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涼子の噂

 俺は厚志!

 涼子と結婚する男だ!


 優子にサツキさんが『セックス禁止な』と言ったから少し安心している!

 優子は嫌いじゃないが、俺は涼子一筋だ!

『後ろの◎◎ならノーカンじゃね?』

 とかサツキさんが優子に提案したが、俺はそんな上級者じゃない!

 だからそもそも俺は涼子一筋だってば!





「今年はね、町の変化が凄いんだよ」


 結婚式の翌日。お腹に優しい粥をみんなで食べてるところ。昨夜は飲み過ぎたしな。

 サツキさんのお父様と耕平さんが町の様子を話していた。


「どうやら涼子様が何件も商店や工房を買って経営に手を出しているらしい。商売の規模は変わってないんだ。ただ、異種職業の統合をして従業員の通年雇用を推しているらしい」


「閑期の仕事を補おうというんですね。でもそれって、昔からあるでしょう?」


「ああ,その通りだ。だが、それをして来なかった昔ながらの所もある。そう言う所を涼子様は乗っ取っているらしい。それとな、涼子様は『ヘローワーク』と言う物を作ったんだ。まあ、就職紹介所だな」


「それはギルドとは違うのかい?」


「ああ。ギルドと違うのは手数料が無料だというのと、通年雇用の仕事を斡旋している所だ」


「するとどうなるんですか?」


「多分、ギルドは潰れるかもしれん。高すぎるんだよギルドは」


 そこへサツキさん。


「そうね。厚志と優子を雇った時もギルドに3割天引きされたわ」


 俺はそこから更に4割涼子に引かれるけどな。

 しかし、ギルドって高いんだな。

 そりゃそうか。

 あんなでっかい建物あって、派遣されない従業員が居て、もしもの時の用心棒もいる。

 それ全部天引きでまかなってる訳だからな。

 しかし、3割か・・・


「まあ、ギルドが高いからこそ簡単に頼めなくなって、農家や我々は強さを身につけたのだがな。そしてギルドの冒険者はひょろひょろだ。余計仕事が来なくなる。お陰でギルドは悪事に手を出してるとも聞いた」


 ああ、まさに優子が餌食になろうとしていたわ。

 この口ぶりだともっとエグいのも有るんだろうな。


「恐らくは2〜3年でギルドほとんど潰れるかもしれん。直接雇用に切り変わり、依頼も仕事人に直接する事に成るだろう。わたしらは昔から直取引だから関係ないがな。あと、涼子様は外貨獲得にも熱心だ。ピンポイントで穴を突く様な売り買いは涼子様の独壇場だ。誰も敵わん」


 しかし参ったな。

 今年冒険者登録したばかりなのに!

 ギルドが消えたら魔獣退治はどうすんだ!って、思ったけど、この人達普通に倒すしなあ。

 それどころか、耕平さんなんか後少しで勇者より上になるとこだった。



 やべえ、冒険者ピンチだ!



「それとな、もうひとつ面白い噂を聞いたんだがな」


 そこまで言ってお父様は俺の顔を見た。

 なんだなんだ?



「最近、勇者さとると涼子様の仲が良く無いらしい」



 きたあ!



「お父様!もっと!もっと聞かせて!」


「うむ、厚志君には気になるだろうな。聞くかい?」


「聞く聞く!」


「涼子様は勇者さとるが馬鹿なのが気に入らないらしい」



 食卓の皆の目が俺に向かう。

 沈黙・・・・

 なんだよ・・・



「あちゃあ」

 と、サツキさん。


「ドンマイ!」

 と、優子。

 おいいいいい!


「噂ではな、涼子様は結婚した際に自分が女王に成る事を要求したそうだ。恐らく勇者さとるに国政は無理だと思ったんだろう。勇者さとるが王になり自分が第2王妃なんてことは涼子様には我慢ならんだろう。

 いくら頭が良くても権力と発言力が無ければどうにもならん、無能に国を任せれば大変な事になる。困った事に勇者さとるは既に王と養子縁組を済ませている。涼子様も王と養子縁組をして勇者さとるを押し出すつもりだったが、先にやられていたので詰んでいる状態らしい」


「流石に女王は無理よねえ」

 サツキさんが呟く。


「今や勇者さとるは王族だ。一度組んでしまった婚約はおいそれと解消はできん。涼子様にとって勇者の婚約者と言う立場は事業をする上で必要だったが、今や呪いの様なものだ。国政の重鎮は涼子様の味方だが、勇者さとるが王に成ったら権力の誇示の為に、涼子派は一掃されるかもしれん。馬鹿程極端な事をするからな」



 いつも自信家で強い涼子が居る世界は厳しい世界だ。

 解ってて飛び込んだのだろうか?

 涼子は何がしたかったんだ?



 俺はどうすればいい!

 もしも・・


「もしも、もしも、魔王が現れて、俺が倒したら涼子を手に入れる事が出来るのか?さとると涼子の婚約を潰せるのか?」



 皆が俺を見る!




「それはわからん。ただ、それでも王族との婚約は消えないかもしれん。勇者さとるが魔王討伐を成せなくても既に王族だ。勇者さとるが手放さなければそれまでだ。悔しさで変に怒りを買えば側室に落とされるかもしれん」



「・・・もしも、もしもさとるが魔王に負けて・・・亡き者になれば涼子は自由になるのか?」


「おい!厚志!」

 流石にサツキさんが止める!


「いや、それは願うな。涼子様は勇者パーティーだ。共に死ぬ事になる・・・」




「すまない・・・・」


「落ち着け、厚志」













 俺は厚志。

 涼子と結婚する男だ。


 そして涼子は俺と結婚する女だ! お前は強い女だ!






 俺は何をすればいい?

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