[Turn Kinsei]0.
ここは、埼玉県にある河川敷、時間はすでに五時を過ぎていて、太陽が沈もうとしているとき、一人の少年がその河川敷で倒れていた。
「…お腹………空いた。」
少年の名は、日松川 総司、歳は15で、元孤児である。
「孤児院から追い出されて二週間、雑草とかを食べてギリギリ生き残ってきたけど、もうさすがに、ちゃんとしたご飯を食べないと死ぬ。」
総司は辺りを見渡した。
「通行人を襲って、お金を奪わなきゃ。」
そのとき、一人の男が、総司に話しかけた。
「そこの坊や、どうしたんだい?」
「…え?…」
「やぁ、坊や。」
その男は、橋の柵に立っていた。
「さっきから見ていたが、君のその身なり…もしかして孤児院から追い出されたのかい?」
「なんでわかるんですか?」
総司は驚いた。
まさか、身なりだけで孤児院から追い出されてしまったのが気づかれてしまうとは。
「実はここら辺を調べているうちに君が放浪していることがわかってね。それで、少し調べていたんだ。」
「…あー…え。」
「えーと、名前は、日松川総司、生年月日は2010年の5月1日、性別は男、2歳で親に捨てられ、その後、日野薔薇孤児院に拾われる。そして、今年の4月16日に孤児院を追い出された。で、今に至る。…これであってるよね?」
「はい。」
「それでね。君に興味を持ったのだ…よっ。」
その男は立っていた柵から、総司の方に跳んだ。
だが、着地に失敗してしまった。
「イタタタ、久しぶりに動いたから失敗しちゃったなぁ。」
「あの、あなたの名前は。」
「僕の名前か?…僕の名前は、神野 真琴だ。」
「真琴さん。…えっとなにを調べていたんですか?」
「実はね、この街に鬼が出たようで、その鬼を捕まえるために調べてたんだ。」
「鬼…ですか。」
「後の話は食べながらしないか?腹が減っているのだろう?」
総司の腹が鳴った。
「………はい。」
「なにが食べたい?奢ってあげるよ。」
「じゃあ………。」
総司と真琴は店に入った。