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Eepisode3 : 嫉妬の罪

投稿不定期です。

月に1話は更新したいところです。

まったり継続していきたいと思います。

目が覚めると知らない部屋の天井が見えた。

白い布団をめくり起き上がる。

着ている服は新品で水色の半袖半ズボン。

頭と体、腕にはきれいな包帯が巻かれてある。

窓から差し込む光が暖かい。

窓の外は見慣れた町の景色。

体に巻かれた包帯を外す。

胸にあった火の玉の黒い印はなくなっている。

頭と腕の包帯も外す。

あれから何日たったのだろう。


(エンヴィー?)


呼び掛けても反応はない。

誰かが扉を叩く音がする。


「はい。」


白い取っ手のついたスライド式のドアが開く。

入ってきたのは白衣を着た女性。茶色い髪の毛を後ろで束ね肩口から前に垂らしている。


「あら目が覚めたのね。気分はどう?」


「もう元気だよ。」


「私はクラリスよ、よろしく。」


「僕、トメト。」


差し出された手は白くてきれいだった。

少し遅れて手を握る。


「トメト君貴方には辛いと思うけど今から貴方にいくつか質問するから素直に答えてくれると嬉しいわ。」


「うん、わかった。」


僕はベットに腰かけ、クラリスさんは病室の丸い椅子に座った。


「嫉妬に選ばれたのは貴方?」


質問する声は淡々として冷たく落ち着いている。

私は貴方の敵でも味方でもない。発せられた言葉から僕はそう感じ取った。


「僕だよ。」


「そうよね。じゃあ、貴方の伯父さんがなくなったの。殺したのは貴方?」


言葉はより冷たくなった。

だけど僕を責めているわけでもない。

その瞳からもわかるように真実を見つめている。

ただ嘘か信を確かめようと集中している。



「僕じゃない。確かに僕にはその記憶が感覚が記憶に残っていたけど殺された後に思い出したんだ。僕じゃないよ。でも僕のせいにされても仕方ないけど。」


僕の声も落ち着いて少し冷たい。嘘をついてもきっとバレる。うまく伝えれなくてもい僕の感じたように話そう。


「そうわかったわ。次に君の部屋から盗まれた玩具が大量に発見されたわ。盗んだのは貴方?」


「それも僕じゃない。僕はほしいと望んだけれど。僕にはその記憶がないし。僕はまだその時嫉妬のことをわかってなかったんだ。」


「犯人は嫉妬なのね。質問はあと2つそれだけ答えてくれたら帰っていいわ。」


僕にはもう帰る場所もないのに、わかっていっているのだろうか。


「クリスト通りで3人家族の死体が見つかったわ。やったのは嫉妬?それとも貴方」


「そっそれは……………………」


体がこわばった。やったのは僕であって僕でないけど。でもあのときは僕なんだろう。間違えない。

あの時エンヴィーのせいにしたいけど。あの家族が羨ましくて憎くって。


もう殺したくないと思っていたのに……

間違えなく僕が殺した。僕がそれを望んだ……


「どうしたの素直に言ってくれると嬉しいわ。」


僕の心に冷たいトーンの言葉が突き刺さる。


「僕は伯父さんたちが死んでいるのを見て怖くなった。もうだれも殺したくないと思った。でもあの家族を見たとき、きっと僕が望んだんだ殺したいって。だからエンヴィーは家族を殺した。」


僕は目を伏せた。きっと今ひどい顔をしているに違いない。


「そうわかったわ。最後の質問よ貴方は軍に入る気はあるかしら?答えて。」


「ないっていったらどうなるの?」


「嫉妬に殺された遺族が貴方を訴えているの。

裁判になるわ。軍に入るにしろ入らないにしても。

貴方が家族を殺したとき貴方は自分の意思でそれを望んだ。貴方には殺人の罪がある。

貴方が素直に話したから他のことは罪にならない。

貴方の罪にはね。でも、嫉妬の罪になるわ。

貴方が軍に入って嫉妬の罪を背負うなら貴方の罪も許されるわ。

入らないなら貴方には殺人の罪が課せられる。それも霊力を使った殺人は普通の殺人とは罪の重さが違う。貴方は牢に入れられる。そこで貴方は過ごすことになる。いつかは出られるでしょうが。出られた後も貴方の望む人生は待っていないでしょうね。

でも、勘違いしないことよ。どちらも茨の道。

貴方に優しくしてくれる人は少ない。

どちらに進むかわ貴方次第。」


頭の中でどちらを選ぶか考える。

嫉妬の罪を背負うつまりすべて僕のせいになる。

なら僕が選ぶのは決まっている。


「さあ答えて。」


その言葉だけは優しい暖かい言葉だった。


「僕が背負う。嫉妬と僕はもう2人で1人だと思うから。」


こうして僕は軍に所属することになった。



「軍について軽く説明してあげる。軍は管轄を決めて全部で5つ。東西南北に1つずつそして中央に1つ。悪魔落ちの討伐や悪魔の討伐、町の警備に犯罪者の確保犯罪組織の壊滅 戦争が起これば人間も殺さなくちゃいけなくなる。辛い仕事よ。今話しても仕方ないわね。詳しくわ裁判が終わったあとよ。」


