[Turn 悪鬼]49.
「……不明? そんなことってあるんですか?」
先に聞いたのはみさきだった。しかし、総司も同じことを考えていた。
なぜなら、それぞれが自分の能力を知ることと同時に、相手も知っている可能性が高いからだ。
配偶者が能力の詳細を知らないのは、本当にイレギュラーなことだった。
小さな子供だから自分自身は把握しているけど伝えていないのか、それとも把握ができないほどに不思議な能力なのか……。
詳細が総司たちにわかるはずがない。
「そんなことがあるんだよね。全く、この子は本当に困った子だよ。」
勇太は光一の方を見た。彼は犬のぬいぐるみを手にして無邪気な笑みを浮かべている。
「……新一さんに尋ねればわかるかも。」
と、みさきが総司に囁く。
「今はやめておこう。能力が不明な子ってだけだ。あまり干渉しすぎない方がいいと思う。」
みさきにそう伝えると、彼女は小さく頷いた。
「二人はこそこそしてどうしたんだい?」
「い、いえ! 何も。」
みさきは誤魔化そうとしているが、何かを考えていたということはバレバレである。
「……あれ? 体……。」
どうやら、みさきも総司と同じ被害に遭ったようだ。
「不思議な子だね、って話していたんです。でも、それをお父さんに伝えるのは失礼かなって思いまして。」
「私は別にこの子の親なんかじゃないよ。」
「え?」
「ただの親戚さ。」
そう言って勇太はにこりと笑った。
光一が勇太の袖を引っ張る。
「そうか、一緒に帰ろうね。」
そして、勇太と光一は手を繋いで去っていった。
「なんか、不思議な子だったねぇ。」
「うん。まさか能力持ちが身近にいるとは……。」
「確率は低いけど、人数で考えれば結構いるんじゃない?」
確かにそうだな、と総司は思う。
「次、どこ行こうか?」
そのまま二人はゲームセンターをめぐり続けた。




