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プロローグ

伊沢晃(いざわひかる)。私立 荒北高校に通う高校2年生。読書家で1人で過ごすことを好む。のんびりとした静かな所で過ごすことを好む平凡な高校生。運動能力も普通、学力がなんとか上の中に入る少し頭の良い男。映画研究部に所属している。彼は浴に言われるオタクだ。ライトノベルやアニメなどを見るオタク。だが、彼はノベルの本ならなんでも読む活字中毒でもある。


感情と言われるものが他の人とは少し違う。それを象徴させるのが恋愛だ。彼は恋愛というものにまるで興味を示さない。恋愛をする気が全くないのだ。恋愛はめんどいと思っているからだ。


晃には3人の幼馴染みがいる。1人は伊座凪信也(いざなきしんや)。頭が良く、運動神経が高い。クラスでも友達が多い。長身で晃から見ればイケメンの部類に入る。映画研究部に所属。2人目は朝木亮(あさきりょう)。頭が良く運動神経が高い。クラスでも友達が多い。同じく長身で晃から見ればイケメンの部類に入る。映画研究部に所属。3人目は橘夏樹(たちばななつき)。頭は良くない。運動能力も普通。だが、クラスでも友達が多い。身長は普通で晃から見れば顔は良い部類に入る。美術部に所属。


3人とは小学校の頃からの幼馴染み。何だかんだ言って良く遊んだ。いつも一緒に居た。本を読んでいる晃の所に全員が集まり、そこで何かを話す。それが当たり前だった。無理矢理手を引っ張られ公園やら色んな所に連れて行かれた。晃本人もそこまで嫌がっていなかったのは事実だ。だが、今や高校2年生だ。


高1の時の年は凄かった。国中がいや、世界中が沸いた。それはあるものが発明されたから。ステータス検索機。RPG世界ではお馴染みのステータスがリアル世界の人間で試すことが出来るようになったのだ。価格としては1世帯に1つ持てるような価格だ。そこまで高いものでもない。ステータス検索機によって世界が大きく変わるかと思われたがそんなことはなかった。何事もない日常に変わりはなく続く毎日だった。学校のクラスに1つは完備されるようになり、一時は皆が何度もステータスを確認して上がっているのか確認していたものだ。ステータスは最高値は100だ。だが、今まで最高値が100まで行ったものはいない。80までは努力をすれば行ける。90は少しの才能があれば行ける。だが、100は天武の才でもなければ行くことは極めて難しい。


*********************


俺、伊沢晃は平凡な男だ。自分がやりたいと思ったこと以外はしない。今も、教室でのんびりと読書を楽しんでいる。前と後ろの席には幼馴染みの伊座凪信也と朝木亮が座っている。隣には幼馴染みの橘夏樹の親友の藤堂桜(とうどうさくら)が座っている。斜め前は橘夏樹。斜め後ろには夏樹のもう一人の親友の園村雪野(そのむらゆきの)が座っている。この学校は席替えも自由なため、このような席が固定されている。


これは俺の推測だが、信也と夏樹は両思い。亮と園村も両思いだと思われる。だが、藤堂だけ好きな人間がいないのではないかと言う俺の推測だがこれは合っているか分からない。前者の話はほぼ確定だと思うが。


因みに園村と藤堂は夏樹と同じ美術部だ。3人は凄く仲が良いのか、何をするにも一緒なのだ。俺には関係がないことだが。因みに俺は信也と亮と映画研究部に入っている。俺たちの作っている映画はオリジナルのアニメで俺が原案を、スタッフが信也、監督が亮。スタッフの信也が絵を描いている。亮は最終チェックと指示をする。こんな感じで回っている。


何時も思うことだが、モジモジしてるなら早く付き合ってしまえよと俺は思う。夏樹は園村と藤堂に相談しているみたいだが何かしらの行動を起こす勇気は今のところないようだ。それだから俺は少しもどかしい。俺には静かで読書が出来る空間があれば良いが、たまにモジモジしているのを見るとなんかこっちがモヤモヤしてくる。


そんなこんなで俺の高校生活行われているのだ。幼馴染みが来た。そろそろ、何かが、起きるのだろう。


「うぃっす。相変わらず早いな、晃。何時に来たんだよ?」


「オッス。流石に早いだろう。まだ、30分前だぞ。本を読みたいのは分かるが。」


「俺は7時半だ。別に早くはない。静かにしろ。本を読んでいるんだから。」


「「了解。」」


2人は今ブームの話をし始める。俺と比べれば確実に元気だ。いや、元気すぎるとも思う。何処にそんな元気があるのか聞きたいぐらいだ。俺は少しも元気になれないが。全く、訳が分からない。そう言いたくなる。俺は溜め息を吐きながら本に目線を戻す。今、読んでいるのは今期アニメ化も決まった話題作だ。アニメ化されることもあってか中々面白い。ついつい熱中してしまう。そんな間にも2人の話題は尽きない。


