[Turn Kinsei]4.
総司は大きな建物の前に立っていた。
「こ、ここが、真琴さんが働いてる会社ですか。」
「まぁ、厳密には違うけど、そうだよ。…じゃあ中に入ろうか。」
「はい。」
総司達はその建物に入った。
そして、エレベーターに乗り、真琴が、五階のボタンを押した。
エレベーターが動いてる最中に、真琴が総司に話しかけた。
「そうそう、総司君。」
「…?」
「ちょっとした入社試験みたいなものがあるけど、頑張ってね。」
「…え?」
そして、五階に着き、エレベーターが開いた。
「ほら、着いたよ。」
真琴が、扉のドアノブをガチャリと回し、開けた。
その部屋の中の光景を見て、総司の時は、数秒止まった。
「テメェら『雑用係』に鬼を任せておけるかよ!」
そこには、銃を持った一人の男が、従業員と思われる、一人の女性を人質に取り、机の上に座っていた。そして、それを止めようとしている人達が数人、近づけないでいた。
そのうちの一人が、男に向かって叫んだ。
「待て!…我々のなにがそんなに気に入らんのだ!」
「いつまで鬼を野放しにしているつもりなんだ!鬼の被害者はたくさん出ているんだぞ?それなのに、お前たちはまったく解決しようとしない!にも関わらず?俺たち市民から金を巻き上げる?…ふざけるな!」
「違う!鬼の数は年々増えていっているんだ!だからその数を処理するのは大変なんだ!前にも言ったはずだろ!?」
「話にならないな、能力『夢幻魔術』」
次の瞬間、総司の目の前は真っ暗になった。
そして、目が見えてきた時、その光景は想像を絶するものだった。
なんと、その部屋にいた、総司と銃を持った男以外、全員倒れていたからだ。
「だ、大丈夫ですか!?真琴さん!」
「ああ、大丈夫だ。だが、今は戦えそうにない。だから総司君。君が戦ってくれ。…と言っても、人質を解放さえしてくれればそれでいい。」
「でも!僕はまだ、能力が使えないのに。」
「能力は、自分の心に聞くんだ。」
「自分の、心に?」
「ああ、そうだ。」
総司は真琴の言う通りにしてみた。
そして。
「こ、これ以上暴れるなら、ぼ、ぼぼ僕が許さないぞ!」
「なんだ?お前、脚が震えているじゃないか。」
「う、うるさい!は、早く人質を解放するんだ!」
「はぁ、お前も殺すぞ?」
「こ、来い!」
「能力『夢幻魔術』」
総司の目の前が真っ暗になった。
「僕だって、………できるんだ!能力!『幽遊戦鬼』!」
総司が能力を発動した時、総司の頭から、角が生えた。
そして、目の前の暗闇を力一杯ぶん殴った。
「オラ!」
総司の目が見えてきて、銃を持っていた男が、吹き飛んで、倒れているのを確認した。
「待った!待って!マジで!マジで待って!」
「え?」
すると、後ろにいた真琴が総司に向かって拍手をしていた。
「おめでとう。入社試験は見事に合格だよ。」
「え?じゃあ、あの人は?」
と、総司は銃を持っていた男を指差した。
「ああ、彼はうちの社員の、武山 俊太郎君だよ。」
「えぇー。」
こうして見事、総司は入社試験に合格することができたのだ。