そう言うとポケットから何かを取り出す。


「トメト君貴方には、霊力があるの。これは貴方の嫉妬の宝玉。 オーブとも言うわ。霊力がある者は軍に入るか軍に霊力者として登録に来なくてはいけないことになってるの。もちろん使えない人も軍には入れるのよ。貴方が所属するのは西軍よ。軍に入るには18歳以上の者とされているわ。

だだし霊力者は別よ。何歳からでも原則OK。

自分の意思でしっかりっとオーブをコントロールできている場合に限るけど。貴方は、OKね。

今は消えている貴方の胸の印が制御できている証だから。

18歳以下で軍に入った子は18歳の時に中央で試験を受けることになっているわ。

後、例外が2つあるけど、これは別にまたでいいわ。」


言い終わるとそれを僕には渡してくれた。

赤黒いそのオーブは僕の手のひらで赤く燃えるように光っている。


「貴方は軍に入ったらまずは誰かを専属で師匠をつけるわ。強くなって、それが貴方を茨の道から救う方法の1つよ。貴方の味方をたくさん作りなさいこれも貴方を救うから。

裁判は2日後になると思うから。またね。」


手を降りながらクラリスさんは出ていって見えなくなった。


と思ったけど。


「私は君の味方だからね。」


そう言って顔と右手だけだしてまた見えなくなった。


2日後裁判当日。

傍聴席には遺影を持った数十人の家族が座っていた。裁判を起こしたのは亡くなった。3人家族の母親のお姉さんらしかった。



僕が入って来るやいなや空気が針詰めた


「それでは裁判を始める。」


僕の裁判が始まった。


「私の妹は結婚して子どもができて幸せに暮らしてたんです。毎日幸せってこの前手紙が来て」


女の人の目からは涙が溢れている。

口を押さえ泣き声を終えている。


「この子が私の妹の幸せを奪ったんです。私の妹をここに来ている人たちの大切な家族を奪ったんです。絶対に許さない。絶対に許さない。死刑を求めます。」


憎しみのこもった悲しい視線が僕の心に突き刺さる。泣きたいのは僕も同じなのに。


「弁護側の発言を許します。」


軍服を来た眼鏡の知らない男の人が立ち上がる。


「軍の調査においてミラ・トメトには第325条の特別法、霊力の無自覚の発動による殺害および巨大な霊の制御不能による殺害の無罪判決の適用を求めます。また第327条軍の機密情報の保護に当たるため詳しい説明は避けさせていただきます。」


ざわつく室内。

裁判官が調査資料に目を通す。


「静に。軍の信頼ある調査の結果より。ミラ・トメトの罪状は第325条の特別法により無罪とする。今日の裁判はここまでとする。」


判決を言い渡されほっとする。

女の子の遺族からは憎しみの視線が送られてくる。他にも亡くなった軍の人の遺族も僕に冷たい視線を送る。

裁判中も何度も陰口が聞こえた。



「ミラ・トメト君はここで少し待つように。」


遺族側の人達が外に出ていく中にいるのは裁判官と眼鏡の軍人の人。


「サモン ジャジマン」


裁判官の隣に白髪で白い髭を蓄えたおじいさんが現れる。手には灰色の石板を持っている。。


眼鏡の軍人の人がその石板を僕の前に持ってくる。



「この石板に手を乗せろ。」


言われた通り石板に手を乗せる。

僕の記憶が裁判官の隣のジャジマンに探られる。

頭が割れるように痛い、目をつぶる。

胸の辺りが熱くなる。



「よろしい。軍の入隊に従い汝に問う。ミラ・トメト貴方は生涯をかけて軍に尽くし嫉妬の罪を背負うことを誓うか?」


頭の痛みが引き目を開ける。

ジャジマンと言う霊は消えていた。



「誓います。」


石板が白く光だす。


「よろしい。君の未来がよいものになることを願う。」


石板は消えた。

その後は眼鏡の軍人の人の後ろを付いて裁判所を出た。僕の胸にはまた黒い火の玉の印が浮かび上がっていた。


外にはたくさんの人が待っていた。

外の人の顔は様々ででも間違いなく僕を軽蔑している。これが僕の背負う嫉妬の罪。

9才の僕には重すぎる罪。

嫉妬に殺された人の家族は僕を一生憎むだろう。

僕は一生憎まれっ子だ。


これから進む茨の道に僕は1歩を踏み出した。

でも僕はこの時、嫉妬の罪を背負うことがどういうことなのかまだ少しもわかっていなかった。


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