サンドラ、優子を探す
妙な子が来た。
やけに身なりがよくて自信家な目をしている。短髪で子供だが圧倒的な美人だ。
何者だろう、子供のくせして馬なんて持っている。
一人旅なのに剣とか武器を持ってない。いくら数年前と比べて治安が良いとは言え無防備過ぎる。
「優子について聞きたいの」
彼女はそう言った。
きっと解っていてここに来たのね。誰に聞いたんだか。
優子。
それは圧倒的な強さを誇り、たった1人で会津のギルド1500人に戦争を挑んだ人。
私はその混乱の中、性奴隷小屋から逃げ・・・・今はひっそりとここで暮らしている。
『優子』がギルドの建物を破壊して回り、それを止めようとする冒険者と、更に優子に便乗した有志で混乱した。それに乗じて私は逃げた。
こんな体じゃ里に帰れはしない。冒険者と冒険者の用意した客で汚れきった私。流した子供も居る。
ひっそりとした村。そして知り合いの居ない村。
ここが私の居場所。
確かに私はあそこに居た。
優子も見た。
大軍かと思ったら一人の女の攻撃だとは驚いた。
少しは後日談も聞いたが、全部は知らないわ。逃げたし。
「何が聞きたいの? 私はあんまり情報知らないわよ」
その子は私を見る。
なんだろう?
「優子は白い馬に乗ってた?」
「乗ってないと思う」
「最近、白い馬は見る?或いは白い馬の噂は出る?」
「少なくともここには居ないわね。あの町にはもう近付いてないしあそこに白い馬が居るかは判らないわ」
「優子は勝ったの?」
「解らないわ。強かったそうだけど途中で居なくなったと聞いてる。最後は優子に加勢した人達がギルドの息の根を止めたらしいけど。優子は死んだのかしら? まあ勝った負けたで言えば『優子達』の勝ちね」
「そう」
早く帰って欲しい。
会津時代の事はあんまり思い出したくない。
「貴方は優子のなんなの? 悪いけど私はあんまり優子に感謝はしてないわ。そもそも優子はギルドの娘だっていうじゃない。どんな経緯があるかしらないけれど、ギルドがなければ私は誘拐されなかった。助けたからってチャラになるなんて思わないで欲しいわ」
少女は少し目を伏せ、そしてもう一度私に向いた。
「私はサンドラ。かつて優子に力を与えた者の・・・・何て言うんだろう、子孫かな」
「子孫? ふうん」
「優子と一緒に闘った人とか知らないかしら」
「そうね、会津の島に渡れば居るんじゃない? この近所には居ないわね」
「貴方は会津の生まれ?」
「違うわ。私は佐渡の内陸部の生まれ。誘拐されて船で会津の島に連れてこられたの。子供の頃山の上から眺めて天気の良い日に見える会津の島があんな地獄だなんて思わなかったわ」
「そう。優子のことは赦してあげて。あのギルドは優子が子供の頃は、ただの商社だったの。それが経営者一族が皆殺しされ悪い冒険者に乗っ取られたの。優子は一族唯一の生き残り。出来れば優子は赦して欲しい」
その話は本当だろうか。
マトモなギルドなんてあるんだろうか? 地域ごとに違いは有るかもしれない。
「そんなこと知らないわよ」
「ありがとう。邪魔したわ」
「喜多方」
「なに?」
「喜多方の浜辺に『優子の岩』っていうのが有るらしいわ。それが何なのかは知らないけど、関係あるかもよ」
「優子の岩? 喜多方の浜辺?」
「聞いた話よ。詳しくは知らないわ」
島の南の砂浜に立つ岩。
私は見てないが優子の岩と呼ばれる物がある。会津のギルドは島の数ヶ所に拠点が在り、優子はそれを次々と襲っていたらしい。その岩の辺りもギルドの拠点、つまり戦場があったらしい。
優子の快進撃を聞いたのか本土からも応援が駆けつけたという。私の故郷の佐渡からも有志が来たと聞いたときは驚いた。後で聞いたが、佐渡のギルドも優子が壊滅させたという。
たった一人の女がそんなことできるんだろうか?
目の前の少女は『優子に力を与えた者の子孫』と言った。
私もそんな力が欲しかったよ・・・・
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浜を馬を牽き歩くサンドラ。
馬を連れて海を渡るのは大変だった。
貨物船レベルでないと乗れない。それは便が少ないし、金が掛かる。借り物の馬は手放す訳にはいかないし。
地域民に道を聞きながらここまで辿り着いた。治安はいい。昔、悪徳ギルドの本拠地だったのが嘘のよう。
『優子の岩』島の外で暮らす者も知る位だ。それはあっさり見つかった。
高さ10メートルはある岩。
近くに寄る。
弱いが魔族の聖剣の反応がある。
間違いない、優子の岩は中に聖剣が有る、未登録状態の聖剣が。
影が動く。
カカッ!
見上げると岩の上に居る。
探していたもの。
涼子の記憶のものとは随分違い、細く、やつれた弱々しい・・・・・・
ユニコーン。
「シロ・・」




