第十七話 拷問と黒幕
「ぎゃああああああっ! ひいいいいいいいっ!」
隊長格だった男は早速拷問を受けていた。手足を縛り、段差を付けた石畳に石を抱かされる典型的な代物だ。
「・・・こんな事もあろうかと拷問器具一式持ってきて良かったな」
そう言いながら水間は焚き火の中に鉄棒を入れて熱していた。
「さあクソ野郎、洗いざらい吐いてもらうで、誰に命令されてここで待ち伏せてた? 誰に命じられて軍を動かした?」
しかし水間も宅間もじわじわと相手を嬲り殺すのは苦手である。早いとこ済ませて息の根を止めてやりたい。
「し、知らん! 私もよく分からんのだ! ただ、ポンメルからの使者を駆逐しろ、手段は問わない、そう言われて・・・うぎゃああ!」
宅間はは抱き石を思い切り踏んづけた。
「そんなクソみたいな命令が通るわけないやろが! 馬鹿にしとんるんかいワレェ!」
「・・・なら話題を変えるしかないな」
水間が赤く熱した鉄棒を鋏で掴んで持ってきた。
「バーン・B・バナリス・・・・・・お前もよく知ってる筈だ。それについて洗いざらい喋って貰おう」
「・・・・・・!」
隊長の顔がみるみる青くなる。どうやら軍内でもバナリスの事はタブー扱いされているようだ。
「・・・残念だが、言えない。こればかりはな」
「そうかよ・・・」
ジュっと音がした。熱した鉄棒が隊長格の男の両目に突っ込まれたのだ。
「ぎゃあああああああ!」
「息の根を止めるのは簡単だがな、それじゃまずいんだよ。だから必ず口を割らせてもらう」
「あ、あああっ・・・」
「あいにく俺達快楽殺人者なもんで、手加減とか苦手だから、素直になったほうがいいよ」
「・・・・・・や、奴は、確かにフェルテ帝国にいる。軍上層部の更に上に。怪しげな実験を繰り返しているらしい・・・」
「最初からそう言えばいいんだよ」
「だ、だが、何をやってるかまでは知らない。研究内容は外部に漏らされていないのだ」
「・・・あっそ」
今度は熱した鉄棒を鼻の付近に押し付ける。
「ぐあああああああっ!」
「悪いが殺しはしない。だがその一歩手前まで追い込む。俺達をなめくさった罰だ。バチは当らないよな」
「いやーしかし凄かったですね。水間さん達の拷問シーン」
「私トラウマになるくらい痺れましたよ。やっぱり敵にはしたくありませんね」
「・・・失望した?」
「まさか。ますます興味が沸きました」
娘2人は馬車の中でかしましく先程の光景を回想していた。
その後、旅は順調に続いた。土産一つ抱えて。
フェルテ帝国の門に差し掛かった時、水間達は呼び止められた。だが相手の言葉を聞かず、水間は肉塊を門目掛けて放り投げた。
それは、水間達が拷問した隊長格の男だった。
隊長だった成れの果てはかろうじて生きてはいた。しかし眼球は焼かれ、声帯と耳の奥にある規管を潰された状態であった。
見ることも聞くことも話すこともできない状態だった。
その惨状に門番の兵士達は震え上がった。
「バーン・B・バナリスに伝えろ。これ以上俺達をなめくさったら、フェルテ国民全員このような目に合わせる。返答期限は24時間だ」
「な、何だと・・・」
「軍を動かしたって無駄だぜ。5千こようが万人こようが俺達には紙の装甲でしかない。死体を増やすだけだ。
それでもいいならどうぞご自由に。明日が・・・帝国の命日だ」
「・・・・・・!」
「一応、親善大使の名目で来てる私の立場も考えて欲しいんだがね・・・」
テッドが頭を抱えていた。最近髪が薄くなったかもな、と呟いてたが気のせいだろう。
その頃、フェルテ帝国最深部のとある一室にて、その光景を水晶玉で見届けていた男がいた。
この男こそ、シリアルキラー転移事件の張本人、バーン・B・バナリスである。やはり生きていたのだ。
「ふむ・・・やはり有象無象をぶつけた所で面白くも何ともないね。特にあのミズマという男・・・実に面白い。久々に当りを引いた気分だな」
そしてその背後には、彼の忠実な部下が勢ぞろいしていた。それもフィクション・キラーが。
「マイケル・マイヤーズ」
「・・・・・・」
「ジェイソン・ヴォーヒーズ」
「・・・・・・」
「フレディ・クルーガー」
「・・・・・・」
「レザーフェイス」
「・・・・・・」
「お前達にも存分に活躍してもらうぞ。さて、虚像は現実を上回ることが出来るのか、はたまたその逆か、楽しみで仕方ないね」




