[Turn 悪鬼]21.
「はは……、こりゃあ参ったな。」
社長は乾いた笑いを浮かべる。一方の新一は、能力を使われていないのにも関わらず声が出なかった。
あの社長だってピンチになるんだな……。
新一はゆっくりと考える。社長がピンチ=(イコール)絶体絶命なのだ。悲しいことに、新一は今回無能である。
「能力『絶対能力』。」
新一は小声で四之宮に向かって唱える。ただ、とてもくだらないものだ。戦闘にも何にも使えない。
(……こいつも本来はヨボヨボのおじいちゃんじゃねぇか。)
社長もこいつ(四之宮)も、三秒後に寿命が来ても全然おかしくないな、と新一は思う。
そう、新一が使ったのは四之宮の年齢だった。秘密と言われたら知りたくなってしまう。それが人間の性というものだろう。
「社長ー、どうしますー? この状況。」
「何言ってるんだい、新一。全然辛いことなんかないよ。」
「……は?」
もうそこからは唖然とすることしかできなかった。
社長は杖の代わりみたいに持っている竹刀を四之宮に向け、そのままやり投げのようにまっすぐ投げる。それはもうどこくらいのスピードだったのだろう、音速を超える社長の走力を超えて光速さえも超えてしまっているのかもしれない。社長は一切移動していないのに、投げた竹刀は視認できないほどのスピードを出していた。
「……は?」
新一はもう驚くことしかできない。
「――おっと、危ないことをするもんだね。社長。」
それを四之宮は片手で受け止める。
なんでこいつ、難度∞(無限)の真剣白刃取りをクリアしてるんだよ。
新一は初めて見る二人の対戦を見て、心の二人をツッコむことしかできなかった。
こいつらヨボヨボのおじいちゃん二人だよな? 社長はなんであんなスピード投げれんだよ。四之宮も四之宮だ。どうして簡単に受け止めてる?
「……受け止めてやったぞ? 社長?」
うわぁ、怖い。
新一は思う。
だが、今まさに怖いと思っているのは四之宮が恐怖の竹刀を受け止めたことではない。
四之宮は手刀で首の後ろを叩かれていた。そのまま四之宮は軽く倒れる。
「俺はここだぞ、四之宮。一瞬怯んだのがバカだったな。」
社長を敵にしちゃダメだ。と新一は心から思った。




