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K-1甲子園  作者: 冬夏
38/53

8話ー1話「しゅんの秘密」

 夏休みが終わり学校が始まった。

あの合宿から一ヶ月が経ち2学期となった。


僕はあの合宿以降規則正しい生活を送っていたので学校が始まってもうろたえる事は無かった。

むしろ学校があるほうが助かる。

 

あれから僕は朝の日課に立禅を加えるため20分起きる事にした。

30分かけて走って公園で20分立禅。それから学校に向かった。

 

夏休みの間乙女姉さんとは一度も会わなかった。

合宿が終った後捻挫させてしまった事を気にして様子を観に家に向かったのだけど一度も会ってくれなかった。


骨に異常は無いって聞いてるし夏休みそこまで不便してないとは乙女姉さんのお母さんが言ってたし大丈夫なのだろうけど夏の強い日差しで無限に広がる青い空は明るい気分になれるはずの夏は僕にとって憂鬱な気分さえなってしまった。


朝の日課を終え家に戻っててもいつものようにお弁当を持って家の前で待っている乙女姉さんはいなかった。

 

学校は直ぐに文化祭モードとなった。

新入生の僕らは始めてとなる文化祭に心躍るとこではあるのが、うちのクラスは散々揉めてカキ氷屋となりいまいちテンションが上がらなかった。


ここは文化祭に向けてバンドを立ち上げ本番に持っていくって話やりたくない?

「アカペラでもやってれば?」

「先輩のバンドのボーカルが声が出なくなって代理で出るって展開もあるかもしれないですから、ボイストレーニングだけはしたほうがいいかもしれませんよ。」


 一緒にやろうよ。


 「嫌だ。」


 

クラス全員でかき氷なんて人が余るに決まっており、僕はみきとしゅんと一緒に文化祭を回っていた。

 

適当に出店のものを食べあさってあとは体育館の芝居とか演奏を聴いたりして時間を潰した。

そしてこの文化祭ぼくとみきはある協定を結んでいた。


そのある協定とは・・・。



中学生の頃の話である。

僕らは揃って高校に合格したので英治さんがお祝いしてくれるとの事で自宅に招かれ鍋パーティーをした。松本家に到着すると既に乙女姉んさとまりか先生が仕込みをしていてくれていて会長とラッキー先輩はもう酔っていた。


「みきはなんとか高校行く気になってよかったよ。」

「まぁ皆に毎日説得されたりしましたからね。本当に大検で行くつもりでしたよ。」

「そうだ。これは3人にお祝いだ。」

 

そういって渡してくれたのは3人色違いのお揃いのジャージだった。

そのジャージてのがいつも朝僕が来ているやつのことで、みきとしゅんはピンクパンダでトレーニングしている時に使っている。


ありがとうございます!大切に使います!ぼくらはお揃いということでそのジャージに着替えてお披露目する事になった。真新しいジャージは着心地が良く体にしっくりきた。


着替え終わるとちょっと恥かしいが他4人から似合ってるねなどと声をかけられた。

ちょうどその時だった。


「あれー。しゅんくんって眼鏡取ると結構良い感じかもぉ。」

 まりか先生の一言だった。


「そうですね。ちょっと整えたりしたら良いかも知れませんね。」

それに続いて乙女姉さんだった。

二人はしゅんを連れて行ってしまった。


20分後、まりか先生、乙女姉さんに続いてものすごい美少女が入ってきた。

  

 

「あれ。まりかちゃんの友達?それとも乙女ちゃんの?」

 食いついたのはラッキー先輩だった。でも玄関からだれかきた気配はなかったようあ・・・。

 

「も・・・しかして・・・。君はしゅんか。」

 僕らはその美少女を凝視した。確かに目や鼻のパーツは似てるような・・・。

 

「そうだよ。じゃーん!しゅんくんでした!」

 その美少女に眼鏡を掛けさせた。たしかにしゅんだった。

 

しゅんは普段はくせっけのせいでぼさぼさ頭だった。

眼鏡もいたって個性が無くはっきりいって地味だった。


だがそのしゅんににストレートアイロンで髪を整えエクステを追加、薄いメイクで仕上げてあとはまりか先生の服を着せればほーら美少女の出来上がり。ってしゅんなのか!


「ありえない・・・。」

みきも黙ってしまった。酔っていた会長でさえ何も言う事ができず、沈黙は部屋一体を襲った。

「なーに黙っているのですか。」

「いやー似合うよね。本当この姿でアイドルオーデョションとか応募出来るかも。」

「辞めてくださいよ。そんなもの。」

 

この女装に続き英治さんは学生の頃のジャケットやシルバーアクセサリー、ワックスでしゅんをコーディネートした。ジャーニーズ?ジュノンボーイ?



いいえ超イケメンです。




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