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K-1甲子園  作者: 冬夏
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7章ー6話「まだ地獄」

日が調度天辺に来る頃に午前中の練習が終った。


坂道ダッシュは距離こそ先ほどより短かかったけどその厳しさは僕の体を痛めつけた、一歩走る震動が直に心臓に突き刺ささってきた。

いつ心臓が破裂してもおかしくないという実感はあった。


それでも歯をくいしばってこの練習を終えた。体に溜まっていた体液が一通り抜けたようでデトックスしたような感じだった。


坂道ダッシュダイエットとかあったら絶対痩せるに違いない。巻くだけ?バナナ?痩せたければ走れ!

「何をぶつぶつ言ってるんだ?大丈夫かお前?」

「なんか宇宙と交信してる。放っておこう。」


 英治さんとラッキー先輩に支えられながら車に乗り込んだ。

気温は避暑地といえど日の当たるところはとても暑かった。


当然車の中などサウナ当然の状態であったけど走り終えたぼくに取っては高級ホテルのVIPルーム並みの極楽な空間であった。


 昼食のため一旦引き返してきた。

みきとしゅんは坂道ダッシュに参加しておらず昨日の夕食以来5つ星シェフの称号を会長より与えられ気を良くしたコンビが用意してくれた。


まりか先生がレシピや作り方をメモしていたことは涙ぐましいものだった。

 

しかし折角用意してくれた昼食もほとんど喉が通らなくて変わりにフルーツをたくさん食べた。

まりか先生がそれでは栄養が足りないし体がもたないと心配してくれて、持参したプロテイン、BCAA、ビタミン剤、クレアチンを渡してくれたのでそれを摂取した。


さすが体育の先生。トレーナー。

昼の休憩は3時間与えられその間雑魚寝した。


寝ている間走っている夢を見た。体がびくっ、びくっと反応した。

極度に疲れているとこういうことが起きるが合宿2日目にしてすでにピークなのか。


それでも長野の澄んだ風は僕の体の隅々まで癒してくれた。

 

休憩明け昨日のジムの一回のプールに向かった、知り合いの計らいで1コース丸々貸切になっていた、どこまでVIPなんだピンクパンダ。


プールということ乙女姉さんが水着になるのではないかと一瞬ドキドキイベントを想像したのだけど民宿に残って部屋の掃除したり自分の宿題をするためここには来なかった。


なんのためにプールに来たのか。ここでも例外なくスタミナアップのため体を追い込んだ。


 短期的に追い込んだダッシュとは対照的に今度は一回を長めにゆっくり泳いだ。

ゆっくりとはイメージてきなものとスピード感の問題で実際は慌しく疲労が蓄積されてきた。

 

そのあとは上に上がってようやく手にグローブをはめた。普段知ってる練習だからきついのには変わりないがこの方が安心した。やっと格闘技らしい練習になった。


「気を抜くなよ。怪我するからな。まずはシャドー、そしてミット打ちでパンチから!」


 シュッ、シュッ。

室内の空気を切り裂くように鏡の前でシャドーをした。足元には水溜りができていた。今日一日でどれくらい痩せたんだろう。


 リングに上がりミットを打った。ラッキー先輩の顔つきがいつもより厳しくみえた。それに応える様ふひたすらミットを叩いた。

 

しかし腕が重くガードが下がる。度々さがるガードに英治さんの激が飛ぶ。それでも下がってしまうガードを見兼ねてラッキー先輩がミットをつけたまま僕の顔面を打ち抜いた。


「やる気あるのか!そんなガードだど古泉のパンチもらっちまうぞ!しっかり手をあげろ!」

 

すみません!

しっかりガードを上げて再びミットを打った。

こんなに怖いラッキー先輩は初めてだった。


30ラウンド分ミットを打って、次は英治さんとパンチからキックまでにコンビネーションの練習、そして仮想古泉とのスパーリングになった。後で気がついたが、僕らの練習は他所の人間ってこともありジム内の注目を浴びていた。その中には女性会員の人も居てラッキー先輩が張り切ってた理由がここにあったのだと理解した。

 

英治さんとのスパーリングは先月英治さんが日本拳法の道場で練習をしてきてくれたおかげでその突きを体感することができた。ノーモーションからくるパンチに攻防一線になってしまい何度もリング奥へおしこまれてしまった。


またその動きがあまりにもトリッキーなので自分のペースが掴めななかった。

 

僕は力任せに両手を振るったがどれも空振ってしまい余計体力を消耗してしまう。

「もっと小さくまとめて!大きいのいらない!ちゃんとキックまで繋いで!」

「あまり相手の様子を伺うな!自分からせめて!」


ワン・ツー。フック2発、ボディーからローキック。英治さんを相手に手を出し続けた。だんだん本当に古泉に見えてきた。


 パンチにやっと慣れてきた所でスパーリングは終った。

「どうだった。感じは摑めたか?」


 これはぶっつけ本番で戦える代物ではないですね。

従来のパンチとは勝手が違うので本当に戸惑いますよ。


「そうだな。でも合宿はまだ何日もあるからな。集中的にみっちりやっていこうか。」

 最後にウェイトでしっかり体を鍛え上げてこの日の練習は終った、ウェイトだけは100キロのバーベルを100回とかではないでのそう意味では心に優しいトレーニングだった。



これまたきつかったけど。





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