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ELEMENT 2016春号  作者: ELEMENTメンバー
テーマ創作「花祭り」+「はじまり」
10/17

門出(作:葵生りん)


 燦々と降り注ぐ光が一層色鮮やかに見せる芝生の絨毯。


 小道の両脇を咲き乱れるのは赤やピンクの無数のチューリップ。

 丘に続く坂には絨毯みたいにパンジーやポピーで作られた花時計が正午を指している。

 小さな坂をのぼりきったところには、バラのアーチ。

 それをくぐると、聖書を持った神父と誓約書の置かれた署名台。脇に控える聖歌隊。その手前で待っているのは、白い燕尾服を来た彼。


 ここまで一緒に歩いてきた父が、手を離す。

 二度と会えないわけでもないのに、それが無性に寂しい。


 父は緊張しまくっている彼としっかりと握手を交わす。

 ぐっと握られた手がほどかれると、彼は私に手を差し出す。

 彼の手を取る。と、抱かれている赤子がむずがる。けれど泣き声はしない。彼女は生まれつき喉に傷害のある子で、産声も上げなかったから。

 抱っこを代わってよしよしとあやす。


 気を取り直して、彼とともに父に礼を。

 誓いの言葉。宣誓書にサイン。

 そしてキスは娘の頬に両側から。


 振り返った時にようやく、参列してくれた人たちを見た。

 両親、友人。

 それに私の同僚や上司や同期。

 就職したての彼の同僚はまだ名前と顔が一致しない人が多いけど。


 あとはこの会場に遊びにきていた知らない人たちだって、おめでとうと声をかけフラワーシャワーをふりかける用意をして待っている。


 たくさんの。

 本当にたくさんの人に見守られて、踏み出す一歩。


 歩き始める。一緒に。

 苦労をかけたりかけられたりするけど、どんな苦労だってきっと大丈夫。乗り越えていける。



 大切なことは、

 今見えているこの景色を忘れずにいること。







※フラワーフェスタで結婚式やってますよね……という安直な発想です。ごめんなさい。




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