[Turn 悪鬼]25.
新一は富倉の話をかみ砕いていた。
どうやらその「バグスウイルス」という奴を使って発生させているらしい。その生み出し方はよくわからないが、別に知っても何も意味はないだろう。
新一にとって必要なのはウイルスの生み出し方なんかじゃなかった。
今考えなければならない話題は二つだ。
一つ、鬼になる条件。
もう一つ、特効薬の作り方。
新一はこの二つの問を求めるために約八割集中している。
「……どうすればそこに入れる?」
「強行突破で歪みを壊す。または何らかの方法を使って歪みの裏側に回り込むんだ。申し訳ないが、その何らかは未だにわかってない。」
そして残りの二割の集中は、富倉との会話に置いていた。
能力を使えばその『何らか』はわかることなのだろうが、新一は能力を使わない。
強行突破という攻略や、歪みの裏側に回り込むという時点でも、相手にとっては大きな収穫だろうし、交渉は成立しているはずだ。それに、これ以上話しても自分たちが得できるとは思えない。
「今度はこっちの質問。特効薬の作り方って?」
「これに関しては黙秘させてもらう。こちらにとって不都合だ。加えて、別に教えることが可能な立場だとしても現状は黙秘するだろう。今の技術ではあまりにも危険すぎる。」
新一は頷くことしかできなかった。しばらくは諦めるしかないだろう。
これで残り一つ、鬼になる条件だ。
新一は真琴さんの鬼の説明を聞いて、疑問を抱いていたことがあった。
それは、鬼になる瞬間についてだ。血を見ただけで鬼になるというのは、ぶっちゃけて理論がなっていない。
普通に考えて、血を見て鬼になるのならその鬼になる人物は怪我をした人になるはずだ。なのに、実際はそうでない。……だが、富倉の説明のニュアンスを聞いて理解した。
厄介だなぁ、と新一は思う。
何らかの方法でウイルスに感染した状態で血を見るのが条件だなんて。
新一はため息をついた。
どうやら、だいぶ面倒くさい相手と敵対してしまっているみたいだ。




