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ある日ある時の記録  作者: 森野あひる
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ある日の女と女と男

初めて出会ったのは、大学4年生の冬。

面倒見のいい事で有名な女の先輩に連れられて、彼の家を訪ねたその日から始まった。


本棚とベッドを置く事がやっとであるという感じの、狭いワンルームのアパートでマスクをしたその人が言った。


「あのさ、ほかの人連れてくるなら言えよ。」


頭は寝癖で跳ね上がり、部屋着でだらしのない格好。

お世辞にも素敵とは言えないその彼の言葉に、先輩はニヤニヤ笑いながら言った。


「いいじゃんいいじゃん。あ、この子、雪ちゃん。」


その狭い部屋での足の踏み場を探しながら、


「あ...初めまして...すみません急に。」


緊張でやっと出した声で私がそう言うと、彼は目を合わせず、諦めた様にこう言った。


「...いいよ。どうせ無理矢理連れてこられたんだろ?」


返答に困っていると先輩が


「ほら、頼まれてたティッシュ買ってきたよ。」


と、彼に渡した。


「あー...サンキュー...」


買ってきて貰っておきながら怠そうに受け取る彼と先輩はとても深い仲なのだろうな、と勝手に想像していた。

そして、それと同時に早く帰りたかった。


先輩と二人で食事に行く途中、「ちょっとよる所があるから。」と連れて来られただけであったし、知らない人と上手く話して盛り上がれる程、私という人間は出来上がってはいなかった。


黙って二人の話を聞いていると、先輩の方は彼に気があるようだ。


(つの)、あんた格好いいよね。私の彼氏なんかより、ずっといいわ。」


と褒めちぎっていた。

彼の方は照れ隠しなのか、距離を置きたいのか、


「何言ってんだよ。山さんはハーフ顔で格好いいだろ。俺はああいう顔に憧れるなぁ。昔のロック・スターみたいでさぁ。」


と、突き放していた。


その会話を黙って聞きながら、私は頭の中で相関図を作っていた。


目の前のマスクの彼は『角さん』

先輩には彼氏が居て、その人の名前は『山さん』。

山さんと角さんは知り合い。

先輩は山さんよりも角さんの方が気になっている。

だけど、角さんは先輩の事をそういう対象には見てない。


...だけど、仲悪くはないんだろうな。「ティッシュ買って来て」なんて、仲が良くないときっと、お願いはしない。


その後しばらくして、私と先輩は彼の家を出た。

私は何のために彼の部屋に連れて行かれたんだろう。

そんな事を考えながら、先輩との食事を終え、その日は不思議な気持ちで家路に付いた。



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