そんなことをしていると夏樹たちが現れる。現れると言う表現はおかしいか。夏樹たちが来る。何やら、恋ばなをしているみたいだ。恋ばなの何が面白いのか俺には全く持って理解できないが、結構3人は盛り上がっている。


「さっき、話逸らされたけど、桜は誰が好きなの?」


「私は好きな人はいないよ。それより、夏樹ちゃんの恋をどうにかしないとね。勿論、雪野ちゃんも。」


「あ、ありがとう。」


「桜ちゃんは優しいよね。絶対誰かに告白されるよ。容姿も性格もバッチリだし。」


「そうだな。もしかしたら、身近な人かもしれないよ。」


「もう~2人とも、からかわないでよ。」


3人は笑いあっている。全く、恋愛は面倒なだけだと思うが。するのは人それぞれだけど。俺は静かに過ごせればどうでも良いが。


俺は人と話すことが苦手だ。そのため、信也や亮とは違い、クラスでもあまり馴染めていない。運動神経が平均的で、2人とは限りない差が存在する。唯一渡り合えるのは勉強だ。勉強はなんとか上の中を維持している。


ステータス検索機と呼ばれる物が1年前に発売された。開発したのは天才と呼ばれた伊納海(いのうかい)。ステータス検索機は個人の体力、学力、運動能力、精神力、運、容姿を数値化するものだ。数値は10区切りになっている。数値の最大は100。100は天武の才でもない限りたどり着くことはないと伊納は言った。90は少しの才能と努力で行けるらしい。だが、才能がなければ努力しても80までしか行くことはない。伊納はこう言った。


「これが完成したことで天才という存在を見つけることが簡単に出来るようになる。これで新しい時代が始まる。政治家も、スポーツ選手も全てこのステータス検索機を見て選べば良い」と。


天才とはある意味狂っているのではと俺はこの言葉を聴いて思った。才能だけで全てを決めてしまったら、才能が無い者たちはどうすれば良いのだろうか。まるで格差社会の完成形のような世界を伊納は作ろうとしているのではないのだろうかと俺は考えた。だが、以外にもそんなことにはならなかった。世界は日本は何も変わらなかった。今まで通りの日常がそのまま続いた。何一つ変わることなく世界は進んだ。皆がホッと息を撫で下ろした。


こんなものが出来たから余計に俺は面倒なことに巻き込まれている。信也と亮と一緒にいることをクラスの奴ら特に女子に止められるようになった。


「なんであんたなんかが2人と一緒にいるのよ」


「あんたみたいな平凡な男が信也君と亮君と釣り合うわけないでしょ。折角の絵が台無しだから、消えてよ。もう、2人に近寄らないで。」


等々の言葉を言われるようになった。全く、お前らには関係ないだろと思うのだが、彼奴らには俺が気に食わないらしい。めんどくさい。なんでこんなことになるのやら。俺はどれだけ苦労をすれば良いのやら。


「ねえねえ。晃は相変わらず、本を読んでるの?」


「そうだが、それがどうかしたか?」


「少しは人と話せば良いのにと思ってさ。」


「めんどい。そんなことをするぐらいなら本を読んでいた方がましだ。」


「相変わらず、オタクの台詞ね。」


夏樹は俺を見て言ってくる。余計なお世話だっての。俺が何をしようと俺の勝手だろうに。世話焼きだなと俺は思う。


「俺に世話を焼くぐらいなら信也に焼けよ。」


「う、うるさいわね。あんたには関係ないでしょ。」


「ぷ。良く言うぜ。そんなんだから信也にこく「言うなぁー」いきなりデカイ声を出すなよ。五月蝿いな。少しは女自覚をしたらどうだ?」


「あんたが余計なことを言いそうになるからでしょ。私は女の自覚はあるし。何を訳の分からないこと言ってるのよ。」


「俺、呼ばれたか?」


「呼んだ/呼んでない」


「どっちだよ。」


信也は困惑顔で此方を見ている。夏樹は俺を睨み付けている。俺は溜め息を吐き、本に目線を戻す。夏樹はぶつぶつと文句を口にしている。此方は関係ないのだが。少し嫌味を言ったがそれだけなんだが。まあ、結果的に俺が悪いんだが。


「まあ、良いよ。取り合えず担任来るぞ。」


「はいはい/俺には関係ない。本を読むから」


「「「「「……」」」」」


「てか、俺の近くに集まらず座れ。」


「「「はーい」」」


全く、子供かよ。藤堂と園村は普通にしてるのによ。こいつらは変わることを知らないのか。変われないか。こいつらだし…


俺は内心で3人を馬鹿にしながら本を読むことに集中する。それと同時に担任がやって来る。担任は平均より少し低い身長で美少女の川居智子(かわいともこ)だ。学校の教師の中で一番身長が低い。分かると思うがチビキャラだ。


俺はこんな平凡な毎日を送っている。まあ、他にすることもないから良いのだが。

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