6章ー2話「天才ムエタイファイター」
帰りは英治さんの車でみんなで帰った。
初勝利を目撃できなかった英治さんは残念だと良いながら喜んでくれた。
ラッキー先輩はこの初勝利にかこつけて祝賀会といなの飲み会をしようと会長に耳打ちしていたが会長はK―1のスタッフの人に挨拶があるとかでそれは実現しなかった。
もとよりそんな雰囲気ではくなってしまったのである。
自宅まで送ってもらい3人も一緒にそこで降りた、家では両親が待っており帰るなり試合結果を聞いてきた。
そこはすかさずさっきの
「1ラウンド3秒で終わりましたよ。」の下りが始まったので僕は無視して自室に戻った。
両親からは歓喜の声みきとしゅんと乙女姉さんの爆笑としか表現できない声がこだましていた。
部屋でゆっくりしよってほど疲れもなくその後なんとなくいつもの3人で部屋で喋っていた。もう日付が変わろうとした。僕はいつも観ている深夜の格闘番組をつけた。
もしかしたら今日の試合結果とかやってるかなと思ったプロレス、総合ときてK―1のコーナーとなった。
ニュースキャスターの他に解説に魔裟斗がいた。
「今日開催されましたK―1甲子園。続出するKO劇に高校とは思えない試合振りで・・・。」
このコメントの最中ハイライトの一発目で僕の試合が放送された。たしかにテレビ栄えする内容ではるな。派手だ。
「君がしょっぱなですか。」
「これでお前も全国区だな。」
そんな訳あるか。
でもサインの練習しとこうかな。
しかしそんな浮かれた雰囲気は一瞬で終わる。
長門 均の試合がほぼノーカットで放送された。
立ちありこそ慎重ではあったが高校生とは思えない左ミドル、ミドル。
近づこうとした相手を前蹴りで突き放しまたミドル。
そこにインローも合わせ試合を終始コントロール。止めはここぞとばかりに豪快なハイキック。
見事なKO勝利だ。
・・・。
「いやー長門選手凄いですね!これは将来が期待できる!優勝候補間違い無し!」
その場全員が長門を讃え優勝候補と何度も連呼した、。
悔しいけどもうどうもならない。これはレベルが違い過ぎる。
「チート。」
「もう一回飛び膝。」
慰めてるのか奮い立たせてるか。
これがムエタイなのか。
これが長門なのか。
さっきまでの楽しい雰囲気がまた落ちた。
会場でも長門の試合を観た英治さん達が顔つきが変わった。
そういうレベルだ。
そんななかニュースキャスターが魔裟斗に話を振った。
「魔裟斗さん長門選手凄いですね。間違いなく優勝候補だと思われますがどう観ていますか?」
「んー確かにこれは高校生レベルじゃないですね。でも・・・。」
魔裟斗も認めるのか。
この才能。もうどうも出来ないのではないか?
「でも優勝候補が勝ってくだけじゃあK―1はつまなねぇ!やっぱりドラマがあるのがK―1だ!」
「俺は越前が優勝候補だと思ってますよ。」
は?
魔裟斗のこの一言により明日、僕はまた苦難に立たされることになる。




