するのが夢なんだよ」


 途端に見開く涼子の瞳!

 そして涼子が直子さんの手をがっしり取る。


「事業展望を聞かせてくれれば条件次第で融資しますよ!」

「本当!」


 感動的なシーンだが、涼子よ、防衛線はりまくりだろ。条件付きとか。

 まあ、いいか。

 直子さんの応援もしたいし。これでいいんじゃね?



「しっかし、さとるも馬鹿だよなー

 金のことなんて涼子に任せて寝てりゃいいのに。折角涼子が頑張って稼ぐって言ってるんだから。変に目立とうなんてすることねーのに。俺だったら主夫してるわ」


「え?」


「あ、いや、すまん。さとると結婚なんてさせねーし。

 あ、いや、俺も運動位はするよ?駄目人間にはなりたくないし」


「・・・・」


 なんか涼子が変な目をしてる。いらんこといわなきゃ良かった。ニート宣言はしないようにしよう。馬鹿でニートじゃ最悪だからな、あぶねえ。


「聖剣については調べておこう。と、いっても資料は無いだろうし、伝説や物語程度だろうから期待しないでくれ。連絡は直子君にするから」


 それを最後に俺達は教授の部屋を出た。直子さんは涼子と連絡先交換し、そのあとも商売談義をしていたが俺は退屈だったので、空をひとり眺めた。



「聖剣かあ」







「さて帰るわ」

 行ってしまうのか。


「なあ涼子、なんでさとると婚約したりしたんだ? お前は何がしたいんだ?」


「夢を叶えるためよ。その為の色々ね」

「夢?」


「私は自分の国を持つ。それが私の夢よ」

「俺の夢はお前との結婚だ」







「悪いわね、私のとは違う」


 そう言って外で待って居た手下とともに涼子は去って行った。

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