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K-1甲子園  作者: 冬夏
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最終章ー9話「ワタシノスキナヒト」

他の試合も観たいところだったが体のダメージが気になるという事だったので病院に行くになった。英冶さんたちが手配してくれたり荷物をまとめてくれていた。

 

その間少しお腹が減ってしまったので乙女姉さんが作ってくれたお弁当を食べることにした。

昼間は緊張して水分しかとれなかったので手付かずのまんまだった。

 

中は果物が中心だった。口の中がきれていたのでどれを食べても染みて痛かった。

 

やっぱり食べるのはもうちょっと後にしようかな・・・。

すると弁当箱を入れているいつもの袋に紙が入ってた。


はは、またなぞなぞか。

こんな時に何を答えさせようと言うんだよ。

そう思いながら紙を取り出した。さてきょうの問題は。


「私のスキな人」


このなぞなぞを見て僕は深く深呼吸をした。




 病院で検査をした結果特に以上は無かった。

頑丈な体に産んでくれた親に感謝する次第である。


それでも体全体は痛く打ち身が酷いためしばらく自宅で安静するように言われた。

 

英冶さんに自宅まで送ってもらい幾度となく車内でお礼を言って分かれた。


暫くは練習も休みになりそうだ。

 

家に帰れば父親は大喜びでハッスルしていた。

トロフィーは紙棚にかざるといって取り上げられた。


枕元に置いて寝ようと思ったのに。

 

自室に入って。

外を眺めた。


もうすっかり暗いはずなのに興奮しているせいか静けさを感じなかった。やっと終った。優勝したんだ・・・。

 

ん?人影が見える。

こんな時間に・・・。あれは乙女姉さん。

 

直ぐにぼくは外に出た。


 

そこには確かに乙女姉さんがいた。

暗くて表情は見えないけど月明かりがその姿を映してくれている。何から話せば・・・。


 ゆ・・・優勝したよ。

「ええ見てたわよ。すごかったね。」


ありがとう。

それで・・・また会話が途絶えてしまった。仕方ないあの問題だもの。


 僕は無言でお弁当は子を返した。

「・・・答えわかった?」

 

3回チャンスで良い?

「わかった。いいわよ。」

すーっと深呼吸した。からだが震えている。


しゅん。

「ちがう。」

英冶さん。

「違うわ。」


しばらく押し黙った。もう2回使ってしまったぞ。あと一回だ。

「よ・・・。」


この後僕はよく慣れ親しんだ名前を口に出した。

多分人生で一番良く使う名前なんじゃないだろうか。


その名前をこうも恥かしく出すなんて事があるなんて。


僕は口に出したあと乙女姉さんの顔を伺った。

そしてその答えがこうだった。

「あたり。」


乙女姉さんの笑顔がようやく見れた。




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