第四 友達とは一体
「は?夕飯の買い物を手伝え?」
「あぁ、親が共働きでないつも私が自分で作っているんだ」
ある日いつも通り学校生活を送っては放課後の事部室で話があると言われた結果、そう八尋は菫に言われていた
「っは~?そんなの自分で買えよ、俺は家に帰って忙しいんだ」
「・・・何がどう忙しいんだ?」
「決まってんだろ、家に帰ったらゲームと筋トレとゲームと食べて風呂に入るっていう事が沢山あるだろうが!!」
唯でさえ学校などという行きたくもない場所に人生の半分の時間を費やしているにも関わらずそれに足して買い物の手伝いなど言語道断、ありえないなど八尋はそう思っては唾飛ばさんばかりに菫が注いだお茶を飲んではそう言っていた
「筋トレはともかくとしてゲームとゲームはいらないだろう、後お前は元から汚いのだから風呂など入る必要はない、この意味がわかるか?」
「っいやいやいや、わかんねぇよ!後俺は汚くねえ!!それを言うならお前も汚いだろうが!」
「何を戯言をほざいているんだ??私は綺麗だ、それに私は風呂が好きだからな、入るに決まっているだろ」
全く、バカにも程があるなど菫はそう怒鳴り散らすようにしては話す八尋へと菫はため息付いてはやれやれと呆れてはお茶を啜っては飲んでいた
「・・・・・・はぁ…会話がおかしい・・・」
「会話をおかしくさせたのはお前だろ」
「っお前だよ!」
「っうっさいな…、それでだ、今日私が買う材料はだなぁ」
「・・・俺、まだお前に付いて行くなんて一言も言ってないんだが」
「あっ、幼馴染さん」
「っ!?」
勝手に話を進めては勝手に計画を立てていく菫、八尋はその人の話の聞きなささに突っ込もうとするもそういきなり顔を上げては「幼馴染」そう言われた事に八尋は慌ててドアがある方へと顔を向けていた
だが当然誰もいない
「って、てめぇ・・・」
「もう高校が始まって、そしてあの幼馴染という女の件から約一ヵ月は経とうとしてるのにまだ未練があるのか、本当気持ち悪いな」
悔しそうな顔を浮かべてはそう睨む八尋、だが菫はそんな八尋になんとも思っていないのか心底見下ろした顔を浮かべてはそう下から覗いては見た
「っ…み、未練じゃねえよ…トラウマだ、トラウマ!」
「・・・トラウマねぇ……あ、そうそう一つ教えてやるよ」
「・・・なんだよ、変な話だったら聞かないー」
「今時こんな時代でどうかと思うけど、どうやらあの不良の連中達他校の不良と喧嘩して来てないって、耳にしたよ」
「…っは?」
「私はお前とは違うクラスだからあまりよくは知らないがどうやらそうらしい、って逆に聞くがお前は知らないのか?情弱だな」
「っ…え、じゃ、じゃあだからあの不良達学校に来てないのか?」
「・・・さぁな、あくまで私が耳にしたのはそれぐらいだ、まぁその連中に関わってる幼馴染とやらがどうなったかは知らないがな」
ねむ~などそう言っては片手にコップを持っては欠伸をする菫
だが八尋はその事に対してまるで知っていないのか大変驚いたとばかりな顔をしては驚愕していた
「っお、幼馴染は学校に来てた、けど…えっ、じゃ、じゃあもしそれが本当だとしらー」
「あぁ、おそらくは停学かなんかになってるんじゃないか、あくまで小耳に挟んだだけだけどな、後お前噛んでるから」
噛んだのが面白かったのかクスクスと笑う菫
「っそ、そう、なのか・・・」
何を安心したのかわからないがまるで嬉しそうなそんな顔を浮かべる八尋
菫はコップを片手にそんな八尋を睨むようにジト目で見ては一言
「・・・お前、例えあの不良共が謹慎食らってるからってあの幼馴染とかいう女に近づけるなんて思うなよ」
「…っな、そ、そんな事思ってるわけないだろ!!」
まるでわかってない八尋はそう言っては忠告されるもニヤける
「・・・・・・一応曲がりなりにも少しはお前に関わってきたから言わさせてもらうがあの女に関わるのはやめとけ」
「っな、なんだよ、別に俺はー」
「これは冗談なんかじゃない」
「・・・」
いつもにまして何故か真剣な眼差しを向けてくる菫へと八尋は本当に冗談で言っているのではないとそう捉えては黙った
