第二十二話 ゲイシーとフレディ
キィン! キィン! キィン!
フレディの爪付きグローブとゲイシーのナイフが激しく鍔迫り合う。
エルム街の悪夢とピエロ殺人鬼の攻防は一進一退が続いていた。
「はっ」
ゲイシーのナイフがフレディの右肩に突き刺さる。
「くっ・・・!」
だが傷は煙のようにシュワシュワと音を立て、あっという間に塞がってしまう。
「へへへ、言ったろ? 夢の世界じゃ俺には勝てないと」
「でも「痛かった」でしょ? 現実は甘くないってことだよ」
夢の狭間で生きるフレディと現実の中で生きてきたゲイシー、最後に倒れるのはどちらなのか・・・。
フレディは言わば悪霊の類でもある。そして殺害方法もまた多彩だ。
「こうなったら、俺様の名演技を見せてやる」
言うなり、フレディは突如TVに変身。大きな手を伸ばし、ゲイシーを引っ張り込む。
「ホワット!?」
「ヒャッハー!」
そこはバイオレンスアニメの1シーン。分身したフレディが次々に襲い掛かる、というシーンだった。
「オーマイガッ! このバスタードが」
ゲイシーの投げナイフがフレディに突き刺さる。あっという間にフレディは惨殺され、「GAME OVER」の文字が表示される。
「ちぃっ!」
フレディの本体が再び姿を現す。
「ならばこれはどうだ!?」
再び大きな手がゲイシーの体を掴み、別のTVへと引きずり込む。
そこはゲームの世界。コントローラーで動きを操り、落とし穴に落とそうとする。
「ゲームならジャンプは出来るよね、ほいっ、ほいっと」
「シィーット! このゲームバグってやがるぜ」
「はい、ゴール」
「くそっ、しぶとい奴だ!」
「小細工なしで掛かって来てほしいんだけどね」
「てめえはさっさと死んでしまえばいいんだよ!」
どこかユーモラスな勝負へと移行しつつあるが、戦局はやはりフレディのペースだ。
しかしゲイシーも負けてはいない。必死にフレディの夢の世界の攻撃を回避しながら、何とか現実の世界に戻ろうとする。
(ここままではオジサン不利なんだよね・・・ならば目には目をでいこうか)
「いくぞフレディ!」
「ああっ!?」
「心の力ビーム!」
ゲイシーの指先から光り輝く光線が放たれ、フレディに直撃する。
「ぐぎゃああああああっ! て、てめえ、何をしやがった!?」
「フフン、それはオジサンが殺めた穢れ無き少年少女の心の力を具現化させた超能力ビームさ。よく効くだろう?」
「そんな滅茶苦茶な技があるか!」
「あるかって・・・夢の世界だもの。ある意味なんでもありの世界だよ。そこで好き放題した君が悪い」
「野郎っ・・・!」
フレデイが空間を割って逃げ出す。遂に彼を夢の世界から引きずり出すことに成功した。
「都合のいい夢ばかり見てきた罰だ! 消えてもらう」
ゲイシーの両手からナイフが幾つも出現する。
「投げナイフ10連!」
「くそっ、や、やめろ・・・ぐああああああっ!!!」
フレディが大量のナイフを全身に刺され壁に貼り付けられる。
「この、クソ野郎が・・・ぁ・・・ぐはっ!」
そして多量の吐血をしてそのまま動かなくなった。
「うん、オジサンの勝ちだね。やはり現実怖い現実恐ろしい。夢に引きこもっていた君では現実の世界で殺しをやっていた私には勝てないよ。じゃあね」
現れた扉を潜り、ゲイシーは元いた現実に帰っていった。
もっとも、フレディも数時間もすればまた何事もなく復活するのだろうが・・・。




