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第二十五話 決戦・その2

「なんや、もう初めとるんかいな・・・って水間、おまえさんピンチやないか! 今手を貸すで」

扉から戻ってきた宅間達が広間を見上げる。つい先程まで壁に突き刺さっていた水間が重症を負っているのが見えた。

「下がってろ宅間! こいつは俺がやる!」

「何言っとるんやおまえ。格好つけてる場合かい!」

「いや、ある意味正論だよ」

テッドが会話に割って入る。

「バナリスの力は本物だ。水間君でもなければ足手まといにしかならないよ」

「そんな事言うてる場合かい!」

「そうだ。ここまで来たんだ。心中するのも本望だよオジサンは」

「ラララ~ボクは死体大好き人間~」

「空気を読めエド!」ボカッ!

「いったいなぁ~。なにも殴ることもないだろ~」

「水間さんを助けなきゃ」

「水間さん!」


「おやおや健気な仲間達だねえ。それじゃ、ちょっと黙らせるとしようか」

「・・・・・・!」

「最期のジ・エンド・オブ・スラッシャー!」

「させるかぁ!」

「水間が真正面に立ち、魔法の刃を大鉈で斬る! 2つに分かれた刃は壁を豪快に切り裂いた。

「・・・・・・な、なんや今の」

「さっきからずっとこんな調子だよ。黒魔術だけで水間君を押してるんだ」テッドが言う。

「・・・・・・た、確かにこれじゃ私たちが入っていける余地ありませんね」

コリスが弱気になって言う。まあ実際彼女の場合レザーフェイス戦で槍を折られているためまともな勝負は出来ないのだが・・・。

エドやゲイシーも言葉が出ない。今の魔術を見せられたら自分の戦闘力など大道芸レベルだ。

「な、なあに心配いらないさ。皆が応援してくれるのなら俺も頑張れる。だから俺に任せておけ」

水間がニヤリと笑う。

「やれやれ、絶対勝てない相手と闘ってるのに、君は懲りないね」

「そうでなければここには来てないんでな」

「なら私も出し惜しみなしでいこうか! ゴーレム召喚! ドラゴン召喚!」

バナリスの足元の魔方陣から特大のゴーレムとドラゴンが現れる。

「なんや、あれ。もう何でもありかい!」

「そうだね。何でもありだね」


グアアアアアアアアアアアアアッ!

ウガアアアアアアアアアアアアッ!


「勿論私も攻撃させてもらうからね。魔銃弾サイコ・マグナム!」

水間目掛けてゴーレムの拳と、ドラゴンの炎と、バナリスの魔術の3点同時攻撃が迫る! 流石にこれを避け切るのは水間といえども・・・、

「交わすかぁ!!」

水間は飛び蹴りをゴーレムにかましドラゴンと同士討ちをさせると同時にバナリスの魔弾を回避する。

そして一瞬千撃、ゴーレムとドラゴンを大鉈で切り裂いた。

「な、なんだって・・・」バナリスが驚愕する。

「悪いな。そちらがあまりに強すぎるもので、こっちも本気を出さざるを得なくなった・・・」

「どういう意味かな・・・? 手加減して戦っていたとでも?」

「違うさ。本気で闘える相手に出会えた。それは俺の潜在能力を引き出すという事だ・・・つまり相手が強ければ強いほど、俺の力も増すんだよ!」

「ハ、ハハハ・・・素晴らしいね! 君は! やはり君は私の最高傑作だよ!」

「大事なことなんで2度言ったんだな。さっきから俺のハートが叫んでるんだよ。もっと力を引き出せ。乾いた魂に水をやれとな」

「君なら私の想像を・・・私の力を超えられるかもしれない、そういう事だね!」

「なら・・・どうする!」

「無論全力全快さ!」

バナリスが歓喜する。世界最強がその力を存分に振るえる。こんな事二度とないと思っていたのだからその感動はひとしおだ。

「10倍獄炎走破サイコ・バーン!」

「喰らわねえよ!」

水間が一瞬で間合いを詰める。

「鏡の反響カウンター・ミラー!」

「はあっ!」

水間が意図的に加減した蹴りで鏡の反応を確かめる。そして許容範囲以上の斬撃で鏡を割ると、バナリス自身も鉈で切り刻む。

「くっ・・・再生が追いつかないか・・・だが!」

バナリスが体から吹き出た血液を収束させる

「血のブラッディ・ミスト!」

「・・・! 目くらましか!?」

水間が一瞬視界を腕で遮る。その間にバナリスは自己再生を完了させる。

バナリスの不老不死は基本魔力によるものだ。つまり理論上それが尽きれば再生は敵わず死に至るのだが・・・、

「まだまだ、こちらの力は充分だよ」

「言っただろう? ならばそれが尽きるまで千日手を続けると・・・!」

「やれるものなら、やってみせてもらおう」

「・・・上等!」

バナリスが魔法を連発し、水間がそれを凌ぎながら攻撃を仕掛け続ける。


「おいテッド、勝負開始からどのくらい経過した?」

「んー・・・2時間とちょっとだね。いっそ僕らは寝てしまおうか」

「それはダメでしょう。戦ってる二人に失礼というものです」

「でも立ち過ぎて足が痛いんだけどね~」

「じゃあ座って見てればいいだろう。かくいうオジサンも腰が・・・」


観客席の面々にも疲れが見え始めていた。

そんな中テッドが、

「・・・そろそろ決着が付きそうな気がするんだけどね」

戦局を最初から見届けていた男がぽつりと呟いた。

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