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国王勇者はニート

 俺はケン。


 勇者の部屋の前に有る皿を回収する。奴は部屋からは出ない。食い物を与えても感謝も感想もありゃしない。




 なんて惨めな毎日。

 謎の本の山がきてから勇者は本格的ニートになってしまった。よりによってこんな僻地で。

 部屋から出ない、勇者は食べなくても生きていけるのに食い物を要求する。気に入らないことがあると暴れる。

 俺が食料を持ってくるのに感謝の言葉すらない。

 もう、食い物泥棒も無理になってきた。周辺の住民には警戒されている。俺も常に腹を空かせている。


 俺は弱い。

 所詮は冒険者だし、空きっ腹では誰にも勝てない。村の男一人にすら勝てない。剣を振っても勝てない。


 悔しいが勇者と一緒に居るしかない。

 前に強盗か家に押し入ってきたが、暴れる勇者に壊滅させられたから、地域には危険な勇者が居るのは知れ渡っている。お蔭で俺は勇者の関係者だというだけで襲われない。悔しいが、勇者の恩恵を受けている。勇者と縁を切って一人になったなら強盗に殺されて終わりだろう。金目のものなど無いのだけれど。幸いなのはこの地域は食人をする人が居ない。お蔭で少し危険が少ない。



 強盗を壊滅させたときの勇者の言葉はこうだ。

『勝手に部屋に入ってくるな!』



 牧子はまだ勇者を諦めてない。あの役立たずにまだ希望を持ってる。

 そこら辺を歩いて奴隷に出来るオタを探しているようだが、こんな田舎にオタは居ない。

 色気を振り撒いて食い物を獲ようとしてるが勇者の関係者で災厄の牧子だとバレてるので誰も近寄らない。

 この辺はまだ社会が生きているようで、自警団を組み俺達を警戒している。襲っては来ないが監視されている。畑に盗みに入ると監視の目。そして少し野菜を抱えた辺りで追い払われる。殺しに来ないのは勇者を恐れているんだろう。勇者を大人しくさせるためには少しの野菜はしょうがないと見逃されているようだ。

 勇者は食べ物に肉や菓子がないと暴れるが、俺にはどうにも出来ない。

 腹が減った。

 腹が減った。

 腹が減った。

 腹が減った。

 腹が減った。

 食わなくても生きていける勇者がなんで食い物寄越せと威張るんだ!

 なんでだよ!

 クソニート!




 いつものように近くの村の畑に泥棒に向かう。

 だが、座り込んでしまった。もう歩けない、歩きたくない。

 もう嫌だ。

 ニートを養うのは嫌だ。

 牧子もニートじゃないが同じだ、働かない。俺一人で食い物盗むのは疲れたよ。

 もう嫌だ。

 それにもう動けない。




「生きているのか?」




 目の前に誰かが来た。

 女の声。

 ゆっくり顔を上げる。


 女二人組。

 誰だっけ?

 知っているが名前が出てこない。如何にも強そうな女。

 ああ、優姫、優姫だ。

 それと何処かで見たこと有るような少女。

 ああ、終わった。

 優姫はは勇者より強い。

 勇者が足元にも及ばない相手。

 なんで今頃?

 今更、勇者と牧子を殺しに来た?

 どうしてもっと早く勇者のとこに来なかった?

 早くあいつらが死んでれば俺は自由に逃げれた。

 こんな惨めな生活はしなかった。


「今日子さんを殺したのは貴方?」


「ふぁ、きょうこ? きょうこきょうこきょうこ・・」


「高崎のギルドの受付に居た綺麗な人よ」


 優姫の声って怖いな。

 美人が台無しだ。

 思い出した、きょうこ。


「あぁ、良い身体だったなあ」


 ドスッ!


 物凄い重さが左肩に来る。

 暫くして痛みと苦しさと気持ち悪さがきた。暴れたいのに力が入らない。

 右手で身体の左をまさぐると形が変でぬるぬるしている。



 ああ、伐られたんだ。血が止まらない。


 死にたくない。

 酒が飲みたい。

 死にたくない。

 女を抱きたい。

 死にたくない。

 肉を食いたい。

 死にたくない。

 死にたくない。

 死にたくない。


 勇者助けてくれ。

 牧子助けてくれ。


 助けてくれ。


 ・・・・・・


 ・・・・



 ・・




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