第十九話 余興と班決め
「ようこそ。そしていらっしゃいませ、異世界人の方々よ」
暗がりにバナリスの声が響き渡る。
「盛大なる歓迎感謝するぜ、出来損ない」
水間が物怖じせずに答える。
「さっさと出てきてくれるとこっちも楽なんやけどなぁ」
「いやいや、お楽しみはとっておく主義でね。さて、こちらをご覧いただこう」
そう言うと、前方の壁に扉が4つ現れた。
「各扉は私が揃えた精鋭が待ち構えている。一人選んで扉をくぐり、勝てば元の場所に戻ってこられる。全ての扉を制圧すれば、念願の私とのご対面だ」
「・・・遊んでやがるな」
「遊んでやがる」
「遊んでるね~」
「しかもこちらを完全にナメている。ムカッとくるね」
「ルール無視はダメなのか?」
「そうすれば永遠に私とは会えないね」
「はぁ~、どうやら付き合うしかなさそうですね」コリスが大きくため息を付いた。
「あ、女性陣は特別に2人入っていいよ。向こうも団体さんになるからね」
「仕方ないですね。あ、水間さん、いいですか?」
「何だ」
「無事に戻ってこれたら結婚しましょう」
「そういうの、俺達の世界では死亡フラグっていうんだぞ」
「そうです! ダメですよ! 水間さんと婚姻を結ぶのは私って先決めしてるんですからね!」と横からマフィ。
「モテモテだね~水間さん」
「からかうなエド。どうせ冗談で言ってるだけだ」
「「本気です」」
「・・・それはそれで困る」
「ほんなら班決めすっか」
「・・・正直、俺一人で充分なんだがな」
「俺達にも活躍の場をよこせや」
「じゃ、一番右がエド。右から2番目がマフィとコリス。左から2番目がゲイシー。一番左が俺、宅間や」
「俺とテッドはここで待機か。しょうがないがまあいい、バナリスの首は俺が先取りさせてもらうかな」
「じゃあ行って来るぜ」
「皆様、ご武運を!」
「誰が来ようと八つ裂きにするだけや」
「オジサン張り切っちゃおうかな」
4組が扉を潜っていった。そして扉はバタンと閉まり、そのままスーッと消え失せてしまった。
「水間くん、皆が心配じゃないのかい?」
「あいつらなら大丈夫さ。俺は皆を信じてる。背中を預けられるから俺もここまでやってこれた。だから・・・大丈夫」
「なんか初めて君が人間味のあるところを見せた気がするよ」
「そうか?」
「なんやここ、湖?」
宅間は奇妙な場所にいた。水をたっぷり蓄えた大きな湖だ。
「ひょっとして、こいつは・・・」宅間の頭にピンと来るものがあった。そして背後から膨れ上がる強大な殺気・・・!
「オォ~・・・・・・オォ・・・・・・」
ターゲットは筋骨隆々とした大男。手には斧にアイスピック、そして顔にはホッケーマスク。
「ジェイソンかい! こりゃ面白そうな相手やな」
宅間の相手はクリスタルレイクの連続殺人鬼、ジェイソン・ヴォーヒーズだった。
「ここは、・・・故郷に似た香りがするね」
エドが降り立った地はアメリカの郊外に似た新興住宅街だった。
「・・・!」
背後から肉切り包丁が迫る。すんでの所で回避すエド。
男は白いハロウィン用マスクに包丁を構えた男だった。そこから表情は掴み取れない。マスクだし。
「知ってるよ~君、マイケル・マイヤーズだろ?」
「・・・」
男は答えないままスーッと闇に溶けるように消えていった。
「ストーカー殺人鬼か、こりゃ案外苦戦しそうだね~」
「お会いできて光栄、とでも言えばいいのかな?エルム街の悪夢さん」
「フン、ピエロ野郎が」
ゲイシーの相手は悪夢の中の住人、フレディ・クルーガーだった。
「俺を知ってるなら分かってる筈だ。ここは既に夢の世界。俺からは絶対に逃れられないぜ」
「それはおかしいね。だって夢は現実で見るものでしょ?」
ゲイシーも負けじと言い返す。
「言わばこの勝負は夢と現実どちらが上かの勝負だね」
「馬鹿を言え! 夢の中では俺は負けないぜ」
「ならオジサンは現実の殺人ピエロとして戦おう」
「ところでマフィさん」
「何?」
「あなたって本当に水間さんの事が好きなの?」
「勿論です。帰ったら結婚ですよ結婚!」
「それじゃあ無事に帰らないといけませんね。あ、私は愛人枠でいいので」
「なんでそこまでサバサバしてるかな」
「男なんて興味の対象外だったんですけどね~、これが一目惚れってやつなのかな、って」
「じゃ二人で無事に帰りましょうか。こいつらを倒して!」
「そうですね!」
コリスとマフィが対峙した相手はチェーンソーをブインブイン回した怪人レザーフェイスとその一家だった。