「…確かに私はここ最近、いや初めてお前と会い、そしてお前に幼馴染に関して聞かされては私はくだらない、そう言った、あれに関しては正直私も悪いと思っている事はある」
「・・・・・・っえ、お前にそんな気持ちなんてあったッブァ!?」
「人が真剣に話している最中に茶々入れるな」
「っご、ゴメンナサイ・・・」
一体どこにそんな蹴力があるのかとばかりに机を蹴り飛ばしては八尋の顔面に直撃するなど、八尋は痛さのあまりに鼻を当てては涙目に謝った
「・・・それでだ、幼馴染となれば確かに多少なりとも普通の異性じゃなく家族同然、恋人にも感じる事はあるかもしれない、しかもそんな昔からいた奴が他の奴に取られる、そう思ったら平然としていられる方がおかしいかもしれない」
「…お前ってもしかして幼馴染ー」
「いや、そもそも私に幼馴染などいない」
「・・・あ、っそう…」
まるで自分の体験談の如く話していく菫へと八尋はもしかしたら自分と同じく幼馴染をなどと思うもそう否定されては一瞬にして興味が薄れていた
「…それでだ、結論を言ってしまうといつも隣にいた運命の相手だったかもしれない相手が離れて行っては別の誰かの物になってしまう、これは確かに尋常じゃない崩れ方だ、下手をしたら自殺になる可能性もなくもない」
「・・・いや、別にそこまでじゃないんだが・・・」
「・・・例えばの話だ、例えば…、それでだ、確かに今のお前の立場になってみればそれはきついだろうな、私には図りしえない痛みだ、…だけどな」
「あの幼馴染とかいう女はそんな事これっぽっちもお前の事なんて見てねえよ」
「!」
「恋なんて物は一方的な気持ちだ、恋だけじゃなく全てか…、例え自分がこう思っているからと言って相手もそう思ってるなんて事はありえない、今のお前は感じてるだろ?実際に今」
「・・・」
告白する以前の問題で振られては離れて行ってしまった幼馴染、つまりはこの事から得られる答えは最初から別になんとも思っていなかった、そんな答えが出た事に八尋は今一度実感しては無言で俯いた
「…この前もいった気がするが元々住む世界が違ったんだよ、お前とあの女は・・・、・・・ふぅ…、それにしても皮肉だな、そんな小さい頃から一緒に居ておいて今更離れては内なる性格が表に出てくる、…私はその女について全く知らないが一言で言えばあれだな」
化け物だ
「・・・化け物…」
「あぁ、それかもしくはお前の事を隣にいてもなんとも思っていない風景と一緒になっていたただの物置同然だったのかもな、早く忘れるこった」
風景と一緒、つまりはただの空気になってしまいそばにいるかどうかも怪しい存在、八尋はまさかそんな風にまで思われていたとは思ってなかった故にか心底気分を害したとばかりに顔を真っ青にしては霊気が抜けていた
「・・・・・・まぁ、安心しろよ」
「…?」
肩を掴んできてはそう言ってきた菫、一体なにがどう安心なのか八尋はそう菫へと顔を向けた
そこにはなんとも安心出来るような、そんな表情を浮かべた菫がいた
夕焼けに照らされたお陰のせいなのかもしれないが
「…少なからず私はお前の事を覚えているさ」
「…!天沢・・・!」
笑みを浮かべてはそう言ってくる菫、まさかそんな事を言ってくれるとは思っていなかった八尋は思わず目に涙を浮かべてはとみていた
「・・・気持ち悪い声で泣き喚いた男としてな」
「・・・・・・なぁ、天沢」
「・・・なんだい」
「・・・・・・お前ってひょっとして友達いないだブッ!!?」
勇気付けてくれていると思っていた八尋はそう期待を裏切られた事に嫌みの一つを言おうとするも腹パンされるなど床へ倒れては額を床に付けてはうずくまっていた
「…お前は一体なにを言っているのか私にはわからないな、少なからず私とお前は「友達」、だろ?」
「・・・俺はお前みたいな暴力女と友達ーハイ、友達、友達です、はい!」
「あぁ、そうだ、だから買い物に付き合えよお前」
「・・・俺の名前はお前じゃねえ、藤永ってちゃんとした名前があるんだ」
「・・・めんどくさい奴、まぁいいや、早く来いよ藤永、買い物手伝え」
「…はぁ、はいはい」
なんだかんだとうまく話が纏まったのか八尋はそう先に出ていく菫へと後を追っては買い物へ行ったのだった