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社長との初対面
エレベーターは、最上階へと。
扉が開き、視線の先に見えた
“PRESIDENT”のドア表示に 餡はドキリとしながら エスコートされ、
秋也は、餡を連れ その扉の前に立ち、ひと呼吸、
勢い良く、3回ノックした。
「失礼します」
律儀な態度の秋也に促され、餡も社長室に入る。
「あぁ〜なるほど、このお嬢さんか」
緊張げな餡を、社長は、貫禄な笑みで迎えた。
「はい。こちら、雛形 餡さんです。
餡さん、こちらが僕の父であり、社長の南條 寿です」
「初めまして。雛形 餡です」
「初めまして、餡さん。秋也の父です。
こういう会社は初めてでしょうが、緊張なさらず」
「あ‥、はい」
謙虚に頷く餡の 雰囲気や容姿をまじまじと見ながら、
“秋也の好みの子だな”
と、寿は、ほくそ笑んだ。