[Turn 悪鬼]1.
「……だいぶお高いものを選んだね。」
「仕方ないじゃないですか、何でも選べって。」
「そう言ったのは確かに僕だが……。もう少し遠慮というものを学ぼうか。」
総司は黙ってうなずいたが、直そうとは一切思っていない。
総司が選んだのは焼き肉店だった――真琴さんいわく高級らしいが。
ラッキーと思いながら、総司は真琴さんについて行く。
「いらっしゃいませー。」
「二人だ。よろしく頼む。」
そう真琴さんが言うと、「二名様お待ちでーす。」という声が店中に響いた。
総司は目を見開いた。
これがお店。おれの知らない世界。知るはずがなかった世界なんだ。
真琴さんは定員について行き、総司は真琴さんについて行く。
「お席はここになります。ご注文が決まりましたら、お声かけください。」
そこにはテーブルと椅子と、見慣れない筒が置いてある。それも真ん中は小さな鉄格子で覆われてる。
「うわぁ……!」
「そりゃあ君は驚くだろうね。……食べながら話そうか。」
総司は120分のコースを選んだ。真琴さんには苦笑された。
「では、先ほどの話に戻そうか。」
「わかりました。」
「一応、鬼についても説明しておこうかな。」
真琴さんいわく、『鬼』とは裏世界に生きている化け物らしい。しかし、たまにこうして表世界に何らかの形で侵入し、人々を殺し食い漁っているというのだ。
この時点で、総司にとってはよくわからなかった。
聞いたことがある程度だが、ファンタジー世界の設定みたいではないか。
「プライベートな問題で申し訳ないが、君はなぜ親に捨てられたのか知っているのかい?」
「……いいえ。何にも。」
2歳のときに別れた両親だ。そのときの生活も、彼らの顔も何も覚えてはいない。
だから、捨てられたということを話すのは何も苦ではなかった。
「その理由がわかったかもしれない、と言ったら君は聞くかい?」
総司は全力で首を縦に振る。
「では、単刀直入に言おう、『君の能力は一体何だ』?」
「……は?」
総司は放心状態にでもなったかのように口を開けることしかできなかった。