[Turn 悪鬼]41.
そう、総司の能力には一つ課題があった。
どうやら、総司の能力である『幽遊戦鬼』は肉体を著しく向上させる代わりに自分の意識を薄れさせるそうなのだ。
とても簡潔にまとめると、興奮状態と言えばいいだろうか。
真琴に一度伝えられたことではあったが、総司自身はそれほど自覚していない。
だけど、彼に言われたのならきっと真実だ。
だから、総司は考えなければならなかった。
自分自身の能力が理由でみさきを傷つけたら。
それが恐ろしくてたまらなかったのだ。
「……何か考えてる?」
みさきが総司の顔を覗く。
ぴん、と糸が張られた感覚がした。
「いや、何でもない。」
「何でもなくないね。」
みさきにぴしゃりと言い当てられる総司。
「まあまあ、二人とも。休業中であることだし、それはお二人の部屋でやってもらって。」
真琴がその二人の会話を止める。
「みさき君は部屋に戻ってくれ。……総司君、ちょっと話がある。」
「はーい。」
みさきはくるっ、と半回転して(総司の)部屋に戻った。
いなくなったことを確認すると、真琴は小声で総司に伝える。
「どうやら、みさき君の部屋を確保することは難しそうでね。このまま二人部屋にしてほしい。」
「え。……ちょっと⁉」
それは流石に困る。
何がとは言えないが、困るものは困るのだ。
「毛布や布団が二人用になっていたのって……。」
「元々みさき君の部屋の確保が難しいと判断していたからだ。だが、その……初日に男女で同じ部屋を使えと言われても困るだろう?」
総司は全力で頷く。
「まだみさき君にはこの事実は伝えなくて大丈夫だ。いずれ慣れるだろう。」
「わかりましたよ。」
色々と絶望気味の総司。
「……あと、事を済ませるのは相手の了承も得てからにしろよ?」
「そんなことしませんよ‼」
(色々な意味で)顔を赤くしながら、総司は部屋に戻った。




