[Turn 悪鬼]11.
総司は唖然としていた。
今起こっていることがよくわからなくって、固まることしかできなかった。
「あぁ……、もう‼ 最悪なんですけど⁉」
「貴様らが戻らなかったのが悪いだろう? 諦めてとっとと死ねばよい。」
武山はため息をついた。
「……日松川の兄ちゃんはいったん帰れ、スマホで雑用係に電話してこい。」
武山は総司に言い放つ。その表情は真剣だった。
「でも、電話番号……。」
「大丈夫だ、きちんと名前で登録してある。」
「――わかりました。」
自分にもできることがある。――なら、やるしかない。いいや、「やらなければいけない」。
総司は車の場所を把握する。
「行ってこい、日松川の兄ちゃん! 『夢幻魔術』‼」
そして、辺り一面が暗闇になる。それと同時に、総司は車に駆け込んだ。
電話を開く。そこには武山が言っていたように、きちんと『雑用係』として登録されていた。
総司はそのボタンを押す。
『はい、株式会社「雑用係」です。』
「僕です! 日松川です‼」
『えっと、総司様?』
「はい! えっと、その……。依頼場所でなんか戦闘が起きちゃって……! その人は、えっと――、」
『恐らくですが、「裏世界殺屋」ですね。急いで真琴様をそちらに行くよう伝えておきます。少々お待ちください。』
そこで電話は切れる。とりあえず、真琴さんを待たないと……。
総司はそう思いながら部屋を出た。
車を出ると、そこには真琴さんがいた。
「え⁉ 真琴さん⁉」
「真琴っち! サンキュー‼」
「……な、なんでここに⁉ さっきまで会社にいたんですよね⁉」
「あぁ、いた。だが、今こちらに来た。」
「いったいどうして⁉」
「社長が送り届けてくれたんだ。」
総司は驚くことしかできない。
「社長の能力は『瞬間移動』だからな……。一人転送したらクールタイムは丸一日かかるが、」
雑魚じゃん、と総司は思う。こんなのほぼ無能ではないか。
「どけ、『裏世界殺屋』が来たのだろう。あんな謎宗教団体、僕が殺してみせる。」
真琴さんは数歩前に出た。
こちらに来た武山が小声で言う。
「裏世界殺屋は鬼と人間の共存によって『能力社会』を作ろうと考えている団体だ。
だいぶ過激な団体だから、平和主義の雑用係とは真逆の思考してて敵対してるんだよ。」
総司は頷いた。珍しく納得の意味の頷きだった。
こいつらの目標は間違っていると思ったからだ。
「げ、神野じゃん。」
「ああ、神野だ。僕はお会いできて光栄だよ。」
真琴さんは口にする。
「……『神の恵』。君たちは鬼殺しに行くといい。」
それが、二回戦の合図だった。




