イビツ
人間というものは
どこか歪なのだ
けれどその歪な部分と
社会性との間を
微妙なバランスで生きている
世界もやはり歪なのだ
ただその歪さは個人のレベルでは
簡単に覆せない
ただ時代の英雄と呼ばれる人々が
行き過ぎたものを
あるいは足りないものを
こそぎ落とし補う
歴史に名を残すものもいれば
特定の人々の間で語り継がれる人もある
人の営みはいつも目隠しで綱渡り
失敗の積み重ね
努力の繰り返し
時間は未来へと流れている
それは錯覚かもしれない
自分たちが老いて死ぬ有限の存在だから
そう思っているだけかもしれない
歴史が証明していることはほんの一部のことだけ
だからいつも過去の事実が覆る
やはり歪なのだ
歪だからこそ
あるいは歪であるがゆえに
時が流れていると感じているのかもしれない
もしかしたら時間は繰り返されているだけかもしれない
メビウスの輪やウロボロスに象徴されるように……
本当のことは誰も知らないのだから
限られた命の時間を懸命に生きていくしかないのだろう