7章ー3話「到着」
高速を走る事3時間長野県に入り下道に入った。
山道を抜け知り合いの経営しているジムに到着した。
長野の合宿と聞いてたから山を走った川でスクワットとか原始的な練習かと思ったけどこのジムをみてその不安は無くなった。
近代的なジムで一階にプールがありウェイトのマシンもかなりの種類が揃っていた。
リングやサンドバックも常設されているがキックのジムというより大型のフィットネスジムのようだった。
まりか先生が同乗しているんだこういう施設じゃないと意味無いだろうな。
ジムの関係者の人達に挨拶を済ませた。
テレビ観たよとか声をかけてもらい中を案内してもらった。
格闘技をやっている人は英治さんをみるなる驚いているようだった。
中にはファンとなのる人が近づいてきたり握手をしたり写真を撮る人まで出てきた。
さすが英治さん。
「今日は軽くほぐす程度にここで体をならす。芳樹は着替えてこい。みきとしゅんはまりかと乙女ちゃんと今日の買い出しに行ってきて先に民宿に向かってくれ。」
言われるがままに二手に別れた。
僕はロッカーを借りて乙女姉さんが用意してくれた荷物から練習着に着替えストレッチを始めた。
ずっと車に乗っていたのでいつもより体が固まっている感じがしたので念入りに筋を伸ばした。
「よしリングにあがれ。」
リング中央には会長と英治さんがいた。
「先にこの合宿の目的を放しておく。細かい詳細は追々として目的は3っつ、スタミナの向上と下半身の強化、そしてパンチ主体のファイトスタイルを徹底させることだ。」
以前、日本拳法の小泉対策にビデオを見た事があった。
小泉を撮影して人から貰ったらしい。英治さんの観察によると一つ弱点として、
「蹴りが少ない。」
との事だった。
実際日本拳法には下段蹴りが無かった。
下段蹴り事態は日本の格闘会がムエタイと遭遇し取り入れたのもであるから格闘技の歴史としては最近のものである。
だから古くから伝わる日本武道に下段蹴りが無いのは当たり前と言えばそういうことになる。
その日本拳法をバックボーンとする古泉は蹴りのバリエーションが少ないと観たらしい。
キックの・・・いや、K―1ルールに慣れて無いのかもしれない。
まぁミドルより足の上がらない僕も人のことは言えないのだけどね。
じゃあこっちは蹴りで対抗するのが定石なのでは?
「その通りだ。でも前蹴りで距離を取ったりミドルでダメージやポイントを削るような蹴りでは駄目だ。日本拳法の突き、すなわち直突きと横突きは独自の理論で織り出すあの突きは威力もあるが怖いのはそれだではない。前へ、横への出入りだ。遠い距離から一瞬でパンチの間合いに入り攻撃してくる。芳樹が前蹴りで距離を取ろうとしようものならむしろあっちとしては好都合だろ。したがってこっちはパンチ主体で行こう。日本拳法の突きは威力はあるが連打性にかける。こっちはボクシングテクニックで距離をつめてパンチで応戦、そしてローキックだ。あっちはローにまだ慣れて無い。古泉を崩すとしたらそこだろう。」
「そして今回は会長がローキックを仕込んでくれる。この合宿でしっかり習得するように。」
か・・・会長が?
ピンクジムにもう何年もいるが話しはするけど練習にはそんなにアドバイスをもらったことは無かった。ほとんど英治主導による練習だった。
「芳樹にはキックでもムエタイでもない、進道空手の蹴りを仕込んでやるからな。しっかりトーナメント制覇してこい。」
進道空手の蹴り?
どうほかと違うのだろう。
「とにかく練習しよう。リングにあがってまずはパンチからだおいラッ・・・。」
ラッキー先輩がいなかった。
そういえばこのシリアスなシーンで一回も会話に参加してこなかったな。
あたりを見回してラッキー先輩を探した。
遠くの方でストレッチをしている女性に話かけていた。
片手に携帯持ってる当たり番号を交換しようとしているのだろうか。
勿論会長の拳にド突き回されていた。




