成人の儀!
暇潰しにいかがでしょう
俺の名は厚志、最高の男!
俺には愛する女が居る!
同じ村で産まれた幼馴染の涼子。
才女で抜群の美人だ!
「涼子! 俺と結婚してくれ!」
「やかましい!金持ちになったらな」
ぐぬぬ・・・
俺達は幼馴染だ!
どのくらい昔からかというと、家が隣で、俺達が人類自慢の2足歩行を獲得する前からの付き合いだ!
涼子は認めてないが俺達は愛し合っている!
家族以外で涼子の裸を見たの俺だけだ!ちぃと昔の話しだが!
この顔も身体も俺のもの!
「綺麗だよ涼子!」
「タダで触るな!」ばきっ!
涼子の肘鉄はひと味違うゼ。
まったく、照れやがって・・・
好きっ!
涼子は俺を愛してる!
この国には年に一度『愛の日』という日が有る!
俺は宝石を買って贈った! 高かった!
「宝石大好き!」
好きだなんて照れるぜ!
ほっぺにチュウも貰った!モテる男とは俺の事だ!
俺達は恋人同士だ!
だが、涼子に告白する奴が後を絶たない。
「涼子さん、付き合って下さい」
「将来の展望とお父様のご職業は?」
回りくどい事せずに断れよ。
ふふっ。
今日は成人の儀だ!
15歳の若者に神殿で女神がスキルなんちゃらをタダでばら蒔くのだ!
ただ、村には神殿が無いので村長さんちの広間でやる。
俺達の村は街道の宿の集まりで都会からは遠い。
神官代理は村長の娘(29歳独身)だ。
村長の娘のスキルは『たま~に聖女』だ。
「涼子みてろよ!スキル貰ってビックになってやる!」
「黙れ雑魚」
ふふふふふ・・・
ついに俺の番だ!
神官代理(来月も見合い)の村長の娘が俺に向かう!
来るぞ! 運命の時が!
「厚志。汝のスキルは『お得な剣士』である」
なんだよ、『お得』って・・・・
涼子が腹抱えて笑ってるし・・・
次は涼子だ!
神官代理(まな板)の村長の娘が涼子に向かう!
膝をつく姿もイカしてるぜ、涼子!
「涼子。汝のスキルは『斬撃の女王様』である」
!!
涼子、スッゲエの出た!
そしてなにも無かったのに涼子の手にスッゲエ豪華な光る剣でた!
スッゲェスキルが出たときはスキル取得者に豪華な『ブツ』が出る! 涼子!
ちょっと待て、『様』って、なんだよ!
まてまてまて!
まずいぞ!まずいぞ!
「これはきっと素晴らしいスキルです。直ぐ王に報告しましょう」
止めてくれ村長の娘!
涼子が他の奴にちやほやされてしまう。俺の死活問題だ!
『斬撃の女王様ゲット也』そう書いた紙を伝書鳩のピーちゃんの足に括り付け、村長の娘はピーちゃんを空に放った!
伝書鳩は村長の娘の翻訳魔法で任務が終わるとご褒美あげる事を伝えられている。現金なヤツだ!
そして涼子はタダで貰ったカッコイイ剣を持ってポーズをとって遊んでいる。
周りの奴らまでノリノリだ。くっ、羨ましいゼ!
成人の儀はまだ有るゼ!
ノリノリ涼子がスキル貰った奴らと次々ハイタッチ!
涼子スゲエよ。お前のお陰で地味スキルの奴らまで笑顔ハイタッチ!
全員終わって変なダンスパーティーになった所で手紙の返事が来た!
涼子、何所の国の踊りだよそれ!
ずんどこどこどこ
ずんどこどこどこ
誰だ太鼓出した奴!
手紙。
『直ぐ迎えに行く。 勇者』
だあああああ!
来なくていい奴No.1!
田舎者の敵!勇者!
だが、村長の娘は呆然としていた・・・
手紙の隅に続き。
『追伸、ハト食べちゃった』
これ、ハトじゃ無い。ハヤブサだよな。喰ったのお前か・・・
「キーー!」
ああ、村長の娘が飼ってたピーちゃん・・
俺と村長の娘は慰めあったさ。
居間の連中は変な踊りで盛り上がってたがな。
涼子も髪振り乱して全開ダンシング!
・・・・・・・
てめえ来なくて良い!
って、奴程すぐ来る!
早速勇者が部下を連れてやって来た!
豪華な奴らのなかの一番豪華な男が前に出る!
無駄にイケメン!
無駄に偉そう!
涼子に寄るな!涼子が汚れる!
「斬撃の女王はどこだ」
女王様だよ!
「私です!」
馬鹿野郎!出てくんな!
村長の娘(未使用新品)でも出せばいいだろ、剣持たせて!
やべえよ、やべえよ!
「名はなんと言う」
「涼子です」
「汝は女神に世界の為の力を与えられた。私と勇者パーティーとして行くのだ!」
「時給はおいくらでしょう?」
「え?」
固まる勇者一行。
馬鹿め、俺の涼子が顔が良いくらいで靡くかよ!
「魔王を倒せば富と名誉が・・・」
「ですからそれを具体的に。概算でもいいですから。敵を倒すと成功報酬も出るんですよね?」
ざまみろ勇者!
涼子は手強いぞ!
俺なんて尻を撫でただけで半殺しにされるんだからな!
「我と結婚も出来るぞ!」
「貴方いくら持ってるの? 年収は? 資産推移は? 運用はしてるの?」
「・・・・」
「魔王を倒せば我は次期王になれる。そうなれば涼子は第二王妃・・いや第一王妃もありうる」
「第一王妃って年間予算いくら使えるの?もし、第二王妃ならいくら?議会には出れるの?」
「・・・・」
「そもそも勇者の予算の中で自由に使えるのはいくら?ノープランで生活してるのは感心しないわ。徹底的に教育する必要が有りそうね」
ざまみろ!
勇者あっかんべー!
涼子ばんざーーい!
「今直ぐ連れて行きなさい!」
「げ!待て涼子!」
「厚志は黙って!」
「俺との結婚は!」
「結婚どころじゃないわよ!そもそもするって言ってないし!魔王の危機はあるわ、国の財務を次期王は判ってないわ、金銭感覚ぬるってるわ!」
「そんな・・涼子・・」
「行くわよ!馬は何所?」
「こ、こちらへ」
場を完全に支配した涼子!
『女王様』スキルか!
そして涼子は勇者と王都へ行ってしまった。
数日後、王都日報の一面記事。
『勇者さとる様と涼子様の婚約発表!』
まじかよ・・・
「涼子おおおおおおおおおお!」