[Turn 悪鬼]3.
真琴は深くため息をついた。
「大丈夫だと信じるよ、総司君。」
彼はお札を手に取り、一滴の血を垂らす。
そのまま彼は鬼の方に突進し、鬼の脚部分につけた。
「グァ……ッ!」
そのまま鬼は、塵のように消えた。
塵になった鬼に解き放たれたかのように、一人の少年は先ほどまで鬼にいた場所に倒れこむ。
「――あ、れ? おれ……?」
総司は目を覚ました。
「…………よかった。君に能力があって。」
総司は周りの景色を見る。
工場、工場、工場。もくもくと煙は上がっていて、歴史で習った昭和の景色みたいだった。
こんな場所にいただろうか。
「一時は大丈夫か心配になったが、君が能力持ちで助かった。」
「す、きる……? って」
「そこからかぁ……。」
真琴はため息をついた。
この説明は先ほど行ったので、省略をさせていただく。
「じゃあ、鬼を倒すにはその能力が必要なんですね。」
「あぁ、その通りだ。」
「それで、能力持ちで助かったというのは……?」
あぁ、と真琴は言い忘れていたかのように付け加える。
「能力持ちは鬼に対する抗体を多少持っているから、細胞を保つことができるんだ。」
「つまり……?」
「能力のない一般人は鬼にされた時点で体中の細胞が滅茶苦茶になって死ぬということだね。」
「え⁉」
総司は冷や汗をかいた。
「じゃあ、何らかの能力を持ってなかったら、おれは死んでたってことですか⁉」
「あぁ、そうなる。」
淡々と言う真琴。正直言って意味がわからなかった。
「だがこれでわかった。君は本当に能力を持っている。どうせ一人なのだろう? なら一緒に働かないか? 『鬼退治』で。」
総司は首を縦に振った。
――――これから、総司の鬼退治が始まる。