植物の楽園
今回の主人公は学校に行くのが嫌なようです。
なんでも事情があるらしく…
落ち着ける居場所を見つけることは出来るのでしょうか?
「…もう嫌!学校なんて行きたくないっ…!」
私は膝を抱えて震えていた。
ここは学校から離れた森。ここ最近迷子になる人も多く、捜索願いを出したというニュースもやっていた。
何故そんな場所に来ているのか。
簡単に言うと、私は学校でイジメを受けていた。
元々確かに社交的な方でもないし運動だって得意じゃない。
最初はヒソヒソと陰口を言うくらいだったけど、日が経つにつれてヒートアップしていった。
教科書が隠されたり、靴をゴミ箱に入れられたり。
先生に言えば良いではないかという人もいるかも知れないけど、言ったら何をされるか分からないという恐怖心から先生にも両親にも相談は出来なかった。
…もう、この世から消えてしまいたい。
そんな思いもあって、私は森へ足を運んだ。持っていたスマホには何件か通知が来ていた。
もしかしたら、学校から両親に連絡がいったのかも知れない。
そっと通知をOFFにして私はスマホから顔を上げた。
ここで縮こまっていても仕方ない。
木々から差し込む木漏れ日は暖かく、優しい風は自然の爽やかさを運んでいるようだった。
行く当てもなく歩いていると、ドーム状の建物が見えた。
ガラス張りの建物のようで、壁は真っ白。
(一体何の建物なんだろう…)
建物の入り口には『OPEN』と吊り下げ看板がかかっていた。
白く大きな木製の扉。
ギイッという音を立て、扉を開けるともう1つ自動ドアがあった。
「…へ?」
自分でも随分とマヌケな声を出したと思うけど、仕方ない。
何故なら目の前には今までの人生で見たこともないくらい奇妙で不思議な植物が沢山あったのだから。
「すごい…なんだろうコレ…」
天井まで届くのではと思うくらい大きな薔薇のような花は、淡いピンクや水色。
中央の畑のような場所には虹色に光るニンジンや発光する巨大なカボチャ、木々には赤とオレンジの燃えるようなミカンやミントグリーンと水色の渦巻き模様がある林檎のような果実もあった。
他にも沢山の植物がある。
天井のガラスから受ける光に喜ぶように植物は揺れていた。
(なんだか落ち着く場所…)
展示されている植物は奇妙だけど苦しい生活を送る日々を過ごすより、ずっとずっと心地良い。
けど…お腹も空いたし、無断で丸一日居座るわけにもいかないだろう。
スマホを確認しようとしたが、充電が切れているのか、画面は真っ暗だ。
あまり使っていないから、電波の問題だろうか?
名残惜しいが植物園から出る。
「え?」
建物から出た…はずだった。
しかし目の前には来た時の木々は無く色鮮やかな植物に埋め尽くされていた。
植物どころか、巨大なハチや蝶のような生物までいる。
「なに、なんなのコレ…」
すると目の前に大きなヒマワリを乗せた荷車を押した着ぐるみが現れた。
灰色のライオンの着ぐるみに私は話しかけた。
「あ、あの…!私、森から来たんですけど…」
ライオンの着ぐるみは私を見ると驚いたような声を上げた。
「…おや!!キミ、ニンゲン?へぇ〜まだ生きてたんだ!」
言っている意味が分からない。
何をすれば良いか分からない私に着ぐるみは積んでいたヒマワリをおろしながら言った。
「ここはボクらの星になったんだ。」
着ぐるみは呟く。
「もうニンゲンはいないよ」
…そんなはずない。
だって私があそこにいたのは数時間で…
絵に描いたんじゃないかと錯覚するくらい美しく気持ちの悪い目の前の世界。
私は思った。人間がいなくなったと言うのなら…
『この着ぐるみの中』は何なのか。
後ろに半歩下がった私を着ぐるみは見つめていた。
ボトッと着ぐるみの頭が落ちる。
腰が抜けて、立ち上がることが出来ない。
逃げたいのに動けない。
あぁ。なんで、こんな場所に来てしまったんだろう。
後悔しても、もう遅い。
着ぐるみの頭があった場所を見上げる。
真っ赤な花弁と鋭い牙が私を見下ろしていた。
いかがでしたか?
奇妙な植物園…外へ出たらいつの間にか変わっていた自分の世界…
彼女にとって変わってしまった世界は救いの手なのか、あるいは絶望の始まりなのか…。
また次のお話でお会いしましょう
【お知らせ】
tiktokの方で、今回も人形師にイメージ投稿を作成してもらいました。
この植物園の不気味さが、また違った形で伝わると思いますので是非ボクのプロフィールの方からチェックしていただけると幸いです。




