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K-1甲子園  作者: 冬夏
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6章ー1話「魔裟斗との遭遇」

ガヤガヤと周りの音が鳴り響く。


いや本当は音ではなく人の声なんだろうけどこうも人が多ければもはやこれは声ではなく音でしかない。何てことを考察している場合ではない。


試合が終わった。


それもあっという間に。


疲労もないし怪我もない。

はっきり言って文句のない話ではあるけど実感もない。


試合が終わるとレフェリーが僕の手を摑んでリングの中央で勝利者宣言をしながら上げた。自分のコーナーに戻って3人の顔を眺めた。皆呆気にとられていた。


開口一番に乙女姉さんがお疲れと言ってくれたのを皮切りにみきもしゅんも軽く話しかけてきたけどなんかぎこちない感じがした。


会場全体が注目してるような視線を感じた。

早々にさっきのビニールシートに戻った。


グローブを外して汗を拭いた。

すぐにジャージに着替えたい所だったがなんか疲れていてそまま横たわった。


勝ったんだ。


という感想より。

なんかしでかしてしまったのではという感情がふつふつと沸いて来た。

でもルールを侵したわけでもないし。


激しい打ち合いを制して、殴り殴られダウンの応酬の末最後の一撃で派手なKO勝利!なんてことを想像しながら走っていたこともあった。


一進一退の攻防の末、当たったらどうなるかわからない。

そしてゴング終了後僅差の判定で勝利ってのもありだろう。


いずれにしろ会場が盛り上がるに違いない。しかし3秒で終わってしまった。

 

もうすでに他の試合が始まっている。リングに注目がいくなか手洗いに向かおうと、その場を後にした。

人と人の合間を縫い目的地の場所へ向かう中、僕とはとんでもない体験をした。


すこしぼーっとしていたため前から歩いてくる人に気がつくことができず激突してまった。

相手はかなり肉付きがいい男の人のようでぶつかった反動でぼくが倒れてしまった。


「大丈夫?」

その男の人は手を差し伸べてくれた。

すみませんボーっとしてて・・・・あ!


その手を差し伸べてくれた

男性はK-1 世界王者魔裟斗その人だった。


「どっかぶつけたのか?その格好選手か。」

 魔裟斗がいる。

そして声をかけてくれてる。

試合以上にパニックになった。あっとああえええっと。僕は立ち上がり頭を下げ改めて謝罪した。


「いやこちらこそ悪かったな・・・。ん君さっき飛び膝で秒殺したやつだろ?」

 僕の試合をみてくれてたのか!あまりのも嬉しくて声が出なくて頷くだけだった。


「そっかそっか。名前は?」

 焦りね焦ってる頭を冷静にしようと、かまないようゆっくり名前を伝えた。


「越前か・・・。さっきの試合凄かったな。ごめん今日テレビ番組の収録できてるんで、次の試合も頑張れよ。」

そういって魔裟斗は僕の前から消えた。


頑張ってくれ。


魔裟斗が僕の応援をしてくれてた!

そう思うだけでさっきの自己嫌悪にもにたく来気分が消えた!あの勝ちは誇って良いんだ!また頑張ろう!この出来事のおかげで改めて自分の初勝利を喜んだ。


戻っていくと同じタイミングで会長と英治さんが到着した。


目が合うとすかさず申し訳ない、試合どうだったと聞かれた。


「1ラウンド3秒で終わりましたよ。」

みきが答えた。会長と英治さんはお互い顔を合わせてこちらを見た。

「そっか。終わったものは仕方ない。いつもの顔ぶれがいなくて緊張も増しただろう。負けは悔しいかもしれないがまた練習頑張って・・・。」


いや勝ったんだって。


続いてラッキー先輩、まりか先生がそれに続いて到着した。

「1ラウンド3秒で終わりましたよ。」


今度は乙女姉さんが少し笑いながら答えた。

ラッキー先輩は何も言わず僕肩を抱き、まりか先生は一生懸命慰めの言葉をかけてくれた。


だから勝ったんだって!!





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