[Turn 明星]62.
「ふぅ、あとは人質を解放すれば仕事は終わりかな。」
「早く帰ってお風呂入りたぁい、汗かいたぁ。」
碓氷がそんなことを言った瞬間だった。
その瞬間、急に発生した白い霧によって、総司達の視界は塞がれた。
「ちょっと!これって!」
「ああ、さっきの男の能力だ!」
パイソンは白い霧の中から姿を表した。
「まだだ、…まだ俺ぁ死んじゃあいねぇぞ!」
パイソンは、身体中の所々に穴が開いた状態でなお、総司達の前に立っていた。
そして再び、パイソンは白い霧の中に姿を消した。
「あの状態で生きていることさえ奇跡なのに、まさか、動けるなんて。」
「ああ、びっくりだ。」
そのとき、不思議なことが起こった。
なんと、パイソンが白い霧の中から、何人も出てきたのだ。
「な、なにィ!?」
「いったい、どうなっているんだ?」
すると、白い霧の中から、一発の弾丸が、総司に向かって飛んできた。
「…ッ!」
咄嗟の判断で、弾丸を殴って弾くことに成功したが、音が無いと、いつくるのかわからないため、結構厄介だなと、総司は思った。
すると、急に霧が晴れた。
そこには、パイソンがいた。
「どうやら、この世界はハッピーエンドを望んでいるようだ。俺たち悪役が全員死ぬってゆう、ハッピーエンドをさ。いつだってそうだ、俺たち悪役が生き残って、正義が敗れる。そんなバッドエンド、誰も望んじゃあいないんだ。」
「なにを…言ってるんだ?」
「だからこそ、俺は、あんな犬のフンに匹敵するほどのつまらない死に方はしたくないんだ。だから、まだ俺は死ねねぇんだよ。」
「もうやめとけ、その身体の穴から、向こう側が見えそうだぞ?まだ生きていたいなら、今はやめとけ。」
パイソンは、ふっ、と笑って、言った。
「穴が開いているからどうした?死にかけているからどうした?なにがあろうと、やらなくちゃあいけないことがあるんだよ。お前たちのような、『創られた者』とは違うんだよ。」
「創られた…者?」
そのとき、パイソンはポケットから、注射器を一つ取り出し、自分に刺した。
「…!?なにやってんだ!」
「この注射器の中には、バグスウイルスが入ってる。いつも通りの俺じゃあ、力不足だ。それに、一度死んだ命だ。会社のために有効活用しねぇとなぁ。」
次の瞬間、パイソンは、地下鉄の天井ギリギリまでの大きさの鬼になった。




