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第二十話 宅間とジェイソン

クリスタルレイクの湖畔の片隅で、宅間とジェイソンの戦いは始まっていた。

豪腕で斧を振り回し、アイスピックを投げて攻撃するジェイソン相手に、宅間も中々苦戦していた。

「へっ、別にセックスしにここに来たわけじゃないんやがな。容赦ないやないけ」

対する宅間も負けてはいない。銃撃を温存し、サバイバルナイフのような大型ナイフで斬撃や刺突で応戦する。

なにせ相手は不死身と謳われた殺人鬼だ。細心の注意をはらって応戦しなければならない。

「現世で小学校襲ってた時だったらあっさり殺されてたわなぁ」

「グオオォ・・・オォォ!」

パンチ一発回避するも、横の大木に大穴を開けるジェイソン。あんなの喰らったら即死は免れない。


「ほんま面白いわアンタ。俺達にとっては憧れの殺人鬼やで」

だからこそ勝ちたい、まるで純粋な高校生のスポーツ少年のような気持ちが宅間の中で膨らんでいく。

それはしばらく忘れていた感情だった。彼にも確かにあったのだ。夢を追いかけたり何かに夢中になったりしていた時代が。

だが彼は最期に自殺を選んだ。大勢の少年を巻き添えに殺して。

あんなつまらん人生より、こっちの方が余程充実している。

水間と違い、生来の殺人犯ではなかったが、殺しを成し遂げたいというその意志は紛れもなく本物であった。

「もらうで、金星!」

宅間が仕掛ける。ナイフを投擲し、相手を怯ませて即距離を詰めてナイフを回収し、ジェイソンの心臓部に深々と突き刺す。

そして持っていた斧の取っ手を切り裂きリーチを大幅に狭め、ショットガンを至近距離でぶっ放す。


「これでどうや!?」

「オオォ・・・オオオオッ!」

だがジェイソンは立ち上がってくる。元々シリーズ後半はホッケーマスクを被った相手がジェイソンになる寄生モンスターと化していただけに、

恐ろしい程のタフネス振りだ。斧を捨て去り、鉈に持ち替え、ナイフを左手に持ち直す。

(あのホッケーマスクをどうにかせんとあかんってことか・・・)

今度はジェイソンが仕掛ける。鉈をブンブンと2回、3回と振り回し、更にナイフで刺し殺そうと宅間を追い詰める。

(こいつは凄いタフなやっちゃのぅ。普通の攻撃じゃ倒すのは無理か・・・?)

宅間の眉間に冷や汗が垂れる。喰らったら死ぬ。まるで剣豪同士の真剣勝負のようだ。緊張感は疲労を増す。

これ以上戦闘を続けたら、先に参るのは自分かもしれない。

増してや相手は「不死身」とも言われる殺人鬼だ。対してこちらは命一つ。不利なのは変わらない。


(だからどうだっていうんや。俺が諦めるとでも思ったか・・・!)


宅間は考えた。どうすればこの不死身の男に「死」を与える事が出来るのか・・・。

その中で宅間は一つ名案を思いついた。それは相手の本体はあのホッケーマスクだという事・・・。

ならば「あれ」を破壊出来れば勝機はあるかもしれない。


「よっしゃ、やったる!」

宅間はナイフを地面に放り投げた。一か八かの捨て身の作戦だ。

「グオオオオオオオオオオオッ!」

ジェイソンがトドメを刺そうと襲い掛かる。そして大鉈を振り上げた。


その斬撃を鼻先一つで回避し、宅間は間合いを詰める。

「くらえやぁっ!!」


ショットガンの顔面零距離射撃。これが宅間の導き出した切り札だった。


一発。二発。三発。

ショットガンの一撃が顔面目掛けて突き刺さる。

そしてジェイソンのホッケーマスクは、粉々に砕け散った。


「グオオオオオオオッ! オオォォ・・・オォ・・・ォ・・・」


ジェイソンは顔面を手で覆い、地面にのたうち回るように苦しみ、やがてピクリとも動かなくなった。


「へっ、へへ・・・勝ったぞ! こんちくしょう!」

宅間渾身のガッツポーズがクリスタルレイクの湖畔に響き渡った。


「じゃあな、ジェイソン。また13日の金曜日に会おうや」

宅間は元来た道を引き返し、現れた扉を潜って行った。

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